Lifeline:フラットライン【ゲームレビュー】

選択肢をタップするだけのシンプルなゲーム性ながらも、リアルタイムで進行していく物語がプレイ意欲をかき立てる人気アドベンチャー『Lifeline』シリーズ。待望の6作目では、相手の心拍数と脈拍数がわかる新要素が盛り込まれており、これまでのシリーズファンも新感覚で楽しめる。

ホラー感の強いグリーンズ・シリーズの続編!

本作の舞台となるのは、人間ではない不気味な声が響き渡る謎の科学施設。

プレイヤーの目的は、何らかの実験を施されたと思われる女性「ウィン」からの情報を頼りに、彼女が無事脱出するためのサポートをすることとなる。

通常のアドベンチャーゲーム(以下、ADV)とは違い、現実の時間とストーリーが連動しているのが『Lifeline』シリーズの特徴でもあるため、プレイヤーは自分の生活の一部として本作を楽しめるはずだ。

ウィンと連絡を取り合うのに使用するのは、「Q-コム」と呼ばれるデバイス。彼女が新たに行動を起こすと、端末のホーム画面に通知が届く

さらに、数々の受賞歴を持つダリル・グレゴリー氏が書き下ろしたストーリーと、『Lifeline 2』でもサウンドを担当したノーマン・フェアバンクス氏が再び手掛ける、骨まで凍りそうなオリジナルスコア。

これらによって、まるでプレイヤー自身がそこにいるかのような臨場感を味わえるのも魅力の1つといえる。

心拍数と脈拍数のパラメータシステム

これまでのシリーズとは異なる点として、ストーリー中にプレイヤーが選択する決断によって彼女の心拍数と脈拍数のパラメーターが、リアルタイムで反応していくことが挙げられる。

例えば、安全なルートをガイドし続けていれば心拍も脈拍も一定値だが、危険を冒すように促したりすると途端に激しく揺れるといった感じ。

適当な返答をしていると、やがて応答がなくなり、最悪の結末を迎えてしまうことになる。

そのため、変化していくパラメーターをしっかりと観察していかなければならない。

不安と恐怖が入り混じったストーリーはもちろん、ノーマン・フェアバンクス氏のサウンドによって恐怖感がさらにあおられるので、プレイする際はぜひヘッドホンを着けて楽しんでほしい

新たな姿のグリーンズから逃げきれ!

『Lifeline』シリーズといえは、作品ごとに変わった形で登場する生物「グリーンズ」。彼らが本作でも登場する。

ウィンが語るには、今作では頭の毛の下から金属製の装置が突き出て、首の後ろから不気味に動く太い巻きひげのようなものを垂らした猿の姿をしているという。

もちろん、ウィンが彼らに見つかるとゲームオーバーとなるので、彼女から遭遇したという連絡が入ったときは最優先で逃げ道を探していこう。

ウィンの命が危険にさらされると、この画像のような選択肢が表示される。そして回答を進めていくと……この先は自分の目で確かめてみてほしい

会話中に出てくるキーワードが重要

先ほどの猿から逃げることも大事だが、ウィンとの会話中にたびたび出てくるキーワードにも注意する必要がある。

例えば、本作だと「妹」「砂漠で見た動物」「死んだ医者」などが物語のカギとなっており、関係する会話の中の選択肢によっては、彼女の運命を左右してしまうものも存在する。

ただ、ゲームオーバーを迎えても特定のポイントからコンテニューできたり、失敗したと思う選択肢からやり直したりすることが可能なので、いわゆる既読スキップのようにゲームを進めていけるのは有り難い。

ゲームが進んでいくごとに、コンティニューで戻れるポイントも増えていく。違ったエンディングを迎えたい場合はこちらの方法で再び進めていこう

特定のポイントからコンテニューする方法だと、下記のような流れを繰り返していくことになるため、手間に感じるはず。

  • ゲームオーバー
  • コンテニューまで遡る
  • 再び彼女からの情報を頼りに安全なルートを探す

そのため、基本的にはミスしたと思う選択肢からやり直していくのがおすすめだ。

なお、選択肢から過去に戻った場合には、それまでに決断した内容も消えてしまう。その点だけは注意してもらいたい

Apple Watchとの連携も可能

本シリーズはすべて、Apple Watchとの連携機能が搭載されている。

画面は小さくなってしまうが、スマートフォンのように落としてしまう心配もないので、外出先でも安心してプレイできるはず。

とはいえ、Apple Watchでは心拍数や脈拍のパラメータが見られないので、ウィンの精神状態を把握しづらいのが残念

ペアリングの手順は以下のとおり。

  1. iPhoneでWatch Appを開く
  2. デバイスをペアリングする
  3. Apple WatchのペアリングアニメーションにiPhoneをかざす
  4. Appを同期する

現実とリンクしていく感覚はほかにない!

ホラー要素の強いゲームといえば、基本的には主人公を操作しながら、異形のモンスターと戦っていくスタイルのものがほとんどのはず。

しかし、本作における戦闘ではプレイヤーが決断するだけで、主人公であるウィンの生死が決まってしまう。この点は、ホラー要素であるADVはもちろん、テキストオンリーのデジタルアドベンチャーならではといえる。

本シリーズを初めてプレイする人だと、ゲーム画面が極めてシンプルでイラストすらないという状態を味気なく感じるかもしれない。

しかし、ストーリーを読み進めていくごとにウィンを救おうと思う気持ちが強くなっていき、彼女からの連絡が待ち遠しくなってくるはず。それだけの没入感があることは確かだ。

ちなみに、ウィンからの返信が早くみたい場合は端末側の時間設定を変更することで、いわゆる邪道プレイも可能になる

  • 使用した端末機種:iPhone 6s
  • OSのバージョン:iOS 9.2.1
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0

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