アーティストからアイドル、芸人まで集まったe-Sportsイベント
筆者にとって2018年最初のイベント取材となった今回の「第1回 eスポーツ スターバトル チャンピオンシップ」。
新年1発目の取材がe-Sports関連のイベントというのも、ここ最近のe-Sports業界が盛り上げていこうとしている動きが感じられるところだ。
e-Sports関連のイベントといえば、各ゲームタイトルのプロゲーマーたちのハイレベルな戦いに熱狂したり、高額な賞金に注目が集まったり、その賞金が景品表示法に抵触するのではないかという指摘があったりと、さまざまな側面で多方面から目を向けられている状況にある。
そんな中、成人の日である1月8日に開催されたこのイベントは、4組の芸能人チームによるe-Sports大会で、賞金などはない。
ステージ上で芸能人たちがゲームで対戦する模様を楽しむイベントであった。
出演した芸能人たちは、所属事務所、団体ごとに4つのチームに分かれ、4つのゲームタイトルで対戦。
MCはラッパーのUZI、実況はゲームキャスターの岸大河氏が務め、さらに各タイトルのトッププレイヤーが解説を担当しイベントを盛り上げた。
参加チーム
- Scuderia Euclid(ユークリッドチーム)
- e-shochiku(松竹芸能チーム)
- UP-FRONT esports club(アップフロントチーム)
- グラチア eスポーツ部
採用種目
- ウイニングイレブン2018
- ぷよぷよテトリス
- クラッシュロワイヤル
- ストリートファイターⅤ
ゴールデンボンバーの活躍に沸く観客たち
筆者がスチールカメラエリアに位置取り、一般の観客が会場入りしてきたところで1つ気付いたことがある。
ゲームのイベントは男性客が多いことがほとんどで、e-Sportsイベントはその傾向が強い。
しかし、会場に入ってきた観客の大半が若い女性。
主催者側の発表によると、前売りチケットは完売し、300人を超える観客が訪れたそうだが、9割以上が女性だったと思われる。
なんとなく色めきだった雰囲気に違和感を感じて仕方がなかったが、イベントが始まるとその理由が明らかに。
女性客たちは、ゴールデンボンバーのファンだったのだ。入場シーンも対戦中も、ゴールデンボンバーの2人への歓声がひときわ目立っていた。
あまりゲームで遊ばないという人も多そうな印象を受けたが、『ウイニングイレブン2018』に出場した喜矢武豊が、相手のゴール前に迫った際や、逆に攻め込まれた場面は、実際のサッカー観戦とまではいかないが、会場が熱くなっていたように思う。
芸能人を起用して、そのファンにe-Sportsを見てもらうという狙いだったのであれば、一定の成功を収めたと言えるかもしれないが、ここまで偏るのは意外なところ。
グラビアアイドルが出演するので、男性客がある程度は来るのではないかと予想していたが、グラドルファンにはチケット代3,000円を支払って来たいと思うイベントではなかったようだ。
なお、4種目の成績で決まる今大会の優勝チームは、ユークリッドチームが輝いた。
イベントの様子はTwitchで生放送が実施され、ビデオとしてアーカイブされているので、気になる人は以下より視聴していただきたい。
芸能人による集客で日本のe-Sportsはどうなるのか?
芸能人の起用により普段とは異なる層にe-Sportsをアピールする、というのが本イベントの目的の大部分を占めると筆者は感じたが、この日ステージ上で繰り広げられていたのはe-Sportsだったのだろうか?
対戦者同士の実力がかけ離れすぎていて、試合として面白くなかった対戦もあったし、徹夜で練習したという事前コメントの割には、初めてプレイしているのかと思うほどの腕前の出演者もいた。
その光景に、業界関係者がよく口にする競技性はみじんも感じられず、e-Sports風の味付けをしたタレントのオフ会といった雰囲気でしかなかったのが率直な感想だ。
今回は第1回と銘打っているので、第2回が開催される可能性もあるのだろうが、ゴールデンボンバーが出演しないのであれば、今回の観客は再びこのe-Sports風イベントに足を運ぶことはないだろう。
また、会場の作りもただ椅子が並んだだけの味気ないものだった。
会場ホワイエに過去のe-Sportsイベントの模様を紹介する展示をしたり、種目となっていたゲームタイトルの映像を流したり、他にもe-Sportsのイベントとして盛り上げる手段はいくらでもありそうだが、それをしないのは何か理由があるのだろうか。
団体が統合して新団体が設立されるし、闘会議2018が近いのだから、その宣伝はできなかったのか(ちなみに、本イベントの後援は統合元の1つである日本eスポーツ協会(JeSPA)であった)。
芸能人を呼べば人は集まるのは当然だが、イベント全体のディテールが雑だったように思う。
第2回は、歌広場淳が観客をドン引きさせるほど『ウイニングイレブン2018』のコアなトークを展開することに期待したい。
また、第2回を開催するのであれば、報道陣に少しでもいいので配慮して会場を用意してほしいところ。
指定された位置からでは出演者の顔をカメラで捉えられないことに憤りを感じるテレビ局スタッフの表情が、今回の取材で最も印象に残った出来事だった。
(C) eスポーツスターリーグ