レイヴン【ゲームレビュー】

美麗な3Dグラフィックでハイスピードバトルが楽しめるアクションRPG『レイヴン(RAVEN)』。先行して配信された海外ではすでに150万ダウンロードを突破し、セールスランキングでもトップ10入りを果たしているという注目作だ。移動と攻撃を自動的に行ってくれるオートバトルシステムや、武器ごとに異なるアクティブスキルなど、手軽にやり込むための各種要素が盛り込まれているのが特徴となっている。

ストーリーと爽快さを重視。ハクスラ系アクションの1つの選択肢

ハックアンドスラッシュ系アクション(以下、ハクスラ)が隆盛を極めていることは今さら語るまでもないが、やはり各タイトルでほかとの差別化という点に腐心しているのが見て取れる。そういった状況の中で本作の特徴の1つとなっているのが、豪華声優陣によるイベントパートのフルボイス化だ。

オフィシャルページでキャストを確認したところ、佐々木望さん、竹達彩奈さん、田中敦子さん、大塚明夫さんというラインナップの豪華さに驚いたのだが、これも話題づくりの一環で「戦闘時の掛け声くらいだろう」と思ったら……。あにはからんや、ムービーによるイベントまでもが完全フルボイスなのである。これには2度びっくり。なるほど、豪華な声優をアテンドすることにも意味がある。

豪華声優陣がバリバリしゃべるという点は往年のCD-ROMによるゲームの時代を彷彿とさせるが、実際よくしゃべるのだ

ゲームシステムはオーソドックス

アクションパートでは左手で移動を操作し、右手で攻撃するというハクスラ系アクションとしてはおなじみの操作ボタンの配置。異なる点があるとすれば、攻撃ボタンの周囲に配置される特殊攻撃が、キャラクター由来ではなく武器由来であること。つまり、強い武器ほど多彩な特殊攻撃を行うことができるし、武器に属性もあるので、マップによっては有利不利といった戦略面にも影響が出てくる。

また、タイトルによってはあったりなかったりする回避ボタンが搭載されており、回数無制限で使用できる。賛否あるだろうが、個人的には回避ボタンがあるほうが望ましいと思っているのでありがたい。ちなみに、装備品にはキャラクターのレベルによる足切りがないので、最初に強い装備を手に入れれば、いきなり無双状態になれるのも爽快でよかった。ときにゲームバランスを崩しかねない要素だが、本作が「爽快」であることを重要視していることがよくわかる。

装備品にはそれぞれ、一般、高級、希少、英雄というレアリティーが割り振られている。所持してしまえば、特に制限なくどれでも装備可能だ。またオート装着によって、その時点でもっともパラメータの高い装備が自動で装着される

データは完全共有型

これまたハクスラ系ではおなじみだが、最初に作ったキャラクター以外にも、ほかの種族やクラスのキャラクターを使用することもできる。この際のデータは完全に共有化されていることに注目したい。タイトルによっては、それぞれ別のキャラクターでは別のデータを作って保管しており、課金通貨以外は別扱いというものもあるのだが、本作の場合はデータ共有化のメリットとして、ゲームの進行状況も共有されているという点が挙げられる。

つまり、いちいち最初からやらなくて済むので、ゲームの進行がスムーズだということ。デメリットとしては、マップクリア時の初回報酬などのイベントが1度きりだという点がある。これが案外厳しく、鍛えたキャラでクリアすれば楽なのだが、そうするとそのキャラの装備しかもらえないので、弱いキャラはなかなか強くできない。かといって弱いキャラだとマップのクリアがおぼつかないと、なかなか痛しかゆしであった。

同じステージでも、選択したキャラクターによって拾える装備品が異なる。武器に限らず、防具も種族ごとに違っているので、それぞれ育成する必要がある

オートバトルモードはかなり優秀!

最近ではハクスラの基本要素の1つとなっているオートバトルモード。本作のそれもかなり優秀だ。もともとは、自分のキャラクターに対して低レベルのクエストの作業感をなくすためのものだったと思うが、本作では最初から強い装備を持てるので、オートに任せきりにしてもかなり先まで進むことができる。ただし、特殊技や回避は使ってくれない。これらはオートモード中でもプレイヤーが任意に発動させられるので、オートでの戦闘を見ながら適当なところで使うのが望ましいだろう。

自分が操作する場合でもオートバトルモードの場合でも、今作で最も恩恵を授かったのは、何といっても回避だった。使用回数が無制限でクールタイムもないのは非常にうれしい。またボスが大攻撃を繰り出す瞬間の隙も大きいので、回避をうまく使うとかなりいい感じで戦闘が進められ。AIとの役割分担が明確で、プレイ時のストレスが少ないのもポイントだ。容易にベテランプレイヤーと見まがうばかりの動きができて、アクションが苦手な筆者も気持ちよく遊べた。

回避からの回り込みは有効なテクニックの1つだが、回避だけ行えばあとはAIが勝手にやってくれる。ここら辺が実に手軽でいい

キャラクターは3種類

簡単にキャラクターの説明もしておこう。プレイヤーが選択できるのは、ヒューマン、エルフ、バンゴの3種類。デモ中にナイトやダークナイトといった職業が表示されるが、最初の選択肢としては登場しない。おそらく上位職へのクラスチェンジなどで登場するのだろう。特性としては、バランス型のヒューマン、スピード重視のエルフ、攻撃力と防御力の高いバンゴと考えるのが妥当である。前述のとおり、使用キャラは後から増やせるので好きに選んでいい。なお、キャラクターに名前は付けられない。

最初に選択したキャラクター以外は、ゴールドで購入する方式。種族選択は装備画面から行う

イベントムービーは家庭用ゲーム機にも見劣りしない

本作の特徴の1つとして豪華な声優陣を起用したムービーシーンを挙げたが、さすがに力が入っているため、スマホゲームとは思えないほど精密で美麗である。特に最近の端末は「Retinaディスプレイ」を搭載していたりするので、ハイエンド機ほどその恩恵を受けられるだろう。

また、ムービーに力が入っているということは、それだけシナリオもしっかり作られているということ。ここも好みが分かれるところだが、シナリオがほかの作品に比べるとちゃんと練り込まれている印象を受けた。ただし、ゲームプレイのテンポ感を失わせないように別のモードとして用意されており、見たくなければ放置しておいてもかまわない。

シナリオの進行は、プレイヤーレベルに応じて王宮にて開放されていく。イベントを進行させることで報酬も得られるので、可能な限りプレイしておいたほうがいいだろう

充実した内容だがデータのロードが長いのは残念

充実した高品質のムービーや、PCオンラインゲームを彷彿とさせるレイド戦およびPvPバトルなど、現状想定されるあらゆるゲームモードを搭載しているのだが、その反面でデータが重くロード時間が長いという欠点もある。特に、読み込みが必要ないであろうキャラクターの入れ替えなどで待たされるのは、それなりにストレスがたまる(ことによっては前画面に戻されたりもする)。

通信環境が悪いのかと思ったが、4G通信でもWi-Fiでも変化はなく、さらにほかのゲームが問題なく動いていることも確認したので、これは現状での本作の仕様である。端末のメモリが圧迫されている可能性も否定できないが、その部分が欠点として目立ってしまったのは残念である。今後のバージョンアップに大いに期待したい。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.0.2
  • プレイ時間:約5時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

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