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以前のブログにて、サークル戦について後日書くと断言した。
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何を書こうと思ったか。
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それは偏に「GvGが人数差がものを言うアクティブゲー」という苦言を呈したかったに他ならぬ。
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だがこれには訳がある。
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今までドラブラにてプレイしてきたGvG、サークル戦ではドキドキやワクワク感はあったものの、胸が熱くなる瞬間を体験することがなかったからだ。
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■今まで経験してきたサークル戦
サークル戦については時間を作ってINするようにしている。
それは今現在加入させてもらっているサークル「VVIP」の前のサークル、「ひよこクラブ」からもそうだ。
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我の戦闘力はサークル内だけでなく、全体のドラブラユーザーから見ても下から数えた方が早いほどだ。
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VVIP、ひよこクラブ共にサークル単位としては上位に位置する。
何ならトップの中でも最上位クラス。
そんなサークルに何故我が入っているか。
前にプレイしていたゲームでの知り合い伝い、そういう縁があったからだ。
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サークルというのはMMOにおける幹だ。
ゲームという土壌に根っこである人が集まり、それが空に伸びて一つにまとまる器がサークル。
先述の通り、幸いにも人伝いに入れてもらったサークルの幹は太く、頑丈で、天高く巨木を太陽に晒し、立派な枝と葉が連なっている。
質と数を備えかねた紛うことなき塔、それが我の経験したサークルの全てだ。
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そんなサークルに所属している我は幸福なのだろう、勝利を収め続けることになる。
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言わずもがな、質と量を兼ね備えていれば当然のこと。
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その中でも特に「量」が重要なファクターだと個人的に感じた。
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サークル戦は拠点を刻印(確保)し、確保した時間分だけ得点が入り、時間によってポイントが積み重ねられていくシステム。
この刻印についてはどのような攻撃であれ、刻印中の者を攻撃すれば刻印はできぬ。
つまりはランカーが2〜3名でいくら無双しようとも、箸にも棒にもかからないプレイヤーがその倍いれば刻印はできないことと等しい。
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そして更に言うならば火曜日のサークル戦である征服の地については疑問があった。
選択した場所によっては相手がいないこともザラにある。
しかもそれが3本先取ときた日には、何もしてないのに負ける日だってあるということだ。
このシステムには面白さ云々よりも理不尽さを感じるところが多々あったのだ。
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大抵の戦いは物量での轢き殺し、轢き逃げ、それの繰り返し。
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それに加えて戦闘力格差が大きい相手に対しては近付くこともできず、延々と遠距離スキルを当てて距離を取る、もはややっていることはシューティングゲームに近い。
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【MMOのエンドコンテンツはGvGである】
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そういう風な考えの中、そのGvGに対して熱を帯びきれぬ我がいた。
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■サークル戦での敗北
VVIPに加入させてもらって早いもので1ヶ月弱。
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その間に負けた試合があった。
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サークル「Castra」
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サークル戦では全戦全勝、一度も敗北を期したことのない、まさに最強の名を欲しいがままにするドラブラ屈指の最強サークル。
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大量の巨人が壁を乗り越え、ただたひたすらに襲われる民たち。
そんな言葉がぴったりの戦いだった。
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結果は当然のことながら惨敗。
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その時はVVIPも作戦や連携はあまり取られていなかったように思う。
いや、実際はあったのだが、その連携が今よりも弱かったのは間違いない。
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我は自分がギルドマスター以外の時はほぼ口を出さぬようにしている。
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他ゲームの話だが、過去に口を挟んだことにより「何を言っているのかわからない」「難しすぎる」と指摘を受けたことがある。
普通だったら良かれと思ったのにという感情が沸くかもしれないが、我としては世話になっている身故、和を乱してはならないと深く反省し、それを貫いている。
それ以前に、我程度の者が口を出してどうこうというのは烏滸がましいと考えている。
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この戦いについては何を感じたかというと、あまりにも見事な一方的展開に「またアクティブゲーか」と落胆と怒りがこみ上げていた。
ちなみにこれは相手方の戦術がなかったなどの話ではなく、単純に頭から「物量による圧殺」が離れなかった未熟な考えからきた感情だ。
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轢き殺すか轢き殺されるか。
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この極端なシーソーゲームに少しモチベーションが下がっていたのは否めない。
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■VVIPの変化
