日本のアプリ消費支出数は130億ドルを突破!
[以下、リリースより]
Google PlayとiOS App Storeで提供されているアプリ数は600万本を越えます。
あらゆる業界の消費者向けビジネスで、アプリがますます重要なチャネルとなるなか、2017年は、「AR」や「ライドシェア」など、新たな分野でもアプリが活躍の場を広げました。
アプリ市場データを提供するApp Annieは、2017年を振り返る調査レポート「2017年アプリ市場総括レポート」を発表したことをお知らせいたします。
本リリースでは、各カテゴリごとのポイントを抜粋し、App Annie Japan代表滝澤や、利用企業さまからのコメントを交えながらご紹介いたします。
サマリー
- 日本のアプリ消費支出数、2017年に130億ドルを突破!
- 仮想通貨が話題になり、仮想通貨に関連するアプリも成長
- Facebookのアプリが世界各国のソーシャルアプリ市場を席巻する中、日本ではLINEが第1位
- Instagramは戦略的な機能追加で2017年も成長
- ライドシェアアプリの収益は450億ドルを越え、世界的なトレンドに
- 話題のARアプリ、意外にも総ダウンロード数に占める割合は1%未満 2018年はHarry Potterアプリがブームを牽引?
日本のアプリ消費支出数、2017年に130億ドルを突破!
2017年のユーザーのアプリダウンロード数は、2015年に比べて60%増えました。
ユーザー単位で換算すると、1人のユーザーが毎月新しいアプリを2本以上ダウンロードしたことになります。
また、Google Play、iOS App Store、サードパーティのAndroidストアを合計した消費支出は、2年前から2倍以上増えて860億ドルを突破しました。
これは、世界の映画興行収入の195%以上の数値であり、大きな躍進を遂げていることが分かります。
発展途上国におけるスマートフォンおよびアプリの力強い普及と、成熟市場におけるアプリの収益力の向上に牽引され、消費支出は今後も増加するでしょう。
日本全体で見てみると、2017年度消費支出は130億ドルを突破し、2015年度に比べ60%増加しました。
App Annie Japan代表 滝澤コメント
現在大きなシェアを占めるゲームも大きく伸びたことに加え、コミックやソーシャル、音楽や動画などのエンタメ系などの非ゲーム系分野も伸びています。
これは、アプリが消費行動に根付いたということのあらわれでしょう。
ファイナンスアプリ
フィンテックアプリの普及が進む
モバイルがチャネルとして存在感を増したことで、モバイルに特化したフィンテックサービスの影響力が拡大しています。
便利で使いやすいサービスを提供することは、銀行にとって大きな課題です。
フィンテック業者はすでにアプリを通じてこれを実現し、口座情報の集約、決済、投資などのサービスをカバーしています。
Appleも「iMessages」、「Siri」、「Apple Pay」アプリなどを通じて利用可能な個人間送金サービスを開始しています。
こうしたフィンテック業者の集合が、フルサービス型のリテールバンクを脅かす存在となっています。
フィンテック業者が提供するサービスはいずれ業界標準となり、対応の遅いリテールバンクは取り残されることになるでしょう。
「Lloydsにとって、アプリは変化するお客様のニーズに対応するための戦略的資産であり、よりパーソナライズされた適切なバンキング体験の提供を可能にするものです。ゆくゆくは、あらゆる取り組みをモバイルファーストにしたいと考えています。」
Lloyds Banking Group モバイルインサイトおよびストラテジー責任者 マーティン・ローバトム氏
仮想通貨が話題になり、仮想通貨に関連するアプリも成長
仮想通貨市場が盛り上がるにつれて、関連するアプリの利用が急増しています。
