iPhoneケース展のトークイベントに出演してきました
「iPhoneケース展」は、元アイドルの弓月ひろみさんが代表を務めるコト・プランニングが毎年開催しているイベントです。
国内の著名iPhoneケースメーカーがブース出展したり、プロ/アマ問わずのオリジナルiPhoneケースの作品コンペが行われたりと、なかなか面白い趣向のイベントでした。
iPhoneケース展プロデューサーを務める弓月ひろみさん。TBSのテレビ番組「マツコの知らない世界」にも出演し、本稿で紹介したiPhoneケースの一部を番組内でも紹介していました
出入り口付近ではコンパニオンがお出迎え……って、この方、コンパニオンではなくて、実は同業のITジャーナリストのAyano*さん。iPhoneケース展の女性関係者はみんな美人さんです(笑)
それと、実はiPhoneケース展では、会場内に最新のデジタルガジェットを紹介展示するコーナーもあります。
そのエリアでは、今年ブームとなっている「仮想現実」(VR:Virtual Reality)に関連したグッズや製品を取り扱うブースも出展されたのです。
トークショーでは、このVRについてフリートークをするプログラムがあり、そこでMCをやるべく、iPhoneユーザーでもないボクが呼ばれたというわけなんです。
トークショーでは、ボク以外に、
- せきぐちあいみさん(VRアーティスト)
- 東智美さん(iPhoneケース「Rakuni」プロデューサー)
- 高松勝範さん(iPhone写真展ディレクター)
が出演し、VRの最新動向、VRが向かう方向性や未来について、それぞれの立場でお話をしました。
このステージでボクがVRについて話したことは、この連載で語った内容とよく似ているのでここでは深く掘り下げません。
なので、今回のレポートでは「iPhoneユーザでもない西川善司が見た、iPhoneケースの最新事情」という切り口でiPhoneケース展をレポートしたいと思います。
トークショーの様子。このトークショーはリコーがスポンサーだったので、トーク終了後、360°カメラ「THETA m15」が3台も当たるクイズ大会も行われました
あの人気のモバイルバッテリーもやってきた!
昨今の『Pokémon GO』(以下、ポケモンGO)ブームの影響で、品薄状態になっているモバイルバッテリー製品。
入口近くには、そんなモバイルバッテリーの人気ブランド、Cheeroがブースを構えていました。
ブースには、数あるCheeroバッテリー製品シリーズの中でも特に人気の高い「ダンボー」デザインのものが並んでいて、即売されていました。
一時は品薄だったダンボー・デザインのモバイルバッテリーが、在庫復活
ダンボーとは、あずまきよひこ氏のマンガ『よつばと!』に登場するロボットのキャラクターですが、最近は、この漫画のファン以外にも人気が出ていますよね。
ブースでは、3,000mAhから大容量タイプの13,400mAhまでのダンボーバッテリーが販売されていて、なかなかお買い得感がありました。
大容量タイプの13,400mAh型が4,000円。ちなみに、ブランド名のCheeroはメーカー社長宅の愛犬の名前から付けられたものらしい
現在、ポケモンGOブームも一段落して、CheeroバッテリーもAmazonなどのオンラインショッピングでも買えるようになってきているみたいですので、ほしかった人はチェックしてみてください。
Cheeroブースでは、ポケモンGOの特定のポケモンを捕獲している人に対して、iPhone 6/ 6s対応のケースをプレゼントしていた
実寸大(?)ダンボーとの記念撮影コーナーも
このダンボーデザインのバッテリー「Cheero Power Plus DANBOARD version -mini-」を題材にしてのアート作品(ジオラマ作品?)の展示会も行われていた
職人芸が光るメイド・イン・ジャパンの高級iPhoneケース
続いて訪れたのは、なんとも風情のある無垢の木製iPhoneケースを展示していた、松葉製作所のブースです。
触らせてもらったのですが、木の手触りにとても暖かみがあり、それだけでなく、外周エッジの丸みと、中央が側面がわずかに絞られた形状が手になじみます。
対応機種はiPhone 6系、およびiPhone 7系。1個たりとも同じ柄が存在しない、高級木材からの削り出し1点物。木材は10種類から選択可能。「虫食い跡のある楢」を選ぶこともでき、「わびさび」の世界観を表現できるかも?