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落胆と怒り。
単にそこで思考停止していた我とは裏腹に、会長遊大を中心にVVIPのDiscordが活性化の傾向を見せる。
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戦い全体を見据えた戦略、パーティ単位や局地での戦術、各クラスにおける戦闘指南。
最初は誰もが一目見れば理解しうるものだったが、それは徐々に精錬されていき、高度な内容になっていった。
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サークル戦があれば敵がどんな相手であれど連携を試し、こうした方が良い、ああした方が良いという意見がサークル戦後に出始める雰囲気に自然となっていく。
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ギルドの崩壊パターンとして挙げられる典型的なものは「温度差」だ。
熱量の高い者が熱量の低い者に苛立ち、逆に熱量の低い者たちは卑屈になって消えていく。
ガラスのコップに熱湯を注いで割れるかの如く、ヒビに気づいた時には瞬間で崩壊する。
VVIPで凄いと思うのがこれだけの人数がいながら、その温度差を上手く調整しているところだ。
熱量が高い者が手を差し伸べ、低い(というと失礼に当たるかもしれないが今回はわかりやすくこの例えにさせてもらう)者もその手を取る。
互いの歩み寄り精神が行き届いているのが何より素晴らしい。
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これも遊大、そして支える幹部の功績が大きいと考える。
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気付けば連携も、VVIPに入ったばかりの時とは比較にならぬ程の連携を見せるようになってきた。
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ちなみに今更で悪いが、何もしてない我が偉そうに書くのも憚れるがそれは容認してもらいたい。
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ただ轢き殺す轢き殺されるのシーソーゲームから一点、様々な連携を試す日々。
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そして来る6月2日、サークル戦の相手が決まった。
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相手は過去に1度大敗をさせられた、無敵艦隊Castra。
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思ったよりも早いリベンジマッチであった。
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■戦闘準備
6月2日火曜日、20時15分。
まだ開始するには早い段階からVCには人が集まっていた。
その雰囲気は明らかに今までの戦いの中でも一線を画していた。
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Castraは当然の如く全戦全勝を維持、飛ぶ鳥を落とす勢いは止まることを知らぬ。
そんな相手に対する熱意と気合が漲っていた。
「一矢報いる」という文字の通り、一本の矢になろうとしている、静けさの中にそんな血気溢れる想いを滲ませているかのようなVCから作戦の確認が繰り返される。
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征服の地は5戦場に分かれ、その内の3戦場を獲得できれば勝利となる。
どのように戦況を見極め、どのように人員を配置するか、刃を交える前から闘争は始まっている。
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我はそういった戦略や戦術部分には一切関与していないが、しっかりと作戦は遂行するという決意があった。
いや、あったというよりも、この空気がそうさせたと言った方が正しいだろう。
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刻々と開始までの時間が減るのと反比例し、VCの参加人数が増えていく。
増えるたびに作戦を繰り返し伝える軍師面々。
念には念を入れたチェックが行われる。
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我は自由パーティだ。
即ち「戦場の人数を見て少なそうな所に入る」というパーティ。
これを読みながら偉そうに能弁を垂らしておきながら何だそりゃと思った者は多いだろう。
だが戦闘力から言っても当然の立ち回りであり、その人数埋めが重要なのだ。
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時計の長針が西を指す。
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するとVCで気になる発言が飛び出した。
どうやら重要な声出しメンバーの1人が出れないといった趣旨の内容だ。
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「誰か声出せる人いませんか」
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そんな声が戦闘開始直前にイヤホンから聞こえてくる。
この声出しの役割としては拠点の状況を随時知らせることだ。
大人数の中で声を出すというのはハードルが非常に高い。
森の中にヒッソリと潜んでいれば何も問題も起きぬだろう。
だが今日ほど「どうしても勝ちたい」という意思を感じたことはない。
本来であれば出しゃばる所ではないのだが。
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我は考えるのを辞めて手を挙げた。
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戦闘力10万もいっていない我が自ら手を挙げるのは間違っているかもしれない。
もしこれで足を引っ張ったら目も当てられない。
だが(ここでこんな風に言うのもおかしい話だが)謎の自信があった。
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これは偏にMMOにおけるGvGで得た知識を活用すればいいだけの話。
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・正確な状況の定期報告
・要点をまとめた端的な言葉選び
・援軍が必要か否かの状況判断
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上記3つの任務を正確にこなすまで。
全体把握をしなくて良くて純粋な局地的判断のみ、これはできると思った。
いや、できるできないというよりもだ。
少しでも不安要素を消してリーダーの負担を軽くしたいという気持ちだった。
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3つ目の援軍の必要可否の判断は難しいじゃあないかと思われるかもしれない。
だが考えて欲しい。
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相手は無敵艦隊Castraだ。
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一人一人がウォールマリアを乗り越えて進軍して来る巨人だと思えば判断などいらないに等しい。
