Lifeline 2【ゲームレビュー】

シュウたろ
2015年10月02日

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『Lifeline 2』は、世界29ヵ国のApp Storeの有料アプリランキングで1位に輝いた、3 Minute Gamesによるゲームブック形式のデジタルアドベンチャー第2弾。リアルタイムで進行するゲームシステムと、前作の作者デイヴ・ジャスタス執筆によるサスペンスフルなストーリー展開で、プレイヤーを魅了する注目作となっている。

リアルタイムテキストアドベンチャーの第2弾は
ダークサスペンスファンタジー

本作はデジタル版ゲームブックとうたっているとおり、画面に表示されるテキストを読み進めながら物語の展開を追っていくアドベンチャーゲームだ。随所に表示される2択の質問に答えることでストーリー展開が変化し、どのような結末を迎えるかはそれぞれのプレイヤー次第となる。

そして、最大の特徴は、ストーリーがリアルタイムで進んでいくこと。単にストーリーを文章で読むのではなく、作中のキャラクターとの会話のやり取りですべてが進行していく。

常にリアルタイムでストーリーが展開していく異色のアドベンチャー。今作の物語は、何やら不気味な雰囲気にあふれている

前作のストーリーは、宇宙で事故にあった主人公を危機からの脱出に導くというものだったが、今作では両親を殺されて異世界に消えたという弟を救おうとする、1人の少女を助けるダークサスペンスファンタジーの物語となっている。

少女との会話は常にリアルタイムで進んでいくが、このやり取りは『LINE』を使って2人だけで話をしているようで、そのリアルさはハンパじゃない！まるで実在する相手と会話をしているような感覚に陥ってしまう。会話の途中、場合によっては少女からの返事を待つ必要にあるタイミングもやってくる。

いつ返事が返ってくるのかわからない、いったい何がどうなっているのか？　……数分間、数時間。返事を待っている間の緊迫感もたまらなくリアルだ。

いきなり始まる少女との会話。彼女は魔法を使うことができるという。そして、お互いの自己紹介の後に、とてつもないストーリーが始まっていく

臨場感がハンパない！ 2人だけのやり取りで少女を導いていこう

少女との会話から、徐々に明らかになってくる彼女の過去と現状。リアルタイムで行動している彼女が次にどうすればいいのかを、プレイヤーは2択の質問の中から選んで導いていく。「右に行くか左に行くか？」「戦うか逃げるか？」など、その内容は他愛もないものからストーリーの進行に関わる重要なものまで、さまざまだ。

選択肢をチョイスして先に進んでいく中で、彼女から即座に返事が返ってくる場合もあれば、かなり待たされてしまう場合もある。数時間で集中してプレイするというよりは、メッセージが届いたら手の空いた時間に内容を確認して返信するという、『LINE』や携帯メールのようなライト感覚で楽しめる。

少女から返事が来ると、スマホのホーム画面にある本作のアイコンやロック画面に、着信マークやその内容が表示される。本当に存在している相手とやり取りをしているような演出で、ワクワク感をあおってくれる。

選択肢は2択で表示される。どちらを選ぶかで、ストーリー展開が大なり小なり変わっていく

まるで現実のような演出。少女からの返事は、ロック画面やホーム画面でも通知される

完全テキスト型のゲームなのでストーリーの内容は伏せておくが、ある目的地に向かうための移動方法で迷ったり、必要なアイテムを手に入れるために不気味な場所を探索したり、何者かと戦ったりと、波乱に富んだストーリーが展開していく。

少女が取った行動でどうなるかが決まってくるのだが、その行動を導くのはプレイヤー自身。彼女が唯一頼れる存在である自分が、その命運を握っているのだ。やがて全人類を襲う邪悪な存在と戦うことになる少女のストーリーは、前作のおよそ2倍のボリューム。選択肢の数も大幅にアップしておりじっくりと楽しめる出来栄えとなっている。

彼女がどういう状況にあるかは、常に把握することができる。どんなシチュエーションでも最良の選択で導いていきたいが……

初回のプレイと2回目以降の楽しみ方

本作は選択肢によるストーリーの分岐が多く、エンディングも複数用意されているので、初めてプレイするときには、まずは直感でエンディングまで進めてOK。なるべく早く1回目を終わらせるには、事態を進行させるような選択肢を意識して選んでいこう。ゲームプレイの効率を考えるなら、じっくりと物語を味わうのはセカンドプレイ以降にするのがベター。ゲームというよりは会話を楽しむ感覚なので、電車内でも食事中でも、あるいはデート中でも（！）楽しめる。彼女に隠して、こっそりと少女とやり取りをする、そんなシチュエーションを作るのも楽しいかもしれない。

物語を早く進めたいと思っても、少女の行動によっては数時間にわたって返事が来ない場合もある。このもどかしさもリアルだ

いったんエンディングまでたどり着いてしまえば、2回目以降のプレイではすでに読んだ部分を早送りしながら、前とは違う選択肢で進められるようになる。異なる選択をすることで、ストーリーがどう変わっていくのかを楽しもう。1つ言えることは、最高のエンディングを見るためには「時間がかかる」ということだ。そして、すべてのエンディングを見たときに、この物語の全ぼうが明らかとなるだろう。

2回目以降のプレイでは、前回は選ばなかった選択肢で未体験のストーリーを展開させていこう

本作のリリースと同時期にiOSのバージョンアップが行われたが、筆者の場合はiOS 9.0でのプレイでも不具合はなかった。アプリ内課金や広告の挿入は一切なく、海外小説のようなウィットに富んだ会話をじゅうぶんに楽しめるし、緊迫感のあるBGMもいい感じだ。過去ログも、初回プレイからスクロールすることで読み直せるし、オプションからプレイ環境の設定ができるのも親切だ。また、オプションでおよそ28分にもおよぶサウンドトラック（BGM）を聴けるのもうれしいところ。

ただ気になったのは、ストーリーが進行していくとゲームの動作が重くなるのか、次の展開への画面表示がかなり遅くなってしまったこと。この点は今後のバージョンアップで修正されることを望みたい。iPhoneやiPadだけではなく、Apple Watchにも完全対応しているので、自分にあった端末でプレイできるのもポイントだ。