加えて笑いのツボがゆるゆるで、些細なことでも爆笑してしまう性分なものだから、「あのパンツスーツさー」とか、「パンツスタイルが」なんてことをいったが最後、「何あんた、突然パンツとか……ブフッ……ゲラゲラ」と爆笑が始まり会話が成り立たない。
英語では(いわゆるズボンの方の)パンツはtrousersと呼ばれることもある。
パンツが主人公のゲームとかあったら頭おかしいよな……と思いながら調べてみたところ、おそろしいことにそんなものが存在することがわかってしまった。
今回の変ゲー探検隊は、スマホで触れる「パンツ」の世界を紹介する。
iTrousers
『QWOP』という古いゲームをご存じだろうか。本作はその系譜に連なる由緒正しい変ゲーである。
ただし、自キャラクターはアスリートではなく、派手なパンツの下半身だ。なぜ、下半身しかないのか。それにはまず、本作の先祖に当たる『QWOP』を説明する必要がある。
『QWOP』はQ、W、O、Pの4つのキーで左右の腿とすねを動かし、こけまくるアスリートを走らせる努力をするPCゲームだ(スマホ版もある)。リズミカルに、理にかなった順でキーを押さねば走れない。
現代のアレンジバージョンである『iTrousers』は、プレイヤーの苦労を軽減するため、足の動きをプログラム可能にしたのだ。
しかし、足の動きが重要なゲームであるというオリジナルのコンセプトを大切にした結果、キャラクターはついに必要なパーツ、下半身だけになったということなのだろう。
いや待て。大切にしていない気もしてきた。
プレイヤーは複雑なキー操作をする必要はない。タップで下半身君(仮名)を走らせ、こけたらプログラムを微調整する。この繰り返しだ。
おそらく、自分のタップグセにぴったりの走り方を作ることができるように、このようなシステムにしたのだろう。しかし、筆者はものの数分で「QWOPの方がましだ」と思い始めた。
どれだけ理に適う足の動きを模索し、細かくパラメータをいじっても、まったく思うように走れないのだ。
しかし、何十回かの試行錯誤の後、真実にたどり着いた。こいつは『QWOP』のコピーではない!
「理」なんてものを投げ捨て、重力に逆らうような動きに設定したところ、ゲームがすいすいと進行し始めたのだ。
もはや、下半身君は地面を蹴って走るアスリートではない。空中で足を泳がせ、空を飛ぶ何か別なものに変貌した。今までの苦労は何だったのだ。
開発者はこれをエンドレスランナーの一種と位置付けているようだ。走破距離がハイスコアとなり、同ジャンルの例にもれず下半身君の着せ替えも楽しめる。そして、腰の上に載っているクジラもチェンジできる。
人気ゲームの要素を取り入れたふりをしておきながら、オリジナルの魅力を遥か遠くに投げ捨てた怪作だ。
Men in Pants
「パンツを履いた男」というストレートなネーミング。こちらのパンツはアンダーパンツ、つまり下着のことだ。
パンツ一丁の男を打ち上げ、飛距離を競う。人数とラウンドを選んでパンツ男を飛ばして遊べる。重なり合った男たちが物理演算で予想外の動きを見せ、絡み合うことも。
キャラクターデザインに生々しさはなく(乳首はあるが)、危険な要素があるとは思えないが、本作は17歳以上対象の成人向けゲームとなっている。豊かな人間の想像力を危険視してのことだろうか。
大昔のゲームかな、と思ったがリリースは2015年の10月29日。比較的新しい作品だったのが意外だ。最近の作品にしては珍しく、着せ替えやキャラクターチェンジの要素はない。
何人で何ラウンド遊ぶかを選ぶ。パンツ野郎どもを飛ばす。記録を競う。それだけだ。
単純でばかばかしい作品だが、なかなかいいと思ったのが、タップでゲームを早送りできること。失敗がわかっている回は連打すればすぐ終わり、次のプレイヤーのターンが回ってくるのだ。
1回広告動画を見ると、オプションを開くことができる。30秒ほど待たされるのは面倒だが、オプションの設定によってゲームのばかばかしさと難易度が微妙に変化するので、一度は試してもらいたい。
製作者はゲーム説明の欄で、ゲームを越えた遊び方を強力に提案している。
- ビールを買ってくる使いっぱしりを決める罰ゲームに
- コーヒー当番を決めるルーレットに
- ヤギの所有権の決定する公平なくじに
仲間同士のジョークゲーム、軽いパーティゲームとしてなかなか優秀かもしれない。バカゲー、変ゲーの皮、いやパンツをかぶったそこそこ遊べる作品。
(c) 2015 Daniel Truong
(c) 2015 Scraping the Ba