知る人ぞ知るLifelineの世界

第1作目の配信開始後、世界中の人々を魅了し、App Storeの有料ランキングで1位に輝いた『Lifeline』シリーズ。リアルタイムで進行していくシナリオと、作者デイヴ・ジャスタス氏による緊張感あふれるストーリーが特徴的な、ゲームブック形式のデジタルアドベンチャゲームだ。3作目となる待望のシリーズ最新作『Lifeline:サイレント・ナイト』が2015年12月に配信が開始された。本作は『Lifeline』の正統な続編となっており、おなじみの「彼」がプレイヤーの助けを待っている。今回は未プレイの方にも楽しんでいただけるよう、Lifelineシリーズのストーリーやゲームシステムの変遷などについて紹介する。これを読んでLifelineの世界を存分に楽しもう。

『Lifeline』とは?

ゲームブック形式のデジタルアドベンチャーゲームと冒頭でも書いたとおり、Lifelineは画面に表示されるテキスト(文章)を読み進めながら、物語を追って行くゲームだ。ゲームの進行に合わせて、2つの選択肢が登場し、プレイヤーが選んだ内容によってその後の結末も分岐していく。

ただのアドベンチャゲームとは違う最大の特徴が、リアルタイムでストーリーが進行していくこと。例えば、第1作目では宇宙で事故にあった主人公タイラーを危機的状況から脱出へ導くといったストーリーなのだが、ただテキストを読み進めるだけでなく、要所要所で彼からの連絡を待ったりもする必要が出てくる。しかし、ストーリーはリアルの時間と連動しているので、10分程度で連絡が来ることもあれば、1、2時間経っても返事がない場合もありうる。

タイラーからの質問や返事は、『Lifeline』をインストールしている端末のホーム画面やロック画面にも表示される。彼は若干メール魔なところがあるので、あまりにも放置していると通知が山積み状態となってしまう

いつ返事が来るかといった不安や、現場では何が起きているかなどの焦りなど、プレイヤーの心理を絶妙なバランスで揺さぶってくる感覚はは、Lifelineシリーズの真骨頂ともいえよう。

メール魔な上に、得意な皮肉は常にをかえしてくるタイラーだが、まれに見せる臆病なところや軽いジョークを口にしたりする部分を見ていると、自然となんとか助けてやろうという気持ちになるだろう

Apple Watchでプレイ可能

本作はiPhoneやiPadに加えて、Apple Watchにも対応している。そのため、iPhoneにインストールした状態で、Apple Watchにも連動させておくことで通知も確認できるほか、画面は小さくなってしまうがゲームそのものをプレイすることも可能。

ただし、Apple Watchで通知を受け取るには腕に付けておかないと届かないほか、サウンドの音量を最大にした状態でも気付かない場合がある。それらの設定は連動の元になった端末とApple Watchの両方でしなければならないため、手間になってしまうが忘れずに済ませておくように。

伝説の始まりはここから!SFアドベンチャー『Lifeline』

シリーズ第1作目となる『Lifeline』では、墜落した宇宙船から運よく生き延びることができたタイラーと通信を行いながら、彼を無事生還させることが目的となる。

彼と会話していると、2つの選択肢が画面上に出てくることがある。選んだ内容によっては生存する確率が上がることもあれば、謎の生物に襲われるなどといった、いわゆるバッドエンドへのルートにストーリーが進んでしまう場合も。エンディングはかなりの数に分かれているため、プレイする人によってさまざまなシチュエーションを楽しむことができる。。

参考までに、こちらは筆者が最初に迎えたエンディング。疑う余地もなくこれはバッドエンドだが、このほかにもさまざまな分岐があるので、同じ内容ばかりを見ることにはならない

よりスリリングな物語が楽しめる『Lifeline 2』

前作のストーリーとはうってかわって、『Lifeline 2』では両親を殺されたうえに異世界に消えてしまった弟を救うために、1人の少女をサポートしていくといったダークサスペンスファンタジーとなっている。

ゲームシステムに特に大きな変化はないのだが、違いを挙げるとすれば主人公と会話するときのテンションだろう。今作の主人公となる少女“アリカ”は、序盤からかなりぶっ飛んだ内容を話してくるのだが、それに対してのプレイヤー側の返答もかなり冷たいのである。しかし、一見凸凹そうに映るものの、周りを探索したり、何者かと戦ったりするうちに、気がつくと息が合っている……といった関係を楽しめるのがシリーズ第2作目の魅力だ。

彼女とのやりとりを例えるなら、友だちや家族などと話している雰囲気に近いものを感じるはず。選択肢を選ぶタイミングなんかは、まるでLINEで気軽に会話しているかのような感覚で楽しむことができる

