【スマホゲームの神々】第1回: 全能神ゼウス

ゼウスやヘラ、アポロンやアルテミスなど、スマホゲームにはさまざまな「神」が登場する。この連載では、神々がそれぞれのゲームでどのような位置づけになっているか紹介し、実装当時のゲームの状況などについて振り返る。

神々の王・ゼウスの実力やいかに

ギリシャ神話の主神で、全知全能の存在。人類と神々の秩序を守護する天空神であり、雲・雨・雪・雷などの気象を支配している。神々を束ねる王でもある。

全宇宙を焼き尽くすことができる強力な雷を武器としていて、その威力はオリュンポス(神々が住むとされる山)最強とうたわれるほど。

しかし、浮気癖があり、正妻のヘラの目を盗んではさまざまな女性と浮気を繰り返していたことも知られている。好色の神としても有名だ。

浮気癖はさておき、戦闘能力においては神々の中においてもトップクラスであるゼウス。スマホゲームにおいてはどのように扱われているか紹介していこう。

今回は『パズドラ』『モンスト』『クラフィ』のゼウスについて紹介。パズドラとモンストに関しては古くから実装されているが、クラフィではつい先日実装されたばかり。ゲーム内ではどのような位置づけか見ていこう

パズドラでのゼウス

2012年10月2日(火)18:00ごろに実装。降臨ダンジョン「ゼウス降臨!」でボスとして登場したのが初出である。

「ヘラ降臨!」「勇者降臨!」に続いて3番めに実装された降臨ダンジョンで、この2つをクリアできる上級者用のコンテンツとして登場。

初の「超地獄級」ダンジョンであり、実装当時はその難易度に全国のパズドラーたちが悶絶した。

実装当時っぽいパーティーで挑んでみたところ、一撃で瀕死に追いやられた。まともに戦うといまだに強敵である(写真は「神王の空中庭園」)

当時は、攻撃力を上げるリーダースキルを持つモンスターがほとんどおらず、ヴァンパイアロードやロキを組み合わせて、闇属性の攻撃力が4倍のパーティーがせいぜい。

ゼウスのHPは380万もあり、今であれば大したことのない数字だが、当時はどれだけ殴っても全然減らないという圧倒的な強さを誇っていた。

ひたすらコンティニューを繰り返し(いわゆる石ジャブ)、プレイヤーの根性で無理やりクリアするというのが定番となっていたものである。

入手さえできれば夢の世界が

しかし、手間が手間だけに、いったん入手さえしてしまえば、ゼウスの性能は圧倒的であった。

当時のバランスは、上でも触れているようにせいぜい2倍×2倍で4倍の攻撃力がやっと。

そんなところに、3倍×3倍で9倍にもなるゼウスの圧倒的火力が登場し、まさにパズドラ界に衝撃が走ったわけである。

ゼウス降臨も含め、それまでさんざん苦労していたダンジョンが余裕でクリアできるようになってしまい、上級プレイヤーはこぞってゼウス入手に踏み出した。

当時のパズドラにおいて、ゼウスの入手は一種のステータスにもなっていたのである。

HP満タンという条件はあるものの、属性もタイプも制限なく攻撃力が3倍になるというのは非常に魅力的であった

増えていくバリエーション

その後、ゼウスは属性に応じたさまざまなバリエーションが登場。

  • 2013年5月27日(月):「ゼウス・ディオス降臨!」(木属性)実装
  • 2014年6月13日(金):「ゼウス・ヴァルカン降臨!」(火属性)実装
  • 2014年9月12日(金):「ゼウス・マーキュリー降臨!」(水属性)実装

ディオスは怒涛の先制攻撃、ヴァルカンはお邪魔ドロップが降ってくるギミックでの盤面荒らし、マーキュリーは1バトル目での大ダメージ門前払い……など、それぞれ高難易度。

難しいダンジョンといえばゼウス関連、というのは定番になりつつあった。

左から木属性の「ゼウス・ディオス」、火属性の「ゼウス・ヴァルカン」、水属性の「ゼウス・マーキュリー」。それぞれ、ダンジョンのギミックが非常にいやらしく、初見でのクリアは困難であった

究極進化も追加

一方で、ゼウス本体もパワーアップ。2013年11月15日(金)、ディオスの実装から半年ほど経ったあたりで、ゼウスにも究極進化が追加された。

光と闇に進化先が分かれており、光属性は純粋なパワーアップ。

しかし、闇属性の方は回復力がマイナスになり、リーダースキル発動条件もHP50%以下になるなど、ほとんど別物のモンスターになっていた。

光属性は攻撃力3.5倍と無難なパワーアップ、それに対して闇属性はHP50%以下で4倍。闇属性は特にピーキーな性能であった

当然、ゼウスを使っていたプレイヤーは我先にと究極進化を試みるわけであるが、肝心の素材の入手が超大変。

同日に実装された「ツインリット降臨!」で手に入れるのだが、1バトル目からバインド地獄、そこを抜けても超火力のリットに殴り倒されるという事態に。

ボスに到達したとしても、2体を同時に相手せねばならず、ここでも涙を飲んだプレイヤーが続出であった。

ただでさえ攻撃力が高いのだが、片方を倒すと、生き残っている方がさらに攻撃力をアップして襲いかかってくる

その後のゼウスは……?

ときは流れ、パズドラもどんどんモンスターがパワーアップしていき、常時攻撃力5倍や、条件次第で10倍のリーダーも出現。

ゼウスは新パーティーの火力実験に使われたりするなど、かつての威光はどこにもなくなっていた。

しかし、2015年2月20日(金)20:00には、新たに「ゼウス&ヘラ」が実装。初の2回行動ボスとして君臨し、再びプレイヤーを恐れさせた。

入手できればガチャモンスター並みのステータスと覚醒スキルを持っていて、かつてほどではないにしろ復権を果たしたといえる。

こちらは究極進化後の「相思の天界神・ゼウス&ヘラ」。降臨入手としては驚異的な、覚醒スキル8個持ちである。ステータスも非常に高い

現在は……マシンに!

