制作・マーケティング・ビジネスの“未来”が交差する1日
2025年6月4日に行われたゲーム業界のビジネスカンファレンス「GAME FUTURE SUMMIT 2025」が開催された。
プロデュース、マーケティング、海外展開、AI活用など、多角的な視点からゲームビジネスを深掘る本イベントは、今年で2回目の開催。業界のキープレイヤーたちが一堂に会し、昨年以上に熱気あふれる空間となった。
ゲーム業界人1,800人が集結、実務者の熱気にあふれた空間
開会式では、主催者から「昨年は参加者1,000人を目標に開催したが、今年は開会式時点で1,800名を突破している」との発表もあり、注目度の高さが伺えた。
4つのステージで会場が構成され、各ステージはもちろん、出展ブースや休憩スペースもビジネスと学びの熱気が充満していた。
出展ブース周辺は、開会式前から大盛りあがり。さまざまな交流が生まれていた
実務に根ざした、多様かつ深掘りされたセッション内容
取材のなかで特に印象に残ったのは、各セッションで「単なる知識の共有にとどまらず、企業の課題感や“現場での実践”にフォーカスした内容」が多かったこと。
登壇者同士のリアルな掛け合いも多く、ライブ感あふれるセッションが続いた。
スクエア・エニックスの三宅氏が登壇した「ゲームビジネスとテクノロジーの未来について」では、AIによるキャラクター制御やストーリーテリング生成、さらにはゲームエンジンと一体化した学習パイプラインなど、最新の技術トレンドを踏まえた解説が展開された。「AIがユーザーの行動を学習して演出を変える」など、ゲームとAIの“垂直統合”が今後の主軸になることを実感させるセッションだった
NAVICUSの武内氏、ディー・エヌ・エーの香城氏、株式会社ドズルのドズル氏が登壇した「広告を超える熱狂はこうつくる!逆転オセロニアとドズル社の共創コミュニティ論」では、では、“誰が遊んでいるか”に着目した界隈文化の設計が、LTVや継続率のカギになると語られた。リアルイベントの参加属性とゲーム内行動の相関分析や、ファン特性ごとに異なるコミュニケーション導線の設計など、定性・定量を横断する知見が紹介されている。社内理解を得るためには「半年後に効く」ことを前提としたKPI設計や、初期段階から予算とチームを確保する姿勢が効果的だということだ
コミューンの真殿氏とMIXIの柳瀬氏が登壇した「MIXI コトダマンが“オウンドコミュニティサイト“に白羽の矢を立てた理由」では、SNS依存から脱却し、ユーザー接点を自社で管理する意義が語られた。SEO設計やSSO、投稿監視機能などを備えたコミューン導入により、施策の高速実装とユーザー行動の可視化が実現。外部団体との連携やリアルイベントの新設計にもつながっているそうだ
NAVICUSの速水氏が登壇した「参加し続けたくなる“場”のつくりかた ゲームコミュニティの設計と運用のコツ」では、ユーザーが“離脱せず、戻ってきたくなる場”の設計思想が語られた。「余白→拾う→反映→広げる」のサイクルを軸に、日常的な関わりや成功体験が情緒的な価値を生み出すと指摘。信頼構築には透明性のある対話が欠かせず、誠実な運営の積み重ねが、持続的なコミュニティ形成につながると話した
未来のゲームビジネスは、業界の横断性から生まれる
登壇者の多くが口にしていたのは、「制作・マーケ・運営などの垣根を越えた視点の重要性」だ。AI技術にしても広告戦略にしても、複数の部署やプレイヤーが横断的に関わることが求められており、もはや“分業”ではなく“共創”が鍵となる時代を象徴するカンファレンスだった。
筆者自身も、編集という立場から、他領域との接点の必要性をあらためて痛感させられた1日になった。
単なる知識共有にとどまらない、“熱量”と“構想”の場
「GAME FUTURE SUMMIT 2025」は、知識を得るだけの場ではない。異なる領域を横断し、“未来をどう構想するか”を語り合える、ゲーム業界における貴重なリアルコミュニケーションの場となっていた。
来年以降、さらに広がりを見せていくであろうこのカンファレンスが、業界の未来を形作る一助となることに期待したい。
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