秋冬商戦へ向けた期待の商品が続々
モバイル業界の商戦期と言えば、1~3月の新入学・新社会人をターゲットにした春商戦、夏のボーナスや夏休みを狙った6~7月の夏商戦、そして、秋冬から年末へ向けての冬商戦が挙げられる。
かつて、ケータイ全盛時代はこれらの商戦期に合わせ、各携帯電話会社から新商品が発表されてきたが、最近では国内外の端末メーカーが新製品をグローバル向けに発表し、その商品を国内の各携帯電話会社が自社向けに発表するというケースも増えてきている。
もちろん、各携帯電話会社のオリジナルモデルも存在するため、一概に各メーカーの発表が先というわけではないが、10年前を振り返ると、かなり様変わりした印象を受ける。
また、この3つの商戦期とは別に、9月はもう1つの大きな商戦が待ち構えている。
そう、例年9月上旬にはAppleが新しいiPhoneを発表し、9月中には各携帯電話事業者が販売を開始するためだ。
しかも単純に販売を開始するだけでなく、この時期に合わせ、各社が一斉にキャンペーンを実施するため、業界的には年内でもっとも忙しい時期を迎えることになる。
そんな中、例年、8月下旬から9月上旬にかけて、ドイツのベルリンでは世界最大の家電展示会「IFA」が開催される。
今年もソニーモバイル、LGエレクトロニクス、サムスン、レノボ、モトローラなどが発表会を開催し、秋冬商戦へ向けた新商品を相次いで発表した。
おそらく、これらの内、多くは国内の秋冬モデル、冬春モデルとして、販売されることが予想され、9月下旬から10月へかけて、国内向けにも発表される見込みだ。
ここでは今回のIFA 2017で発表された注目製品をピックアップして、紹介しよう。
Xperia XZ1/XZ1 Compact/XA1 Plus(ソニーモバイル)
ソニーモバイルは「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」「Xperia XA1 Plus」の3機種を発表した。
Xperia XZ1は昨年秋に発売されたXperia XZ、今年夏に発売されたXperia XZsの後継モデルに位置付けられるモデルで、夏モデルとして発売された「Xperia XZ Premium」、今回発表された「Xperia XZ1 Compact」と合わせた3機種が年末商戦へ向けた主力モデルとして扱われる。
基本的なスペックはXperia XZsをベースにしているが、今回はXperia XZsやXperia XZ Premiumで新たに搭載されたメモリー積層型CMOSイメージセンサーによるカメラ「Motion Eye」をさらに強化し、連写時の連続的なオートフォーカスや先読み撮影の笑顔検出対応などの機能が追加されている。
最も注目されるのは、Snapdragon 835のハイパフォーマンスをカメラに活かした「3Dクリエイター」で、カメラで人物の顔などを撮影することで、端末内に3Dモデリングすることができる。
作成した3Dデータはアバターなどに変換して、端末内でキャラクターとして楽しんだり、SNSなどで共有することができる。
Xperia XZ1 Compactはコンパクトな4.6インチHD対応ディスプレイを搭載したモデルで、Xperia XZ1と同じSnapdragon 835を搭載しているため、昨年のXperia X Comapctと違い、ハイスペックなコンパクトモデルに仕上げられている。
Xperia XA1 Plusは今年春に発表されたXperia XA1をベースにしたモデルで、側面に指紋認証センサーを備えるなど、ハードウェアが強化されている。
現時点で正式なアナウンスはないが、これら3機種の内、Xperia XZ1とXperia XZ1 Compactは国内向けにも販売することが予想される。
新製品発表の間隔が短い印象もあるが、これはXperiaシリーズの特徴であり、買い時を気にせず、最新のモデルを買えば、最新の技術が搭載されていると解釈するのが得策だ。
LG V30(LGエレクトロニクス)
LGエレクトロニクスは今年2月にグローバル向けに発表した「LG G6」と並ぶ、もうひとつのフラッグシップに位置付けられる「LG V30」を発表した。
LG V30は昨年、国内向けに発表されたauの「isai Beat」、NTTドコモの「LG V20 Pro」(いずれも日本専用モデル)の後継モデルに位置付けられる。
外観で特徴的なのは、LG G6に続き、6インチの縦横比18:9のディスプレイを搭載したことが挙げられる。
現在の一般的なスマートフォンは縦横比16:9のディスプレイを搭載しているが、縦向きでは縦方向に長く、横向きではよりワイドに利用できるという特徴を持つ。
LG G6が液晶ディスプレイだったのに対し、LG V30はOLED(有機ELディスプレイ)を採用しており、本体前面のほとんどをディスプレイが占めるデザインで仕上げられている。