この松葉製作所というメーカーは、本業は実は、自動車エンジン部品の鋳造用木型を製作する町工場です。
その緻密な工作技術を別分野にも活かせないか、とiPhoneケースを作ってみたところ、大反響となりました。
以降、iPhoneケースもメイン商材として設定されるようになったという経緯があります。
いわゆる、「世界レベルの町工場の職人技術」×「メイド・イン・ジャパン」という最近、再評価が進む「日本のモノ作り」を体現したiPhoneケースということができます。
1個1個が胡桃、桜、欅などの高級木材からの削り出しのため、1つたりとも同じ模様のものはありません。
完全受注生産なので納期も1ヵ月はかかりますし、価格も選択するデザインや木材に応じて18,000円のモノから60,000円のモノまでいろいろです。
一般的なiPhoneケースと比較すればけっこう高価ですが、割れたとしても修理ができるそうです。
他人とは違う外観にこだわりたい人には、おすすめかもしれませんね。
ブースにいたのは松葉製作所の代表、松葉寛和氏。日本の物作りに関しての講演なども行っている、業界の著名人
木製のiPhoneケースについては、木工ギフトなどを手がける株式会社バンザイ・ファクトリーブースでも出品されていました。
こちらはバイオリンの名器、ストラディヴァリウスの素材としても有名な板屋楓(いたやかえで)の木材を採用したもので、製品名は素材にちなんで「CAEDE」と名付けられています。
バンザイ・ファクトリーの代表を務めている高橋和良氏&高橋美栄子氏夫妻
iPhone本体への取付ですが、組木細工のようにケース本体を分割・分離させてからiPhoneにはめ込んで使います。
形状デザインに関しては、武蔵野美術大学が産学連携プロジェクトの形で深く携わっているとのこと。
人間がケースを握ったときのケース全体に伝搬する応力を解析し、落下時のiPhone本体の保護能力にも吟味して、板の厚みを最適化。
さらに同時に美しい外殻部の曲面デザインを両立させ、まさに「機能美の具現化」を実践させた完成度になっているそうです。
実際にケース単体を持たせてもらったのですが、とても軽く、それでいてしっかりとしていました。
実際に分離してはめ込む様子を見せてもらいました
このCAEDEシリーズ、日本製でiPhoneケースとしては高価な部類に属しますが、量産品となるため、価格は10,000円前後と、前出のものよりは安価です。
製品名のCAEDEは、木材質から由来している。カラーバリエーションは全4色で、左から「春」「夏」「秋」「冬」という名称。対応iPhoneは6系、7系、SE、5sなど
今回ブース出展していた企業の中で、恐らく最高値のiPhoneケースを展示していたのはSQU AIRだったと思います。
ブースで熱心に説明をしてくれたSQU AIRの佐藤隆史朗さん
なにしろ、この「The Slit iPhone6s」というiPhoneケース、iPhoneの本体よりも高い162,000円ですからね。
The Slitのラインナップは全部で4色。現在、iPhone 7用の予約を受付中だとのこと。価格はiPhone 6s用と同じ162,000円
ここまで高価になってしまう理由は、2つあります。
1つは、材質に「超々ジュラルミン」が採用されている点です。
超々ジュラルミンはレーシングカーのボディやスポーツカーのホイール、飛行機のボディにも採用されるアルミ合金の1つで、軽量性と高硬度、耐腐食性を兼ね備えた特徴を持ちます。
純アルミ(アルミニウム)は軽量で耐腐食性にも優れた素材ですが、やや柔らかく硬度に弱点があります。
超々ジュラルミンは、アルミに亜鉛、マグネシウム、銅を配合して、アルミの利点をそのまま継承しつつ、なおかつ高硬度性能までを獲得した高品位なアルミ合金なのです。
スリット構造にしているのは、デザイン的な側面もあるが、電波の遮断を避けるためでもある
問題は、高価で高硬度なことから、iPhoneケースのような小型の商品に採用する事例はありませんでした。
しかも、超々ジュラルミン材から削り出し工作で製造するとなると、高硬度な素材ゆえ、適合する工作機械を持つ工場も少なかったのです。
ましてやそんなiPhoneケースのような小さいものを高硬度なジュラルミン材から削り出すなど狂気の沙汰だ……とまでいわれてしまったのだとか。
しかし、執念深く日本全国の金属工作工場を調査したところ、工作を引き受けてくれるところが見つかったのだそうで、それが株式会社ナカダクラフトという金属加工専門企業でした。
ただし、工作するにあたっては、専用の治具や刃から作り出す必要があると提言され、それに従って製造した結果、このような高額の商品になってしまったそうです。
ちなみに、このiPhoneケースを作り出すにあたっては、専用に開発した削り出し刃を120種類使い分けているそうで、1日あたりに製造できるのは2個程度だとか(笑)。
これが、もう1つの理由です。
実際、触らせてもらったのですが、さすが超々ジュラルミン製。金属製なのに重さを感じません。しかも、かなりソリッドな硬さも感じます。
こんな硬いケースに、どうやってiPhone本体をはめるのだろうと思ったのですが、ケース裏面の盛り上がっているところを軽く押し込んでから上下に引くと、すっと二分割されます。
この分割状態にすれば、あとは簡単です。
このドライバー不要の簡単脱着機構は、ナカダクラフトの工場長、糸井川敏行氏が発明した「ITOIGAWAラッチ」と名付けられた特殊なラッチ構造を応用したものだそうです。
簡単にいうと、押すことで金属でもわずかにしなる特性を応用し、噛み合ったり、外れたりするような構造になっています。
The Slitモデルでは、ITOIGAWAラッチ機構と樹脂製のロック板を組み合わせた構造になっている
まぁ、とにかく、このiPhoneケースは、ほとんど他人とダブることはないですし、上で紹介したような開発秘話も面白く、持っていれば飲み屋でもかなり目立てるはずです(笑)。
写真は「The Slit for iPhone 6s」だが、iPhone 6には対応できないとのこと
高級感溢れる化粧箱