IGGのグローバル戦略は?『ロードモバイル』の未来像も!
――もともとIGGはどのような経緯で設立されたのでしょうか? 設立当初の理念などもおうかがいできればと思います。
ヘンリー・ウー氏(以下、ヘンリー):IGGを設立したのは2006年のことです。中国とアメリカのメンバーが中心となって活動を開始しました。
主に中国が開発を、アメリカがマーケティングと運営を担当する形です。
その当時はまだスマートフォンが普及していなかったので、PCのオンラインゲームを中心にサービスを行っていました。
中国ではその頃、PCオンラインゲームがとても流行していて、Tencent(テンセント)のような大手企業を通じて多くのサービスが中国国内向けに配信されていました。
しかし、われわれは他と違い、アメリカとヨーロッパを中心に展開してきました。これがIGGの大きな特徴ですね。
――これまでに手掛けてきた中で、どのようなタイトルがヒットしましたか?
ヘンリー:IGGは、2012年にスマートフォンゲーム市場へ本格的に参入しました。
そして、2013年にリリースした『Castle Clash』は、おかげさまでヒットタイトルとなりました。
当時、アメリカのマーケティングチームが市場データを分析して、PCのブラウザゲームでは3万人くらいのユーザーを獲得できる可能性がある一方、スマホゲームでは30万人を獲得できるという結論を出しました。
実はそのとき、4つのPCゲームを開発している最中だったのですが、投資家とも相談して方針をガラッと変更したのです。
結果的に、その決断が功を奏した形になりましたね。
――今年で設立から11年とのことですが、その中で特に苦労した出来事などはありましたか?
ヘンリー:苦労話は尽きませんが(笑)、やはりPCからスマートフォンへの転換が大きな決断となりました。
それから、2013年に香港で株式の上場を果たしたのですが、こちらも会社としてはとても重要な出来事でしたね。
また、先ほどの『Castle Clash』はスマホゲームとして初めて1カ月で1,000万ドルのセールスを達成したのですが、次のタイトルをどのようにヒットさせ続けるかというのも、悩ましい点でした。
幸いにも『ロードモバイル』が第2の大ヒットタイトルに成長してくれたので、これは非常にうれしかったです。
――『ロードモバイル』は全世界6,000万ダウンロードを記録するほどの高い人気ですが、海外ではどのような点が支持されているのでしょうか?
ヘンリー:アメリカでプロモーションを行う際に、「Find Your Ally, Find Your Fight」というキャッチコピーを考えました。これは、プレイヤーのあらゆる趣向にこたえる懐の深さを表しています。
『ロードモバイル』にはRPGのような冒険モードや、ヒーロー、ギルド、アリーナといったさまざまな要素がありますね。多様なプレイヤーの趣向にこたえることのできる奥深さことが、海外で支持されている理由だと思います。
ちなみに私自身は、ギルドでの活動が楽しいと感じています。友だちを手伝ったり、一緒に目標を達成するために行動したりするのがいちばん楽しいですね。
――どのようなコンセプトを立てて『ロードモバイル』の開発を始めたのでしょうか。
ヘンリー:IGGのCEO(Duke Cai氏)はストラテジーゲームが大好きで、昔からコーエーの『三國志』シリーズを遊んでいます。今までに3万時間以上プレイしているらしいです(笑)。
『ロードモバイル』はストラテジーをベースに、MMORPGの要素を詰め込んでいます。1人で遊ぶのではなく、みんなで一緒に遊べるストラテジーゲームを作るというのが、開発当初の大きな目標でした。
――あらためて、日本において『ロードモバイル』を積極的に展開していこうと考えた理由をお教えください。
ヘンリー:弊社のグローバル戦略にかかわってくるのですが、もともとはアメリカ支社がマーケティングを担当していたので、『ロードモバイル』も欧米中心に発展してきました。
しかし、振り返ってアジアを見たときに、そこには日本・中国・韓国という大きな市場がありました。
これまで、日本での展開を積極的に行ってこなかった理由としては、やはり、そのマーケットの特殊性が挙げられます。
その特殊性を攻略するためには、日本人のスタッフを中心に、日本に特化した体制を整える必要がありました。
今回、ようやくその体制が整ったので、より多くの日本のみなさんに『ロードモバイル』を楽しんでいただけるよう、積極的な展開を行うことを決断しました。
――ヘンリーさんから見て、日本のゲームファンはどのように見えますか? 海外のマーケットとの違いなどもお教えください。
ヘンリー:さまざまな調査を通じて、日本のユーザーはゲームサービスに対してとても厳しいという印象があります。
それと、みなさんの好みの部分も海外と違っていて、PvPの競争よりは自分の領地を発展させたりヒーローで冒険したりしていく要素が好きという傾向があるようですね。
また競争よりも、仲間同士の協力要素が重要視されるようです。これらは海外と大きく違っている点だと考えています。
――今回のテレビCMで起用された5人のキャストは、日本では今とても注目度の高いタレントの方々です。どのような基準で起用を決められたのでしょうか?
