「最高の遊び場創り」を目指すXFLAGスタジオのビジョン
「GMIC東京2016」は、モバイルテクノロジー業界の国内外の企業の代表者や著名人が、最新のイノベーションや自社の経営戦略について講演を行うカンファレンスイベント。
メイン会場で行われたソートリーダー・サミットでは、XFLAGスタジオ総監督であり『モンスターストライク』(以下、モンスト)のプロデューサーを務める木村弘毅氏が登壇。
「XFLAGスタジオが描くビジョンと中国市場の捉え方」と題して、講演を行った。
講演では、木村氏からXFLAGスタジオの紹介や中国市場進出への狙いが語られた。
まず、最初に木村氏はXFLAGスタジオのスタジオミッションを「友達や家族とワイワイ楽しめるアドレナリン全開のバトルエンターテインメントを創出し続ける」と紹介した。
XFLAGスタジオのプロダクトにはモンスト以外に、『ブラックナイトストライカーズ』『マーベルツムツム』などのタイトルがあるが、どれも共通しているのは協力プレイの要素を持っていること。
プレイヤーが家族や友だちとスマホを持って集まっていっしょに協力プレイをする「対面式コミュニケーション」こそが、XFLAGスタジオが目指すサービスの形と説明した。
続いて、木村氏は世界で3,500万人ユーザーを誇るモンストを例にとりXFLAGスタジオのメディアミックス戦略を紹介する。
アニメは、テレビではなくYoutubeでの配信にしたことで、世界11言語での同時配信を実現したほか、下記のような仕掛けでモンストを盛り上げているという。
- 視聴者がもっとも視聴しやすい1話7分の視聴時間
- 映像を自由に止められることを利用した謎解き要素
- アニメに登場したモンスターとすぐにゲーム内で戦えるゲーム連動
これらのメディアミックスによって常にトレンドを支配し続けることがモンストが世界売上ランキング1位を獲得できた秘訣だと木村氏は話す
最後に、話題は中国市場についてに移った。
モンストは2014年12月に中国でのサービスを開始したが、2015年10月に一度終了しているが、先日、中国市場への再参入を発表している。
そして、今回の復活にあたり、日本と同じ対面型のコミュニケーションを押し出したマーケティングを展開すると木村氏は明かした。
中国のゲームユーザーはオンラインプレイを好む傾向にあるといわれているが、木村氏は「中国には麻雀など人々が集まっていっしょに遊ぶ文化がある。モンストの協力プレイへの需要は高い」と中国でのサービス復活への思いを語った。
再参入後の中国版モンストは日本版に近くなる
講演を終えた直後の木村氏を直撃し、インタビューをさせていただいた。
――講演お疲れ様でした。さっそくですが、講演では中国でのサービスを復活するとおっしゃっていましたが、昨年の中国でのサービス終了の理由を教えていただけますか?
木村氏(以下、木村):前回はサービスインの際に、メディアパワーを強くしすぎたことが原因でした。
多くのユーザーの方に手に取ってもらうことができたのですが、その多くが1人でゲームをプレイするユーザーばかりでした。
調べたところ、半数以上のプレイヤーがフレンドが0人という状態で、みんなで協力するというモンストのよさを発揮することができませんでした。
――今回の中国でのサービス復活では、どのようなアプローチをとるのでしょうか?
木村:モンストが日本で広まった背景に、友だちや家族を誘っていっしょにプレイするという口コミでの広まりがありました。
今回の中国進出では学生が多く集まるようなエリアを中心にマーケティングして、学校の友だちと一緒にワイワイ協力プレイをしてもらえればと思っています。
――サービス復活にあたって、前回配信されていた中国版から変更はありますか?
木村:大きな変更点としては、以前の中国版ではチュートリアルを長めに作っていたのですが、日本版と同じ長さにしています。それ以外の部分もかなり日本版と近くなっています。
コアなゲームユーザー層ではなく、あまりゲームを遊ばないライトな層をターゲットに、ミクシィが得意とするバイラルなマーケティングで勝負できればと思っています。
日本のゲームユーザーは昔から誰か友だちの家に集まってみんなでゲームをするという文化がありました。中国でもみんなで集まって一緒にゲームをするという文化を根付かせられたらと思っています。
常にホームランを狙いつづけるXFLAGスタジオの姿勢
――少し話題が変わりますが、現在のスマホゲームの海外市場についてどのように思いますか?
木村:海外市場は日本のデベロッパーが得意とするミッドコアゲームの需要が高まってきていると思います。
――海外展開を目指す日本のデベロッパーのなかでXFLAGスタジオならではの強みや意識していることを教えてください。
木村:XFLAGスタジオの強みは、ゲームだけでなくアニメなどのメディアミックスを内製できることとmixiやモンストで日本一になったマーケティングのノウハウだと思っています。
また、ゲームを中心に据えるのではなく、ゲームや映像コンテンツなど、ユーザーを中心とした遊び場を作るという点は、地域を変えてもこだわりたいポイントですね。
――今回、中国に再参入されますが、ほかに木村さんが気になっている地域はありますか?
木村:日本のアニメコンテンツへの関心が高いヨーロッパは気になっています。
――続いて国内についても聞かせてください。現在の日本のスマホゲーム市場をどう見ていますか?
木村:スマートフォンの普及率も高まり、現在の日本のゲーム市場は停滞期に入りつつあるように思っています。ともすると、同じようなゲームばかりがリリースされるような状態になる可能性があります。
遊ぶ人の生活様式を変えるような新しい遊びが、これからの国内市場のカギになると思いますし、私たちが目指しているゲームです。
――では、そのような新しい遊びを目指す上で注目しているタイトルはありますか?
木村:『Pokémon GO』には注目していますね。生活様式を変えるゲームという意味で「まだこんな遊びがあるのか!」 と勇気づけられました。
――最後に、国内のゲームユーザーにひとことお願いします。
木村:これからも、ゲームだけでなく、ユーザーが中心となった遊び場を作っていきたいと思っています。
ユーザーを盛り上げるために、さまざまな展開を予定していますし、モンストなどのゲームも、これからもどんどん変革していきます。楽しみにしていてください。
https://youtu.be/HjzqCkQL5xA
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