【変ゲー1人探検隊】第1回: そこそこ遊べる変ゲー

突き抜けたコンセプトで注目を浴びるバカゲー。愛憎入り混じった感情と共に叫ばれるクソゲー。そのどちらでもない存在、明らかに一般的なゲームとは違うおかしさを持ちながら、注目を浴びる機会をいまだ持たぬスマホゲームたち。それらを本コラムでは「変ゲー」と呼び、隠れた名作(hidden gem)と呼ぶには微妙すぎる作品をを筆者の独断で選定し、読者諸氏に定期的に無理やりおすすめしていく。なお、ゲームとしての完成度は度外視している場合が多いので、購入の際には注意されたし。洒落心を持って入手していただきたい。たまに、海外のスマホゲーム情報を流す回に変化することもある。

Rockstar‐The Game

レコードがパンツを履いている。あえて、ここではパンティーと呼ぼう。そのアイコンがこのゲームを的確に表現している。ロックとパンティー。それがすべてだ。ロックスター、それは君だ。声で、目で、そして音楽でファンを熱狂させ、昇天させる伝説の存在だ。革パン一丁で背中にまで毛が生えているがそこは仕方がない。

ゲームタイトルが表示されないユニークな起動画面。Game Start的なボタンもない。キーホルダーの「Let’s★Rock!」をクリックすれば熱狂ライブ&ダイブの始まりだ

さて、その伝説のロックスターの仕事とは、iPhoneを左右に傾けること。ライブのクライマックスを迎えたスターは客席にダイブ! ファンに受け止められながら進み、胴上げの要領で空高く舞い上がる。熱狂女性ファンからパンティーをむしり取ることもある。ハイスコアと運よくゲットしたパンティーがトロフィーとなる。エンドレスランナーのはしりとみなしてよいタイトルだが、動きはかなりもっさりしている。これが操作感と相まって却って新鮮に感じる。

ファンの胴上げで宙高く舞い上がる我らがロックスター。黒髪+ツーブロックで意外とまじめそうな顔に力が抜ける。すごい胸毛と背中毛だと思い込んでいたがよく見るとタトゥーのようだ。申し訳ない

超絶テクで一瞬にして女性グルーピーからパンティーをはぎ取るロックスター。最初はうれしいが、柄がかぶると「違うの履いて来いよ!」と悪態をつきたくなる

それにしても、かなり昔のゲームである。2013年末以来更新はされておらず、動作環境もiOS 4.3以降というクラシック感満点の存在だ。パンティー集めが売りのゲームのはずだが、女どもはそう簡単にむしらせてくれない。わずかな操作ミスで、ロックスターはあえなく人込みに飲まれて消える。デバイスの傾きとロックスターの挙動には若干ずれがあり、そのクセをつかむまでには苦労するだろう。はっきりいって遊びづらいゲームだが、パンティーが手に入ると妙にうれしい。別に女性のグラフィックが美しいわけでもなく、下着のデザインもどぎついものばかりなのだが、何なのだろう、この気持ち。気に入ってもらえるかどうかはともかく、無料で広告もない良心的アプリだ。一度諸君もパンティーむしりに行ってもらいたい。

スターもすごいが女性ファンもすごい。どうやら一瞬にしてラブメッセージをパンティに付けて送っているようだ。ゲットしたブツはお宝ルームでいつでも閲覧できる

Super Soviet Missile Master

声に出して読んでみよう。「スーパーソビエトミサイルマスター」。とがったセンスをひしひしと感じる本作は、『Castle Crashers』などで知られるThe Behemothの完全フリー配信タイトルだ。こちらもかなり古いタイトル。動作環境はiOS 3.2以降となっている。家で眠っているオールドデバイスに入れてみるのもいいかもしれない。

赤と白、それだけの潔いゲーム画面。なんだかわからないが、「スーパーソビエト」感がすごい。左の直立している物体が主役のミサイル

タイトルも微妙に危険だなと思ったが、ゲーム内容もドストレート。ボルシチのように赤い背景と粗い白いドットだけで描かれる世界、ここはソビエト。プレイヤーのスマホの中は今、ソビエト。誰が何といおうがソビエトなのだ。

真っ赤な空をどこまでも飛ぶミサイルが狙うは、星と縞模様の旗がシンボルのあの国の領土だ。冷たい戦争をホットな弾頭で解決しようというわけか。2色しかないのでわかりづらいが、山のような形の白い物体は雲なので当たってもいい。鳥や飛行機、ヘリは回避しなければならない。かの国のミサイルはなぜか非常にはかなく、固形物に当たると破壊されてしまうのだ。見事目標に命中するとドットなコサック兵士がよろこび、作戦失敗すると落ち込むしぐさを見せる。

あの国旗がついた、あの大陸状のターゲットにミサイルをヒットさせればステージクリア。障害物に当たってもいけないが、このターゲットをスルーしてしまってもいけない

作戦成功をよろこぶソビエトの人。ミスしても出てくる。ミサイルがどうにかなるたびに、必ず出てくる。かなり粗めのドットだが、ちゃんと毛皮の帽子をかぶった兵士の姿に見えるのはさすが

3回ミスでゲームオーバー。総飛行距離がハイスコアになる。ミサイル命中で次のステージに行くタイプのエンドレスランナー亜種と考えてよいかもしれない。メッセージの類はほぼない。黙々とミサイルを飛ばして遊ぶただのシンプルな無料ゲームだ。だが、冷戦やThe Behemothのゲームについての知識を持つユーザーならば、本作に込められたちょっと皮肉めいたユーモアを感じ取ってもらえるのではないかと思う。

画面をどこでもダブルタップでゲームをポーズできる。急な来客や電話のときも安心。どこまで進んだかわからなくなったら下のラインを見ればいい。右端の鎌と槌マークがゴール、途中のドットが現在位置

なぜかまじめなレビューになってしまったのが悔しい。次回こそ、遊ぶ時間がもったいないようなそうでもないような微妙なラインの変ゲーを紹介していく。

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