ハコスコがダンボール屋からシフト!? 今年は配信プラットフォーム事業に注力
渋谷ヒカリエのセミナールームで行われたハコスコバンパク2017。会場内は、VR事業に興味を持った一般の方でにぎわいを見せていた。
イベントの第1部では、株式会社ハコスコの2017年の事業戦略、ロードマップなどを代表取締役である藤井直敬氏が発表。
ハコスコのこれまでの軌跡と、今後の計画、新サービスなどを資料を交えながら説明した。
冒頭、「ハコスコはただのダンボール屋ではないところを示す」と会場内の笑いを誘った藤井氏。
そのダンボールこと、VRゴーグルとそのオリジナルプリントに関する事業が、近い将来頭打ちになると予想していることを明かした。
今後は、ハコスコの売り上げ拡大は目指すものの、売り上げの構成を変えていく方針であるという。
主に、360°動画共有サービスなどを行うハコスコCDSの配信プラットフォームとしての価値を高め、より多くのユーザーに使ってもらうようにしていくと語った。
もともとは、誰でも無料で手軽に360°動画を視聴・配信できるもの目指した本サービス。今後はマルチレイヤー機能やライブ配信機能を充実させ、事業者がマネタイズ可能な機能も提供していくとのことだ。
ハコスコCDS新機能
- 新たな映像コンテンツが再生可能になる
- 自分の好きな角度や距離から見ることのできる自由視点映像
- スマホカメラを用いたリアルタイム映像
- 360°ライブストリーミング映像
- コンテンツ間を動的につなぐリンク機能
- さまざまなエフェクトがつけられるハコスコスクリプト
- Oculus、Vive、GearVRといったハイエンド端末へも対応
フリマで360°映像を売ることができる!?
ロードマップとして、2017年に具体的に販売されるアイテム、サービスなども発表された。
注目は、360°コンテンツを自由に売買できるハコスコフリマ。
自身が作成した自慢の動画で販売可能になるので、クリエイターが活躍できる場が増えることになりそうだ。
藤井氏は、あらゆる体験が「いま、ここ」で融合する世界がハコスコの目指すところであると語る。
「時間と空間の制限をぶっ壊すことが目標」と、力強く表明し、第1部を締めた。
冷え込み予想もなんのその!VRの未来は明るい
第2部のトークセッションは、ビジネスセッションとイノベーターセッションに分けられて開催。
藤井氏が、VRの各分野で活躍する先駆者たちとともに、2017年のVR業界について熱いトークが交わされた。
ビジネスセッションでは、すでにVRをビジネスとして取り入れている事業者3名が登壇。
まずは、それぞれが自社の事業内容を軽く紹介しつつ、来場者にVRの利用方法やマネタイズなどの説明を行った。
続いて、藤井氏がトークテーマを投げかけ、それぞれが答えていくという流れとなった。主なトーク内容を紹介していこう。
Q1. VR元年とされた2016年に最もイケてたものは?
安藤氏:PSVR。コンテンツの品質をソニー側で担保するというスキームを確立させた。一般家庭でも満足のいくVR体験を楽しめる。
足立氏:USJのVRコースターのうねりの表現がすごい。VRを一般に根付かせた。
稲荷氏:ノキアの360度カメラ。ライブ映像などは、カメラの位置がキーなるため、舞台装置とくっつけて表現できる点が重宝。観客に目立たない、違和感を与えない点がすばらしい。
総括:VRの一般への認知が浸透してきたのが去年。先行者としてはふつうの人が思いつかなくて追いつけないようなものを考えなければならない。
テクノロジーの進歩によってあっという間に追い抜かれ可能性もあるので、つねにすごいと思われるくらいじゃないと事業としてやっていけない。
Q2. 2017年夏くらいにいったん冷え込むとされているVR業界。どうやって乗り切ろうと考えているか?(冷え込みなんてありえないという意見もOK!)
安藤氏:VRアトラクションの分野は冷え込まないと予想!ただし、成功、失敗のフィードバックは必要。すぐに決めつけるのは危険。
今稼げるもので稼ぎながらも新たなものを模索するため、クライアントからのニーズをとにかく拾うことをしていく。単なる楽しいものだけではなく、役に立つものにシフトする必要があると考えている。
稲荷氏:うちは音楽分野からあまり動けない性質なので、新たなアウトプット方法を模索している。オープン空間でのホログラム映像などがいいのではないかと考えている。
今後は、LIVEストリーミングでいかに体験的な価値を提供できるかというところにシフトしていく。加えて、アーティスト側にも時間と空間を飛び越えられるVRの良さをアピールしていく予定。
足立氏:先行きはまったく心配していない。日本3大キャリアが動いているなど、多くの企業からの問い合わせが増えてきている。
イオンでVR体験コーナーが設置されるなど、ロケーションVRが増えることで、よりその効果が感じやすいようになったことが大きいように思う。
ギークな方以外の宣伝担当にも、VRの意味や費用対効果が身近に感じられるようになった。
総括:ロケーションVRがあるというところが企業側を後押ししている。
VR体験は国や文化を問わない。日本のコンテンツは他国の先を行っている。多くの国への広がりも期待できるので、それほど心配はしていない。
新しいなにかを人類が手に入れつつあるフェーズ。それがたまたまVRという名前だったというだけ。使わない手はないし、やめる理由もまったくない。
Q3. 5年後のイメージを教えてほしい。VR技術を使ってどういう世界を作りたいのか、世界にどういう影響を与えたいのか
安藤氏:日常とVRが逆転するような時代を目指している。
現実のほうがリアルだが、VRのほうが便利。その便利さが上回るのが、5年後かもう少し先であると考えている。
稲荷氏:世界中のフェス、ライブハウスをあたかもその場にいると感じられるような世界を描きたい。
それだけではなく、参加者同士がお互いに影響を与え合うようなもの、たとえばVR空間で話し合うといった体験ができるものを提供していきたい。
VR空間の方が現実よりも価値を持つものを目指していく。
足立氏:5年後といえば、オリンピックフィーバーが終わりつつあるころ。オリンピックに向けてさまざまなインフラが整えられ、日本がいったんはVR市場でリードすると考えている。そこをしっかり目指したい。
世界に向けて、新たなアイディアや表現を見つけていきたい。今後はコミュニケーションプラットフォームにどう肉付けするかが重要。日本の観光資源やコンテンツを使ったものを考えていきたい。
総括:去年の秋くらいは暗い話が多かったが、今日は明るい話しか出なかった。VRの未来は大丈夫と信じてかんばっていく。
5年後はホロレンズの形式が一般的に?
最後に行われたのがイノベーターセッション。
藤井氏に加えて、メディアアーティストの落合陽一氏と、「Mikulus」の開発など、多くのVRムーブメントを作り上げたGOROmanこと近藤義仁氏 が参加。
お三方はなんと「HoloLens(以下、ホロレンズ)」を頭につけての登場。ジェスチャーなどでwindows OSでできることを空間上に表現できる、注目のデバイスだ。
トークテーマは一切考えていなかったという藤井氏。最近ハマっているホロレンズについて語っていくことになった。
トークは、終始ホロレンズの話で進み、あるあるネタや、装着したまま街中に繰り出すといったとんでもエピソードを語り、会場を爆笑の渦に包み込んだ。
内容はかなりとりとめのないもので、ハコスコともまったく関係ないものだったが、最先端デバイスを楽しそうに語るお二方は妙にまぶしく映った。
藤井氏も、あと5年ほどで、スマホはこの形式に近づくと語る。アニメや映画の未来の世界はもうすぐそこまできているのかもしれない。