テキストも大幅にボリュームアップ(前作の2倍以上)。しかし、一度見終えたエンディング部分はスキップできるため、不思議なくらいサクサクと進められるはずだ

皮肉を言いつつも頼ってくる彼が再び登場する最新作

さて、過去作の大まかな内容は理解してもらえたはずなので、ここからは最新作である『Lifeline:サイレント・ナイト』(以下、サイレント・ナイト)についてをご紹介していこう。

本作ではシリーズ第1作目である『Lifeline』のその後を楽しめるようになっており、主人公はもちろんおなじみのタイラー。プレイヤーは彼に再び襲いかかる窮地を救うことが目的となっている。

ゲーム性は過去作を遊んだことのある方ならすぐに理解できるはずだが、触ったことがないという方でもテキストを読みながら、会話途中に出てくる選択肢から正解の答えを導きだすだけなので、複雑な操作はいっさい必要としない。また、今作から新たに追加された機能がいくつかある。

いつものように謎の人物から意味不明な通信がくるのかと思いきや、相手はなんとあのタイラー。シリーズごとにプレイしているファンなら彼の調子も理解しているはずなので、すんなりのストーリーにのめり込めるだろう

的確な指示が可能になった新機能「マップ」

これまでのシリーズでは、会話を元に主人公たちのいる位置を把握するしかなかったため、ひどい結末を迎えてしまった方は数多くいるはず。しかし、今回から新たにマップ機能が追加されたことにより、主人公に的確な指示を出せるようになったのだ。

マップといっても、ただその場所の名前が記載されているだけでなく、間取りやタイラーの現在位置までも細かく確認することが可能。前作までは少し長いテキストが出てくるだけで、後の情報が頭に入って来なかったいう方でも、マップ機能を上うま活用することでこれまで以上に集中して物語を楽しめるはずだ。

1箇所だけ黄色になっている場所が、タイラーがいる場所。彼が移動しようか悩んでいる際は、会話の流れから安全そうなルートを探し、正しい道のりを示してあげよう

他の人との会話から新たな情報が得られることも

複数の登場人物から攻略のヒントを得られるようになったことも新しいフィーチャーだ。というのも、これまでだと自分と主人公の会話しか画面上には表示されていなかったのだが、今作からは第3者の会話も表示されるようになっている。中には攻略に役立つヒントなども隠されているため、見逃さないようにしたい。

物語の舞台となるのがタイラーが助けられた宇宙船からなのだが、同乗しているメンバーに加えて新たな人物の登場など、新たに関係者が増えていくことも。逆に考えると、それだけ謎説き要素も奥深くなっているということだろう。

基本的にタイラーの文字は白、それ以外の人物がしゃべったときは赤や青などで表示される。彼らの話には先へ進むためのヒントも隠されているため、読み飛ばさないように注意したい

最新作である『サイレント・ナイト』は、上記でも解説した追加機能のおかげで非常に遊びやすくなっており、より物語に引き込まれることは間違いない。この記事を読んで少しでもLifelineシリーズに興味を持った方は、プレイしてみてほしい。

邪道プレイ:端末の時間を調整して遊ぶ

全シリーズを通していえることは、主人公たちからの連絡を待つシチュエーションになる、どうしても待ち時間が発生してしまい、ゲームの進行が止まってしまう。本来はこの間のもどかしさをも楽しむゲームなのだが、場合よっては数時間待たされることもあるため、通知をオンの状態にしていても忘れてしまうこともあるだろう。

そこで、「リアルの時間と連動しているということは、端末の時間設定を変更すれば待ち時間がゼロになるのでは?」というアイディアに基づき、『Lifeline』をインストールしてある端末の時間を進めながら邪道プレイをしてみることに……・。

結論からいうと、しっかりと正しい選択肢を覚えていればエンディングまでには3時間ほどで辿り着くことができてしまう。『Lifeline 2』からは、一度見た会話シーンをスキップすることができるため、効率よく進めていけば1時間もかからないうちに次のエンディングを迎えられるだろう。

画像のようにタイラーが次の日まで就寝しようとしても、端末の時間を変更すれば10秒ほどで叩き起こすことが可能。ただし、あまりにも先へと進めてしまうと、その間の話が理解できなくなる可能性もある

よい子は決して真似しないような遊び方にも触れたところで、全シリーズの大まかな内容は理解できたはずだ。新作である『Lifeline:サイレント・ナイト』は、上記でも解説した追加機能のおかげで非常に遊びやすくなっており、より物語に引き込まれることは間違いない。この記事を読んで少しでも興味を持った方は、是非シリーズごとにプレイしてみてほしい。勿論、Apple Watchを持っているなら、iPhoneやiPadとの連動も忘れないように。

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