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最悪刻印できないかもしれぬ、ただしカットさえできれば、延命している間にVVIP兵団がやってきて巨人の延髄を斬り落としてくれると確信していた。
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挙手をした直後、我は即座に共生から執行者にクラスチェンジを行った。
本来であればクラス人数を考慮している幹部に背く形になるとも考えたが、これが我の世話になっているサークルへ恩返しをする最善の形だと信じて疑わなかった。
最終チェックにチェックを重ね、それぞれ持ち場のVCへ。
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そして21時。
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3つに別れた部隊、その隊長であるるみぃから命令が下される。
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「では皆、【風】に入ってください!」
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Castraとの戦いの火蓋が切って落とされる。
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■ファーストコンタクト
我の持ち場は自軍拠点上だ。
移動NPCが出現してから速やかに移動を開始する。
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自軍拠点上には我を含め味方は3名。
仲間が刻印を開始する。
かなり速やかに刻印が開始されたあたり、練度が高められているのだなと感じるところが多い。
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「自軍拠点上、刻印開始、敵影なし」
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端的に状況報告を済ませる。
そして頭の中には1つの想いだけが鎮座している。
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頼むから誰も来ないでくれ。
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あれだけ「GvGで何もしないのはつまらない」とか言っておきながら、これが人間の本音というものだ。
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だが数秒待たずして
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その願いは巨人の足音と共に崩れ去ることになる。
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最初の感想はこうだ。
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派手な称号を頭につけた巨人が走って来る。
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敵は2名を我の持ち場に寄越した。
対するこちらの増援は1名、合計4名。
4vs2の局地戦だ。
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「自軍上、敵2名、味方4名」
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素早く報告を入れる。
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「いけそう?強さは?」
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派手な称号で勝手に強いと思い込んでしまっていた。
自軍上を任された、いわば小隊長である我。
見た目で怯まされるほど若くはない。
こちらは2倍の人員がいるのだ。
取り囲めばこちらのものだ。
刻印の邪魔はさせない。
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真っ向勝負を挑む我。
何としてでもここを死守する。
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こちらの攻撃を諸共せず特攻を仕掛けて来る敵。
標的は刻印をしている仲間。
そうはさせぬと間に割り込み攻撃を当てる。
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だが逆に1発吹き飛ばしスキルを喰らう我。
たった1発。
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「いけそう?相手の強さは?」
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パターン青。
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「ランカーです。」※未確定
■序盤の攻防
ランカーと分かったものの、遊撃部隊は交戦中で増援は見込めない。
まるで熱々のフライパンに氷を落としたかの如く、ジュッと音を立てて蒸発していく小部隊たち。
だが我々で何とかするしかない。
状況を判断し、冷静にVCで共有する。
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「自軍上、刻印不可能、カットに切り替え」
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このゲームは刻印カットがどんなスキルでも可能だ。
そのためカットで場を凌ぐというのは基礎中の基礎とも言えよう。
刻印をしようとすると無防備な時間が増えてしまうため、刻印は断念しカットに一局集中するのが最善の策だ。
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ひたすら設置スキルを置いて刻印をさせない。
相手もそれを理解しているため、刻印はせずにプレイヤーキルへと移行して来る。
当然の如く小隊は瀕死、壊滅寸前。
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だがこんなものは想定済みの展開だ。
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何故我が開始直前にクラスチェンジをしたか。
何故我が執行者になったのか。
月光の設置型スキルによるカットが強いからか。
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否。
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執行者の大きな特性は高い生存能力に他ならない。
生き永らえることこそがカットの成功率、試行回数の増加に繋がるのだ。
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執行者の無敵スキルである「水晶の棺」
我は密かにこのスキルをこう呼んでいる。
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「ATフィールド」と。
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この戦術が功を奏した。