ヘンリー:日本支社のマーケティングチームが中心になって選んでくれたのですが、「難しい」や「なじみがない」といったストラテジーゲームのマイナスイメージを取り払うことを第一に考えて決定しました。
「ロードモバイル」を実際にプレイするとわかっていただけると思うのですが、チュートリアルが丁寧だったり、RPGの要素が入っていたりと、実は、遊んでみると日本人の方にも違和感なく受け入れてもらえるゲームです。
お笑い芸人の方々があえて、ゲーム内のキャラクターを演じることで、日本の方々に親近感を持っていただきたかったというのが、起用を決めた大きな理由です。
――完成したCM映像をご覧になって、感想はいかがですか?
ヘンリー:「ヒーロー篇」も「ギルド篇」も、すごく面白いですね!
『ロードモバイル』の大きな特徴の1つであるヒーローが、うまく表現されていると思います。
日本独特の文化であるお笑いの要素もあり、「うまくできたな」という感想です。視聴者のみなさんにも、きっと楽しんでいただけると思います!
https://youtu.be/NLjEGSmCEKw
https://youtu.be/93o32eyWPvQ
最初に見たのは、まだCGが合成されていないグリーンバックの映像だったんです。その状態ではイメージしづらかったのですが、完成版を見てクオリティーの高さに驚きました。
https://youtu.be/kpoVMpNmQyk
――ヘンリーさんはご自分でもプライベートでゲームをやるほうでしょうか? どのようなジャンルが好きですか?
ヘンリー:ゲームはとても好きです。やはりストラテジーが好きですね。
特にソーシャル要素のあるゲームが好きなのですが……けっこう課金をしてしまう方なので、キャラクターが強いんです(笑)。
そのせいで、仲間からいろいろと頼まれる機会も多くて……だけど、ゲームでも責任感を味わえるのがいいですね。会社での業務と同じく「All for One, One for All」の精神で遊んでいます。
あとは、ちょっとした時間に楽しめる『キャンディークラッシュ』のようなカジュアルゲームも好きですね。
――『ロードモバイル』のヒーローの中では誰が好きですか?
ヘンリー:やはり「守護騎士 アルフレッド」が大好きです。ゲーム開始時から頼りになるので、なじみ深いですね。
それと、「薔薇の騎士 ジョアン」もよく使います。冒険モードやコロシアムで強いので、とても活躍してくれます。
――今後のアップデートの計画などがあれば、お教えください。
ヘンリー:詳しくはいえないのですが(笑)、新システムや新ヒーローをどんどん追加していく予定です。
また今回のCM放映に合わせて、日本風のお城のグラフィックを導入しています。今後も日本の文化に合わせた遊びを追加していきたいと考えています。
会社全体の戦略としてはグローバルな展開を掲げていますが、一方で、ゲームの遊びの部分については各国の文化に合わせたローカライズを進めていく「Think globally, Act locally」というのが、IGGの基本方針です。
――日本のアニメやゲームとのコラボなどはあり得ますか?
ヘンリー:可能性としては十分にあり得ます。先ほど申し上げたとおり、日本支社に日本人を中心とした体制が整いました。その可能性は以前より高まっています。
面白い企画があれば、ぜひやってみたいですね。
――『ロードモバイル』を日本で展開していくうえで、どのような点に力を入れていく予定でしょうか? ファンイベントやトーナメント大会などの構想はありますか?
ヘンリー:ぜひやりたいです! 台湾と韓国では、ファンイベントの実績がありますので、日本でも実現したいです。
おかげさまで『ロードモバイル』は全世界の方から多くの支持をいただいております。今後は、さまざまな形でユーザーのみなさんに、できる限り還元していきたいですね。
――日本のゲームファンに、『ロードモバイル』をどのように楽しんでほしいですか?
ヘンリー:『ロードモバイル』は初心者からヘビーゲーマーまで、すべての人が楽しめる懐の深さがあります。ぜひ、一度手に取って遊んでみてください。
そして、仲間同士で力を合わせて目標を達成する快感を味わってほしいですね。
世界中のプレイヤーがあなたを待っていますよ!
Find Your Ally, Find Your Fight!
――本日はありがとうございました。
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