そして、君はこのコラムに流れ着いた。「たとえ無料でもこれはちょっと」や、「誰がこんなものに金払うか」といいたくなるような変で微妙でどうしようもないタイトルばかりを平然と紹介し続けるしょうもない記事に。
よかろう、そんな君に今回のおすすめを見せて差し上げよう。1つめは割りとまとも。2つめは割りとどうしようもない。
Corpse Craft
ゴシックホラー、ダークファンタジー的な雰囲気のリアルタイムストラテジー。シニカルな雰囲気漂うレトロ挿絵風のグラフィックが魅力的だ。
『さめがめ(The Same Game)』と呼ばれるマッチングパズルによってリソースを集め、クリーチャーを召喚して戦う。
こう書くと実にまともなゲームに思えるが、ここで紹介するぐらいなのだから、こいつは立派な変ゲー。搭乗するキャラクターは小ぎれいな制服に身を包んだ少年少女たち。
だが、この学校Weardd Academy(発音すると『ウィアードアカデミー』(=Weird Academy=奇妙学園)に近く聞こえる)で学ぶものは学問ではない。
死体をよみがえらせ使役する、死霊術だったのである。
というわけで、品のいい坊ちゃん・嬢ちゃんがじゃんじゃんとつぎはぎの死体を召喚する。下部パズル画面の4つのリソースはそれぞれ、肉、血、エナジー、スクラップを表す。
クリーチャーたちは『フランケンシュタイン」の怪物よろしく、屍を金属部品とつなぎ合わせ、電気を注ぐことで誕生するようだ、科学と死霊術の融合である。
アゴがもげたネッカチーフのご婦人が肉弾戦を行い、かわいい(?)犬が特攻要員。斧を持ったおっさんがディフェンス担当、頭からクモの脚が生えた少女が役立つポーションを拾い集め、多頭多足の肉の塊Flesh Behemothが敵を引きつぶす。
死んでも学生にこき使われ続ける彼らの思いやいかに。説明だけ読めばなかなかグロいように思えるが、気持ち悪さはあまりない。
むしろ、不思議なおかしさ、上品さすらある。英語がわかれば、シニカルな設定を読み、本作の持つ良質な「変」をより楽しめるだろう。
本来有料ゲームであったが、2012年のアップデートで完全無料化した。
Office Zombie
ちゃんとしたゲームを紹介したあとには、飛び切りのどうしようもない作品を見せたくなる。それがこの『Office Zombie』だ。
ゲーム内容はこの連載の第2回で紹介した『Plumber Crack』によく似ている。こちらに背を向け、せこせこ働く緑色の肌のゾンビに、背後からものを投げつけ続けるというものだ。
ゲーム内容は、本当にそれだけだ。好きなだけ働いているゾンビのじゃまをするのだ。
謎の基準によってスコアが与えられ、「爆弾で虫をつぶす」「金床をゾンビの頭に落とす」などのデイリーアチーブメントを達成すれば目玉がたまっていく。
何をいっているかわかりづらいかもしれないだろうから、説明しよう。プレイすると、目玉がたまっていく。この世界では、目玉が世界通貨なのだ。目玉をためて、投げつける新アイテムを購入しよう。
ゾンビは死なない。だから、手りゅう弾やトラバサミ、鋸刃など、なんでも投げつけてかまわない。
仕事もやめない。ディスプレイが割れ、コーヒーを入れたマグが倒れても、ショックで脳が飛び出しても、彼は働き続ける。
ゲームの目的は……あまりない。気が向いたときにゾンビに暴力的なやり方でちょっかいを出す、それぐらいだ。
筆者は、何をもってハイスコアが与えられているのかがさっぱりわからず、それを解明するために奴に手りゅう弾を投げつけている。投げても投げてもなくならない。
目玉がたまったら、爆発するテディベアを購入するのが夢だ。
(c)2011 Three Rings Design
(c)Office Zombie