【変ゲー1人探検隊】第9回: 死してなお働く変ゲー

そんな悲しい目でこちらを見ずともよい、わかっている。ゴールデンウィーク中に、おもしろいスマホゲームをゲットできなかったのだろう。ある者はセールに踊らされてどうでもいい作品を買い、ある者は迷いすぎてなにも買えず、またある者は予定が忙しすぎてゲームなんかにかまけているヒマはなかった。よくあることだ。

そして、君はこのコラムに流れ着いた。「たとえ無料でもこれはちょっと」や、「誰がこんなものに金払うか」といいたくなるような変で微妙でどうしようもないタイトルばかりを平然と紹介し続けるしょうもない記事に。

よかろう、そんな君に今回のおすすめを見せて差し上げよう。1つめは割りとまとも。2つめは割りとどうしようもない。

Corpse Craft

ゴシックホラー、ダークファンタジー的な雰囲気のリアルタイムストラテジー。シニカルな雰囲気漂うレトロ挿絵風のグラフィックが魅力的だ。

『さめがめ(The Same Game)』と呼ばれるマッチングパズルによってリソースを集め、クリーチャーを召喚して戦う。

ダークでホラーな世界を、グロ抜きで仕上げる上品なビジュアル。大人向きのゲームを感じさせるタイトル画面だ。デモも兼ねており、下のさめがめパズル部分の操作ができる

こう書くと実にまともなゲームに思えるが、ここで紹介するぐらいなのだから、こいつは立派な変ゲー。搭乗するキャラクターは小ぎれいな制服に身を包んだ少年少女たち。

だが、この学校Weardd Academy(発音すると『ウィアードアカデミー』(=Weird Academy=奇妙学園)に近く聞こえる)で学ぶものは学問ではない。

死体をよみがえらせ使役する、死霊術だったのである。

というわけで、品のいい坊ちゃん・嬢ちゃんがじゃんじゃんとつぎはぎの死体を召喚する。下部パズル画面の4つのリソースはそれぞれ、肉、血、エナジー、スクラップを表す。

相手の陣地であるShedを破壊すれば勝利。ステージが進むとライバルの数も増えてくる。まずはStoryモードの全クリアを目指そう。ゾンビたちの戦いは基本的に正々堂々の殴り合いだ

クリーチャーたちは『フランケンシュタイン」の怪物よろしく、屍を金属部品とつなぎ合わせ、電気を注ぐことで誕生するようだ、科学と死霊術の融合である。

アゴがもげたネッカチーフのご婦人が肉弾戦を行い、かわいい(?)犬が特攻要員。斧を持ったおっさんがディフェンス担当、頭からクモの脚が生えた少女が役立つポーションを拾い集め、多頭多足の肉の塊Flesh Behemothが敵を引きつぶす。

昼と夜のターンが存在し、太陽が昇った瞬間、場にいるゾンビは死滅する。昼は召喚が不可能なので、ひたすらパズルでリソースを集めよう。従来のマッチパズルと異なり、タイル1個でも消せる。まとめて消した方がボーナスがついてお得なので、あまりおすすめはできない

死んでも学生にこき使われ続ける彼らの思いやいかに。説明だけ読めばなかなかグロいように思えるが、気持ち悪さはあまりない。

むしろ、不思議なおかしさ、上品さすらある。英語がわかれば、シニカルな設定を読み、本作の持つ良質な「変」をより楽しめるだろう。

本来有料ゲームであったが、2012年のアップデートで完全無料化した。

Office Zombie

ちゃんとしたゲームを紹介したあとには、飛び切りのどうしようもない作品を見せたくなる。それがこの『Office Zombie』だ。

ゲーム内容はこの連載の第2回で紹介した『Plumber Crack』によく似ている。こちらに背を向け、せこせこ働く緑色の肌のゾンビに、背後からものを投げつけ続けるというものだ。

ゲーム内容は、本当にそれだけだ。好きなだけ働いているゾンビのじゃまをするのだ。

こちらが死してなお働き続ける、我らがゾンビ君のご尊顔。死んでも近眼は克服できなかったのか、眼鏡をかけている

謎の基準によってスコアが与えられ、「爆弾で虫をつぶす」「金床をゾンビの頭に落とす」などのデイリーアチーブメントを達成すれば目玉がたまっていく。

何をいっているかわかりづらいかもしれないだろうから、説明しよう。プレイすると、目玉がたまっていく。この世界では、目玉が世界通貨なのだ。目玉をためて、投げつける新アイテムを購入しよう。

手りゅう弾がヒットした! 派手な爆炎、のけぞるゾンビ。おまけに今日のアチーブも取得できた。華麗なヒットに思えるが、スコアはなんと0。いったいどう当てれば点がもらえるのか

ゾンビは死なない。だから、手りゅう弾やトラバサミ、鋸刃など、なんでも投げつけてかまわない。

仕事もやめない。ディスプレイが割れ、コーヒーを入れたマグが倒れても、ショックで脳が飛び出しても、彼は働き続ける。

ゲームの目的は……あまりない。気が向いたときにゾンビに暴力的なやり方でちょっかいを出す、それぐらいだ。

目玉をためてゾンビに投げつけるアイテムをそろえよう。煮えたぎる釜、斧、スパム、腐った魚などなど。充実のショップラインナップに思わずげっそり

筆者は、何をもってハイスコアが与えられているのかがさっぱりわからず、それを解明するために奴に手りゅう弾を投げつけている。投げても投げてもなくならない。

目玉がたまったら、爆発するテディベアを購入するのが夢だ。

(c)2011 Three Rings Design
(c)Office Zombie