キャリーの洞窟 3【ゲームレビュー】

Jordan Pearson開発によるサイドビュータイプのアクションゲーム『キャリーの洞窟 3』を紹介。『ロックマン』や『洞窟物語』の流れをくんだ正統派のアクションで、プレイヤーはトライアンドエラーを繰り返しながら、さまざまなトラップが仕掛けられたマップを進んでいく。

レトロな雰囲気に秘められたゲーム愛

さらわれた両親を救い出すため、世界征服を狙うハーバートの潜む洞窟を探索していく『キャリーの洞窟 3(Cally no doukutsu 3)』。主人公の少女・キャリーがさまざまな敵と戦いながら、洞くつの中を探索していくアクションゲームだ。ゲーム全体にレトロな雰囲気が漂っているのと同時に、ちょっとした操作ミスであっさりとやられてしまう、かなり手ごたえのある内容となっている。

ゲームの冒頭では、キャリーの両親が連れ去られてしまうシーンが紹介される。またギターを抱えた青年・ロイドは、状況に応じてさまざまなアドバイスをしてくれる

2種類の武器を使い分けて敵と対決

キャリーが使える武器は2種類。大きな剣による攻撃と、銃による攻撃を組み合わせて、行く手を阻むオオカミや山賊と戦っていく。剣は、攻撃できる範囲が狭い代わりに、斬りつけた敵がひるんで身動きできなくなるメリットがある。一方の銃は連射が可能で、使い続けることで成長する武器となっており、どちらも強力だ。さらに銃は種類も豊富で、攻撃範囲や威力の異なるものを切り替えながら使うことができる。

剣でひるんだ敵は一瞬だけ動きが止まるので、連続して斬りつけることで一方的に倒すことが可能だ

一定の範囲を左右にうろつくオオカミや、天井から降下してくるコウモリなど、襲ってくる敵の動きはかなり多彩

操作方法は、画面の端に表示されるバーチャルパッドをタッチするタイプ。左右の移動に加え、剣および銃の攻撃とジャンプボタンが並んでいる。場面によってはシビアな操作も必要になってくる本格アクションなので、満員電車の中や片手でのプレイもほぼ不可能だ

指先がボタンを見失わないための工夫とは

バーチャルパッドタイプのゲームは、プレイしているうちに指先がボタンを見失ってしまう難点がある。しかし本作では、シンプルなステージ構成と、画面の上端まで反応する範囲が拡張されたボタンの仕組みで、タッチがずれないような工夫がなされている

充実した成長要素でやり込みのモチベーションがアップ

本作には基本操作を説明してくれるチュートリアルがなく、スナフキン風の語り部・ロイドが簡単な説明をしてくれるのみ。タイトル画面には、前回の続きから遊ぶというメニューがなく、ゲーム中にもプレイ状況を保存するメニューはない。しかし、実はキャリーの状態はオートセーブ形式で常に保存されている。また、遊びたいステージはポーズメニューから選択することが可能だ。

キャリーの成長要素は銃の強化だけではなく、キャリー自身も敵を倒すことでレベルアップし、やられるごとに減ってしまうハートの上限が増えていく。また、ステージが進むと屋台のようなショップが登場し、新しい剣やハート上限を買うことができる。屋台での買い物には、敵を倒したり、宝箱を開けたりすることで集められる所持金を使用する仕組みだ。

なお、キャリーはハートがなくなると力尽きてしまうが、ペナルティは最終チェックポイントからのリスタートと、いくらかの所持金を失うのみ。成長を遂げた能力や実績は一切巻き戻らないので、倒せなかったボスもレベルを上げて再挑戦すればいずれは倒せるはずだ。

ポーズメニューから「Map」を開いて、到達しているチェックポイントから再開できるという解説の画面

巨大ボスを倒して次の洞窟へと進もう

洞窟を進んでいくと、巨大なボスキャラも登場する。道中に出現する一般の敵と比べて体力は数倍だが、キャリーが1度の攻撃で受けるダメージは同じとなっている。そのため、レベルを上げてハートを増やせば倒せる確率がぐっと上昇する。ただし、ボスキャラは剣の攻撃によるひるみモーションが発生しないので、有効なダメージを与えられる種類の銃を探し出すことが攻略の近道だ。

ターゲットが大きい分、当たり判定も大きい。近距離からショットガンを当てるのも1つの手だ

オールドゲーマー感涙の良作だ

本作はiOS専用(2015年7月現在)。バーチャルパッドの性質上、手になじむサイズの端末でプレイするのが望ましいだろう。一見するだけではチープに感じてしまうグラフィックであることを考慮しても、本作のテンポのよさと操作のレスポンスのよさは評価できる。また、主人公のキャリーだけでなく、彼女が手にする銃も使うほどに成長。所持金をためて強力な武器を買うこともできるので、プレイヤースキルが追いつかなくても時間を掛けて解決できるゲームバランスがうれしい。

レトロでチープな雰囲気にだまされず、一度は手にとってほしい本作。本格アクションではあるが、バーチャルパッドでの操作性も考慮され、ステージ構造は複雑になり過ぎないようにデザインされている。開発者のゲーム愛と、プレイヤーへの思いやりにあふれた良作だ。

  • 使用した端末機種:iPhone 6Plus
  • OSのバージョン:iOS8.4
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.1.0
  • 課金総額:0円

(C) Jordan Pearson