仮想通貨をいつでもどこでも監視、保管、売買できるこの種のアプリは、トレーダーには欠かせないツールになりました。
これら仮想通貨アプリは、仮想通貨の価格と消費者の熱狂の高まりに合わせて急速にユーザーを獲得しています。
App Annie Japan代表 滝澤コメント
仮想通貨は日本の取引量が多いこともあり、2017年を通してニュースを賑わせました。
仮想通貨の取引においては、手軽に素早く価格をチェックし、取引を行うというニーズが強く、ユーザーの間では、アプリが使いやすいかどうか、が取引所選びの1つの基準にもなっているようです。
ソーシャル
Facebookのアプリが世界各国の市場を席巻する中、日本ではLINEが第1位
Instagram、戦略的な機能追加で2017年も成長
Instagramは2017年第4四半期、米国のAndroidフォンにおける総利用時間が2年前と比べて70%増加しました。
これを牽引したのは、月間アクティブユーザー数(MAU)とユーザーあたり利用時間の安定した成長です。
Instagramの平均MAUは、iPhoneとAndroidフォンを合わせ、この2年間で30%増加しています。
すでに成熟したアプリであるInstagramがこのレベルの成長を維持できたのは、2016年と2017年を通じ、適切な機能追加をタイミングよく行ったためでしょう。
メッセージングアプリTelegram、2年間でMAUを倍増
メッセージの暗号化に加え、アプリの使いやすさと非営利企業であり続けるという同社の姿勢が、重要な価値としてユーザーの共感を呼んでいます。
ソーシャルメディアとメッセージングは競争相手がひしめくカテゴリーかもしれませんが、消費者が求めている重要な機能を提供して差別化することで、今からでも大きなユーザー基盤を獲得できるでしょう。
ライドシェアアプリの収益は450億ドルを越え、世界的なトレンドに
ライドシェア(相乗り)サービスは、2017年の収益が世界全体で450億ドルに達するなど、高い収益性を維持していますが、競争もきわめて厳しい市場です。
世界を見渡すと、市場は細分化が続いており、ユーザーとドライバーを確保するためにし烈な価格競争が繰り広げられています。
相乗りサービスは、フードデリバリーや宅配から金融サービス(UberやGrabの決済サービスなど)に至るまで、収益機会の拡大を進めています。
App Annie Japan代表 滝澤コメント
日本では法規制もあり、他国に比べてライドシェアは普及していませんが、サービス開始を望む声は少なくありません。
都心ももちろんですが、地方などではタクシーがなかなか捕まらない状況があり、ライドシェアサービスがそこを補完できるのはないでしょうか。
ライドシェアというくくりでは、自転車シェアサービスの動きも活発です。
中国の大手サービスのmobikeやofoは国外展開を進めており、先日はLINEとmobikeの提携も話題になりました。日本市場でどのように普及していくか注目です。
ゲーム
ユーザー基盤の拡大が続くゲーム市場:日本は2年で60%の成長
App Annie Japan代表 滝澤コメント
2017年は国外パブリッシャーが大きな存在感を放った1年だったように思います。
従来、国外パブリッシャーが苦戦してきた日本市場ですが、『リネージュ』、『アズールレーン』、『崩壊3rd』など、中国や韓国のパブリッシャーによるゲームは国内タイトルに引けをとらない成功を収めたと言えるでしょう。
また、任天堂の各種IPや『みんなのゴルフ』など、コンソール機で人気を博したIPがアプリにも参入してきました。
年末には、ほのぼのとした『どうぶつタワーバトル』が話題になる一方、ハードコアなバトルロワイヤル系シューティングゲームが人気を博すなど、話題に尽きない1年でした。
話題のARアプリ、意外にも総ダウンロード数に占める割合は1%未満 2018年はHarry Potterアプリがブームを牽引?