例えランカーだろうが貫けぬこの盾を使い、刻印を牽制し続ける。
味方が倒れてもそのリスポン時間を稼ぐことができる。
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時間にして1分弱。
とうとうランカーはこれ以上時間を割くのが無駄だと感じたのか、他の箇所へ増援に向かった。
最序盤の局地戦、小隊の力も相まって、
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刻印を成功させる。
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「自軍上、拠点刻印完了」
「ナイス!」
「こっからこっから!」
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VCで呼応するかのように喜びの声が広がる。
まずは最初のミッションをクリアしたことに安堵した。
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■中盤
自軍上はしばらく平和が続いた。
小隊の共生による回復でいつ何時でも動けるように調整しておく。
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周りは全ての拠点が激戦区と化していた。
だが我では力になることはできない。
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ジワジワと広がっていくポイント差。
そんな焦りもあってからか、せめて様子だけでも伝えようと何度も持ち場を離れそうになる。
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だがそんな中でも隊長は冷静だった。
中央のボスが湧くのと同時に敵拠点攻撃の指示を出す。
見事これがパターンに嵌り、拠点占拠数を逆転したのである。
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点数はダブルスコア以上を付けられていたが、開始からまだ7分、この拠点数の逆転は後半に響いて来る。
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そんな激戦の中、自軍上の我はただただ一つのことを想っていた。
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頼むから誰も来ないでくれ。
そう想うとフラグが成立するのか、再び敵がやって来る。
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また派手な称号をつけた相手だ。
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「自軍上、敵1名、対応可能」
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「強さは?」
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今度は刃を交えずとも即答した。
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「ランカーです。」※未確定
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■終盤の攻防
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ランカーというものは恐ろしい。
強いとかやばいとかそういうものではなく、絶望感を振りまいて来るからだ。
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例え姿がひよこになっていても殺気が凄い。
今度のランカーは銃使い。
飛ぶ鳥を落とすどころか惑星1つ落とせるソーラーレイシステム搭載機。
直線上に上手くまとめられて小隊が倒れていく。
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「自軍上、カットで耐えます」
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兎にも角にもカットだ、カットできればいいのだ。
だが相手の猛威は止まることを知らない。
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ATフィールドもCTが40秒と長く、そうは持たない。
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だがこんなものは想定済みの展開だ。
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繰り返す。
何故我が開始直前にクラスチェンジをしたか。
何故我が執行者になったのか。
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ATフィールドによる生存能力の高さ故か。
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否。
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執行者にはもう1つ、無敵スキルがあるのだ。
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言霊スキル「ボイド」
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ダメージカットと妨害無効、そしてダメージ判定と、PvE・PvPに最も適した言霊スキル。
これを活用して大ダメージ判定を回避していく。
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執行者の必殺言霊スキル「ボイド」
我は密かにこのスキルをこう呼んでいる。
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「人類補完計画」(LCL化)と。
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これでカットは成功すると思いきや。
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敵ユニットが大量投入される。
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どう足掻いても、絶望。
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だがこんなものは想定済みの展開だ。
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再び繰り返す。
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何故我が開始直前にクラスチェンジをしたか。
何故我が執行者になったのか。
ATフィールドや人類補完計画による生存能力の高さ故か。
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否。
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何故我が手を挙げたのか。
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最終切り札を出す、今こそその瞬間なのだ。
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我は息を吸い込み、こう叫んだ。