背面に備えられたメインカメラは、isai BeatやLG V20 Proと同じように、標準とワイドのデュアルカメラを搭載しているが、標準のカメラにはガラス製レンズを採用し、F1.6という明るさを実現している。
現在のスマートフォンのカメラで一般的なプラスチック製レンズに比べ、クリアで美しい写真や動画を撮ることができる。
また、カメラは動画撮影の機能が強化されており、ファインダー内の特定の被写体に向けてズームができる「Point Zoom」などの機能も搭載される。
同社では「CINEMATIC VIDEOGRAPHY」と銘打ち、映画のような動画を撮影できるエフェクトなども用意される。
Moto X4(モトローラ)
Lenovoグループ傘下のモトローラは、Moto Xシリーズの第4世代となる「Moto X4」を発表した。
国内向けにはさまざまな拡張モジュール「Moto Mods」を装着可能な「Moto Z」シリーズ、スタンダードなデザインで人気の高い「Moto G」シリーズなどを展開しているが、これらとはまた別のミッドハイレンジのモデルに位置付けられる。
背面に標準の12MPカメラとワイドの8MPカメラのデュアルカメラを搭載しており、LEDフラッシュと共に、背面に時計のベゼルのようなデザインでまとめているのが特徴だ。
デュアルカメラの特性を活かし、被写体の背景をぼかし、ボケ味の利いた写真を撮影する機能が搭載されているが、他のスマートフォンのデュアルカメラと違って、被写体の服や花など、特定の色のみをカラーで表現し、それ以外をモノクロで仕上げるといった新しい撮影機能も搭載される。
史跡や名所、観光スポットを撮影したとき、その対象を認識して、Wikipediaなどの情報を表示する機能も提供される。
また、自分撮り(セルフィー)が広く支持されていることを考慮し、16MPのイメージセンサーを採用したインカメラを搭載する。
暗いところでの撮影を強化したことに加え、セルフィーでのパノラマ撮影にも対応しており、さまざまなシーンでの活用を可能にする。
この他にもAmazonのAIアシスタント「Alexa」への対応をはじめ、最大4つのBluetoothデバイスに接続して、音楽を再生する機能なども搭載され、IP68の防水防塵にも対応する。
国内市場への投入も検討されており、正式な発売時期や価格などは後日、モトローラからアナウンスされる予定だ。
Star Wars/ジェダイ・チャレンジ(Lenovo)
Lenovoはスマートフォンを使い、映画『スター・ウォーズ』の世界をAR(拡張現実)で体験できる「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」を発表した。
スマートフォンを装着可能な「LenovoミラージュARヘッドセット」、空間の位置情報などを測位する「トラッキング・ビーコン」、映画でルーク・スカイウォーカーが使っていたライトセーバーを再現した「ライトセーバー・コントローラー」で構成された製品になる。
スマートフォンに「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」のアプリをダウンロードし、「LenovoミラージュARヘッドセット」に装着すると、ARの技術を使い、ユーザーの目の前に映画の世界が拡がるという仕組みとなっている。
楽しめるゲームは「ライトセーバー・バトル」「戦略バトル」「ホロチェス」が用意されている。
「ライトセーバー・バトル」はライトセーバー・コントローラーを使い、まさに映画の世界のように、ダース・ベイダーやカイロ・レン、ダース・モールといった悪役とライトセーバーで戦うというものになる。
「戦略バトル」は銀河共和国や反乱同盟軍、レジスタンスを結集し、銀河帝国やファーストオーダーなどの勢力に挑む戦いを床の上などにARで再現するもので、ユーザーの指示でさまざまなキャラクターや勢力を動かすことができる。
「ホロチェス」は1977年に公開された映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で、チューバッカとR2-D2がミレニアム・ファルコン船内でエイリアンの駒で楽しんでいたチェスを再現したものになる。
対応するスマートフォンはLenovoミラージュARヘッドセットに装着できるサイズが限られているが、発表時点ではiPhone 7/7 Plus、iPhone 6s/6s Plus、Galaxy S8、Galaxy S7/S7 edge、Google Pixel/XL、Moto Zが挙げられており、今後、動作が確認ができ次第、順次、追加していく予定だという。
これまでスマートフォンのゲームというと、端末内で楽しむものが中心だったが、スマートフォンを新たなデバイスと組み合わせ、今までにない新しいゲーム体験を可能にしているところが注目される。
この商品も国内市場向けに発売することを予定しているとのことで、正式な発売時期や価格などについては、後日、Lenovoからアナウンスされる予定だ。