『Pokémon GO』は、2016年にリリースされ、ARに対する一般消費者の関心を高めました。
Nianticが次にリリースを予定しているHarry PotterのARゲームは、Pokémon GOに続くでしょう。
Appleが開発者向けにARKitをリリースしましたが 、ゲームの分野では「AR」ブームは起きていません。
今はまだ、魅力的な体験を提供するための取り組みを開発者が続けているところです。
現在はエンターテイメントをはじめとするゲーム以外のカテゴリーのほうが、ARの採用が進んでいます。
とはいえ、アプリストアのアプリ全体からみると、ARアプリは今もごく小さな割合にすぎません。
Lineageシリーズ、2本のアプリでモバイルでも成功
2017年は人気MMORPGシリーズの『Lineage』が、『Lineage 2 Revolution』(Netmarble)と『Lineage M』(NCSOFT)でモバイル進出を果たしました。
2本とも、App Annieによる2017年のゲーム収益ランキングトップ10に入りました。新しくリリースされたゲームでランク入りしたのはこの2本だけです。
Lineage 2 Revolutionは2016年12月末に韓国でリリースされました。世界リリースは2017年11月のため、各国で新規オーディエンスを増やし2018年はさらなる成功を収めるでしょう。
Lineage Mは第2四半期末に世界でリリースされました。たちまち成功を収め、iOSとGoogle Playの両ストアで、2017年第3四半期は2位以下に大差をつけて収益トップに立ちました。
小売
2017年11月はモバイルショッピング史上最大の月に
中国発のショッピングイベントである独身の日は2017年、世界への影響力を著しく拡大しました。
ショッピングイベントのグローバル化が進んでいる例として、AliExpressが独身の日(2017年11月11日)に、iPhoneでは69カ国、Androidフォンでは38カ国で「ショッピング」アプリのダウンロード数1位を記録しました。
「ショッピング」アプリのダウンロード数が最も多かった日は、中国、イギリス、米国、および全世界のいずれのランキングでも、独身の日またはその前後でした。
「Black Friday(ブラックフライデー)」の検索ボリューム、115%増加
2017年11月は、「Black Friday(ブラックフライデー)」の検索ボリュームが3カ月前と比べて115%増加しました。
これは、ブラックフライデーのショッピングニーズを満たすためのアプリを検索するユーザーが増えているということです。
一方、このキーワードのランク難易度も2017年8月から185%上昇しました。このキーワードを活用しようとするアプリが多いということです。
ホリデーシーズンにおけるモバイルマーケティングはかつてないほど重要になってきています。
アプリが競争力を維持するには、ASO対策と有料のアプリストア検索広告の両方に取り組む必要があります。
App Annie Japan代表 滝澤コメント
App Annieのデータを見ると、小売関係のアプリは着実にユーザーが積み上がっていることがわかります。
日本ではマクドナルドやユニクロ、無印良品が良いアプリ活用事例ではないでしょうか。
海外を見ると、商戦のタイミングで小売アプリがミニゲームを提供したりするなど、アプリならではの工夫が見られます。
日本でも昨年はマクドナルドとポケモンGoの連携が話題になりましたが、今後も様々な施策が生まれてくると思います。
消費者行動は、アプリ経由が中心に
分析した市場のほとんどで、平均毎月80本のアプリをインストールし、そのうち40本近くを使用しています。
つまり、ユーザーはインストールしたアプリのうち、平均で3分の1~2分の1のアプリを毎月使用していることになります。
さらに、ネイティブアプリの利用時間がモバイルブラウザより7倍長く、利用回数も13倍多くなっていました。
コンバージョン率をみると、 アプリはモバイルウェブユーザーの3倍近くあります。
アプリに対する消費者の関心は高まり続けており、アプリは顧客との関係を構築するための最も重要なチャネルとなっています。
アプリを経由した消費者行動が当たり前の時代に、各企業がより良いモバイル体験を提供することは必須と言えるでしょう。
AppAnnieについて
App Annie(アップアニー)は、アプリビジネスを成功へと導く強力な市場データと深い洞察を提供する世界No.1の情報プラットフォームです。
アプリ市場の情勢、自社アプリの競合優位性をより深く把握するため、70万を超えるユーザーに利用されています。米・サンフランシスコに本社を置き、世界15都市で450名以上の従業員が活躍しています。
現在までにeVentures、Greenspring Associates、グレイクロフト・パートナーズ、IDG キャピタル・パートナーズ、Institutional Venture Partners、セコイア・キャピタルなどの世界中のベンチャーキャピタルから1億5,700万米ドルの資金調達を実施しました。詳しくは会社ホームページまで。
レポートの調査手法と最新情報はこちらをご覧ください。(英文サイト)
(C)App Annie