【変ゲー1人探検隊】第13回: 骨折り損? な変ゲー

昨年骨を2回折った。いずれもゲームがらみだった。一度目は、とあるMMORPGの大規模アップデートに夢中になり、寝る間も惜しんで遊んでいたら持病が悪化し、咳が止まらなくなった。3日目に激痛がして起き上がれなくなったので病院に行くと、肋骨にひびが入っていた。原因は咳。

二度目は、ゲームやりたさに廊下を走っていて、したたかに足の指を壁に打ち付けた。パキャッという乾いた実にいい音が響いた。

「折れていないといいなぁ」と願いつつ放っておいたら、いい具合に膨れ上がったので見てもらうとやはり折れていた。いずれも大変残念な思い出である。しかも痛かった。

骨粗鬆症を心配したが、検査の結果骨密度は人並み、年相応であった。

ゲームは人を夢中にさせ、骨も折る。しかし、遊ぶたびに骨が折れていてはかなわない。今回はスマホの中で、諸君とは無関係な、骨にまつわる変ゲーを紹介しよう。

骨の出てくる変ゲーといえば、『Pizza Vs. Skeletons』が第一に上がるが、すでにじゅうぶん知れ渡ってしまっているので、この連載で紹介するのはやめておく。

ここではもっと微妙で、時間も金も使うのが惜しいようなギリギリ感のある作品をピックアップしていきたい。

スケルトンの昇進パーティー

原題は『Skeleton Warrior Evo Party』。変ゲーの特徴の1つである、おかしい翻訳でつかみはバッチリだ。「昇進」は誤訳で、「スケルトンの進化パーティー」が正解。

ゲームシステムは、国産タイトル『アルパカにいさん』とほぼ同じ。スケルトン仲間を殴って倒し、吸収して経験値に変換していく。一定の経験値がたまると、さまざまな姿に進化していく。

見事なパクリゲーなわけだが、個人的にはキモかわ系のアルパカより、こちらの方が愛嬌はあると思う。

ゲームスタート時に一生懸命意気込みを語ってくれるスケルトン君。かわいそうだが君は実は、使い回しキャラクターなのだよ。開発側にとっては君は骨でも骨付き肉でもどっちでもよかったのだ

気が向いたときにぽちぽちタップして、進化するのを眺める、ただそれだけの単純なゲームだ。

「それのどこが変なんだ!」とお怒りの方には、開発のLionbirdによる他タイトル一覧をストアで眺めていただきたい。

なんとこのスタジオ、同じシステムでキャラクターを変えただけのゲームを無数にリリースしているのである。

タップして融合するドラゴン、ねこ、ハムスター、ユニコーン、金魚、そしてサラリーマン……。見ている方が不安になる、クローンゲームの列。見終わるころには怒りが呆れに変わるだろう。

スケルトンは、たまたま「素材」として選ばれただけなのだ。

スケルトン進化ファイル。クローンゲームの1つにしか過ぎないけれど、この絵柄は何となく憎めない。すぐに消えてしまう存在でも、趣味が表示されているのが哀愁を感じさせる

なのに起動時にスケルトンはこう語る。「自分はダンジョン住まいの小さなスケルトン(中略)。だけど、自分だって尊厳を持った死に方をしたい!」

右サイドの虹色バックの星アイコンをクリックすると、たくさん吸収できちゃうフィーバータイムが始まる。思った以上にキラキラするので、かえってクリックしづらくなってしまうのだが……

かくして、このスケルトンはブラックスマホゲー界の片隅で、永遠に吸収合体をさせられる運命になってしまったのだ。そう思うと深い気がしないでもない。ほんの少しだけ。

ワールウインド(Whirlwind)

剣を回すことしかできなくなった騎士が、迫りくるがい骨どもの襲来に立ち向かうアクション。

どう考えてもたちの悪い呪いか奇病の類だ。止める方法はないらしいので、懐に入り込まれないように移動しつつ、敵に剣先を当てて倒していく。

タイトル画面でも、アルフレード二世氏は剣を振るのがやめられないご様子。ここでも傾きによる操作ができるので、左下端の[Calibrate]オプションで調整をしておこう

主人公Alfredo Jr.(アルフレード二世) の移動は、デバイスの傾けで行う。よって、タブレットよりスマホの方が遊びやすい。

実際、筆者がiPadでプレイしてみた結果、落としそうになったことが2回、ポーズキーを押そうとして片手を動かしたところ死亡が数回あった。

ワンミス即ゲームオーバーのエンドレス仕様。敵はがい骨だけでなく、悪霊や異形の存在もおり、微妙に移動速度が違うような、そうでもないような不思議な動きをしてくる。

スタートで即、戦いが始まる。予想以上にがい骨の移動スピードが速かったため、この後すぐ死んだ。初プレイは記録0のままゲームオーバーという不名誉な結果に

基本モノトーンのゲーム画面に、不意に赤い敵が現れたりするものだから、そっちに気を取られて目の前の敵の処理がおろそかになり、墓石になってしまったりもする。

シチュエーションはかなり変だが、意外とやり込みがいのある作品。剣が止まらないという「縛り」がゲーム性に貢献している。

ティルトコントロールがしんどいプレイヤー向けに、タッチで操作するモードもあるのでご安心を

剣がない側は無防備になるので、わき腹をさらさないような位置取りが重要になってくる。ところで寝るときも食事中もこうなのかな? と考え始めるとやたら気になってしまう。

(c)Lionbird LTD
(c)Magic Cube Co,. LTD