Drop Flip【ゲームレビュー】

『Alpha Omega』や『har•mo•ny』シリーズなどのパズルゲームを数多く手掛けているBorderLeapの新作が登場した。この『Drop Flip』は、さまざまな物理法則を利用してバケツにボールを放り込むというシンプルなルールとなっている。

重力を支配せよ! 計算と偶然で正解を導き出す物理演算パズル

個人的な話ではあるが、筆者はパズルゲームをあまりプレイすることがない。決して嫌いなのではなく、苦手なのについつい熱中してしまって、時間を浪費することになってしまうからだ。

いわゆる、下手の横好きというやつだ。そのため、面白そうなパズルゲームが登場してもそのままスルーしてしまうことが多い。

画面をタップすれば即ゲームスタート。ストアからダウンロードしてしまえば、オンライン環境でなくてもプレイできる

今回紹介する『Drop Flip』はゲームの説明を読んでみても、ふんわりとしていて内容がよくわからない。そのせいか、パズルだということに気づかないままゲームを始めてしまった!

基本ルールは非常にシンプル。ゲートの上に乗っているボールを障害物などで誘導し、画面のどこかに置かれたバケツに放り込めばOKだ。

画面をタッチするとゲートが開き、その上に乗っているボールが重力に引かれて画面の下方向へ落ちてくる

ステージによって数秒でクリアできることも!?

本作にはライフもなければ、回数制限も時間制限もない。プレイヤーはじっくりと考え、試行錯誤しながら障害物を回転させたり、移動したりしながら正解を導き出していくことになる。

障害物にはいくつかのパターンがあり、決められた範囲で位置を移動させたり、タップで回転させたりすることができることがある

障害物の移動感覚はアナログ的で、微妙な調整によって結果が変わってくる。このあたり、しっかりとした物理計算に基づいてボールの動きが決められていることがわかる。

ただし、中には障害物をいっさい操作できず、振り子のように回転する障害物の動きに合わせてタイミングを図るだけのステージも存在する。この場合は、頭脳だけでクリアまでたどり着くというわけにはいかないようだ。

場合によって数秒で解けることもあるので、手ごたえのなさにびっくりすることもあるかもしれない

重力が反転!? ステージが進むごとに奇想天外な仕掛けが登場

基本的に各ステージでは画面の下方向に重量が働いているが、ステージによっては画面中に渦巻のような障害物が登場することもある。これは、ボールを引き寄せる効果を持つブラックホールのような存在だ。

バケツがさかさまになったステージでは、ブラックホールのような障害物をうまく利用しないとクリアできない

とはいえ、こいつはボールをがっちりホールドしてしまうような強烈な重力は持っていない。せいぜい、近くを通過するボールの軌道を変えてしまう程度。

天体の重力で宇宙観測機の移動を制御する「スイングバイ」をイメージしてもらえばいいだろう。

渦巻のような仕掛けにボールが近づくと、下方向に働いているはずの重力に逆らってボールが別の方向へ「落ちて」いく。このステージの場合、上から下へ、下から上へ、さらに上から下へと、野球のナックルボールのような動きを見せる

微妙な調整とタイミングの見極めがモノをいう

本作では1つのステージをクリアすることで、次の新たなステージが開放される。収録されているステージは全部で100種類となっており、いったんクリアしたステージはいつでも再チャレンジ可能だ。

多分に運の要素が絡むとは思うが、実際に4時間ほどですべてのステージをクリアすることができた

転がってくる超巨大なボールに反射させて方向を変えるステージや、バネのような仕掛けでボールを弾くパチンコのようなステージ、糸でつり下がった障害物がゆらゆらと動くステージなど、パズルのバリエーションはかなり多い。

新たなステージへ進むたびに、見たことのないような奇想天外なお題が提示されるのはなかなか楽しい。

ボールを反射させる場所が球状の面だったりすると、角度の調整が非常に微妙に! なるべくなら通勤通学の電車の中などではなく、できるだけ落ち着いた環境でプレイしたい

横画面のステージもある。これは、自分のボールとは別に、小さなボールが次々と上から降ってくるステージ。先に小さなボールがバケツの中に入ってしまうとクリアは不可能となってしまう

しかしながら、後半のステージになるにつれて、操作できる障害物が存在せず、ただ動く障害物に合わせてタイミングのみを図るようなステージが増えてくる。

ときには、用意された仕掛けの一部を使わないままクリアできることも。さらに、針の穴に糸を通すような感覚でタイミングを見極めて、ボールを始動するだけのステージもあった。

回転するバットのような装置でボールを弾き、バスケットゴールのような障害物に当ててバケツにシュート!

そのようなステージではあまりパズルを解いているという感覚は味わえず、とにかくイメージどおりにボールが動いてくれるように念じながらひたすらタップを続けるという羽目に。

すべてのステージはトライアンドエラーの繰り返し。偶然で成功してしまうことも少なからずあった。

「頭脳は不要!」とまでは言わないが、とにかくシビアなタイミングのタップを求められるのは少々辟易した。また、正解がまったくイメージできないときでも、たよりになるヒントなどはいっさいない。

おしくもゴールならず! 途中でボールが止まってしまった場合などに、自動でリスタートが掛からないのはちょっと面倒。画面のどこかをタップしてリトライを選択しよう。動かした障害物はリセットで元通りの位置に戻すこともできる

攻略の難易度はステージによってバラバラだが、極めてシビアなチャレンジを成功させてみたいというフロンティア魂を持った人なら、やりごたえのあるタイトルだといえるだろう。

斜面で転がしたボールを下から突き上げ、放物線状にバケツへ放り込む。1つの画面に収まりきらないような広いステージはスクロールで全体を確認できるだけでなく、ピンチ操作で画面を縮小してすべての範囲をチェックできるようなシステムがあれば、なおよかった

  • 使用した端末機種:iPad mini
  • OSのバージョン:iOS 9.1
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1

(C) 2016 BorderLeap, LLC