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「自軍上、緊急事態、ヘルプです。」
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■決着
ヘルプ要請と共にランカーと引けを取らないバトルを繰り広げるVVIP遊撃隊。
ここは難なく維持することに成功した。
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そして戦局は終盤を迎える。
中盤から怒涛の追い上げを見せたVVIP側はそのアドバンテージをうまく利用し、ポイントを抜くことに成功した。
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しかし相手は流石のCastra、終盤一気に拠点数を逆転して来る。
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だが、この中盤に見せた隊長の判断とリードが最後の最後まで響いた。
最後の方の我の持ち場はというと。
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一面の巨神兵が大地を薙ぎ払っていた。
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それでも何とか持ち堪え、ポイント更新最後のタイミングへ。
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「勝てる勝てる!」
「そのままキープ!」
「行ける行ける!」
「頑張れ皆ー!」
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VCは最後の最後、通信手段としては機能を失っていた。
皆の期待や希望、興奮が渦巻く無法地帯。
足を引っ張らずに出過ぎないと決め込んでいた我も叫んでいた。
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そして遂に。
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VVIP、風の戦場を制す。
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よっしゃという喜び、すげぇという驚愕、やってやったという安堵。
全てが入り乱れる。
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「他の戦場見て来る!」
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という隊長の言葉にハッと息を飲む面々。
しかし、すぐにその言葉は無意味であることが判明した。
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「勝ったよ!他の2戦場も!」
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戦闘中は聴き慣れぬ声がVCに飛び込んでくる。
他の戦場で戦っていたVVIPのメンバー全員が、この風の戦場のVCに入って様子を聞きながら勝利を願っていたのである。
即座にリザルト画面を開く。
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そこには金色に輝く「勝利」の二文字。
そう、
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VVIPがCastra戦を制したという歴史が刻み込まれていたのだ。
歓喜、興奮、安堵でVCはぐちゃぐちゃだ。
もう誰が喋ってるのか分からないのだが、それでも我も声を出さずにはいられなかった。
こんがらがった感情渦巻くVCだが、そこにはただただシンプルな一つの感情。
楽しかった。
これに尽きる。
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この場を借りてCastraに所属する全員に感謝と敬意を。
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■総括
こんな局地戦ではなく戦闘力の高い中心人物たち、激戦区の様子を知りたいんだという人は多くいるだろう。
だが我の考えは逆だ。
戦闘力の高い者たちよりも、我のように低く局地での戦いを行っているユーザーが大半を占める。
その行いは仲間による称賛は貰えど、スポットライトを浴びない人も多いはずだ。
そういった視点の物語というのも無数に存在する。
そこでは誰しもが物語の主人公なのだ。
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こんなにもドラブラが楽しいと感じた日はないだろう。
それくらい衝撃的な出来事だった。
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風の戦場で戦っていた間、VCに入りながらその様子を聴いていた面々は、邪魔にならないよう声を出さず、ディスコードのチャットにて抑えきれない思いをぶつけていたのにも感動した。
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何ていいサークルなんだと。
そしてこんなサークルに所属させてもらって何て幸せなんだと。
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あまりにも文字が長くなってしまったので少し短めに総括しようと思う。
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確かにサークル戦自体はアクティブゲーと言われるかもしれない。
シューティングゲーと言われるかもしれない。
それは否定はしないし、むしろ我が思っていることだ。
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だがこんなドラマティックな展開を見せられたら胸が熱くなるに決まっている。
一度負けた相手、しかも全戦全勝の強豪を倒したという経験。
リアルでもなかなか経験できることじゃあない。
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当然の事ながら、次回はこんなにも上手くは行かないだろう。
より精査された戦略、戦術が行手を阻むに違いない。
だが再びそれに対して戦う術を見出すだろう。
そうした切磋琢磨がまた新たなドラマを生み出す。
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繰り返しなるが。
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ただただ楽しい。
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ただそれだけだ。
長くなってしまった。
最後に今日で感じたことを一言でまとめたいと思う。
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【MMOのエンドコンテンツはGvGである】
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これにもう一つ加えたい。
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【MMOのエンドコンテンツは人であり、人が紡ぐ物語である】
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以上。