そして現在。さらにモンスターの性能は上がっていき、ゼウス&ヘラ降臨も難なくクリアできるプレイヤーが続出するようになっていた。

しかし、2016年1月30日(土)、マルチプレイの実装に伴い「マシンゼウス降臨!」が登場。4,000万以上のHP、7コンボ以下吸収などで再びプレイヤーを悶絶させたのである。

難易度は「壊滅級」となっていて、普通にプレイすると、かつてのゼウス降臨のような状況に。回復なしであるにもかかわらず敵の攻撃力が異様に高く、クリアするには相当練られたパーティ編成が求められる

現在でも屈指の難易度ということで、入手したマシンゼウスの性能はかなりのもの。一見すると攻撃力3.5倍と普通だが、マルチプレイでは攻撃力と回復力が2.5倍に上昇。

マルチプレイなら、リーダー、フレンドを合わせると攻撃力が約76.5倍にもなる。HP満タンという条件付きとはいえ、タイプや属性の制限もなくこの倍率というのは壮絶だ。

敷居は高いが、マルチプレイでサブをそろえることでデビルラッシュやゼローグ∞の超速周回が可能。500くらいまでノンストップでランクが上げられる

モンストでのゼウス

モンストにおいては、ガチャ限定モンスターとして登場。初期では貴重なアンチダメーズウォール(ADW)を持っており、ガチャの当たりモンスターとして人気を集めていた。

そのころは光、闇属性が人気で、ADWを持ち貫通タイプだったゼウスは強モンスターとしてもてはやされていたのである。

ガチャモンスターの三大当たりがアーサー、ハーレーX、ゼウスといわれており、一世を風靡していた

新要素のストライクドッキングを持って登場したものの……あれ!?

ゼウスの実装は、2014年3月のアップデートと同時であった。その時に追加された新要素のストライクドッキングを引っさげ、満を持して登場した形である。

ストライクショット(SS)を複数のモンスターで組み合わせて発動するストライクドッキングは、所持モンスターが少なく発動条件も厳しかったので、当初は誰もが超絶な威力を期待していた。

しかし、蓋を開けてみると普通に単発でSSを当てたほうが強いという事態になっており、謎の仕様にプレイヤーはみな首をかしげたものである。

神化したゼウス。ストライクドッキングに「ゴッド・トレイン」を搭載している。ステータスが高いゼウスが繰り出したら、さぞかし威力が高いだろうと期待されたのだが……

ストライクドッキングの様子。演出も派手で強そうなのだが、実際はとても微妙なダメージになってしまう

複数の神化分岐があり人気は高い

通常、モンスターの進化は単なる進化とモンスターを素材とする神化の2つから選ぶのだが、ゼウスは神化に複数のパターンがあり、人気があることはわかる。

  • 2013年3月3日:「ゼウス」「天空神 ゼウス」「光緋神 フレアゼウス」実装
  • 2013年3月12日:「天邪神 ダークゼウス」実装
  • 2014年12月19日(金):「聖火神☆ゼウス」実装

しかし、周囲のモンスターが軒並み強化されている現在では、どの進化先もいまいちぱっとしない能力。これから実装されるであろう「獣神化」に大きな期待が寄せられている。

後に追加されたダークゼウスと、クリスマス限定の素材を使った聖火神ゼウス。これだけ多くの進化先があるのはゼウスだけである

クラッシュフィーバーでのゼウス

最後に、クラッシュフィーバーことクラフィのゼウス。初登場は2016年7月9日と最近で、最高級難易度である「超ウィザード級」クエストとして実装された。

  • 2015年11月30日(月):「麒麟襲来!」
  • 2016年2月19日(金):「オーディン襲来!」
  • 2016年4月24日(日):「織田信長襲来!」
  • 2016年5月25日(水):「ルシファー襲来!」

に続く5番目の超ウィザード級クエストであり、上級者向けのエンドコンテンツということで当然のごとく難易度は高い。

恐ろしいことに、超ウィザード級クエストはコンティニュー不可。パズドラのように石ジャブもできなくなっている

クエストを始めてみると、バトル1でいきなりゼウスが現れ、こちらの実力を試すような行動を取る。

有利な緑属性ユニットならいきなりスキルがたまった状態になり、一気に攻めこむことができるのだが、6ターン以内に倒せないと、即死ダメージが飛んでくる。

6ターンの間、ゼウスはしっかり攻撃もしてくる。パネルプロテクトが非常にいやらしい

パーティーの攻撃力が低いとこのバトル1を突破できず、文字どおり門前払いとなってしまう(筆者はこのパターン)。

しかも、その後も当然のごとく強敵続きなため、ゼウスの入手はよほどの上級プレイヤーでないと難しい。

クラフィにおいてもゼウスは、持っていることが一種のステータスになっているともいえるだろう。

神話の雷を意識してか、属性は黄。星6ユニットとしては、ステータスは意外にも平均的である

やっぱり全能神はすごい

というように、ひととおりの事例を述べてみたが、ひとえに「ゼウス」といっても、ゲームによって扱いはさまざまである。

しかし、各タイトルで共通しているのは、必ず何らかの形でプレイヤーに大きなインパクトを残しているということ。

パズドラは特に顕著であるが、モンスト、クラフィもなかなかである。

やはり、全能神はすごい存在と実感せざるを得ない。

それぞれのゼウスを並べてみた。パズドラはいかにもゼウスというデザインで、モンストはファンキーな印象。どちらも髭を生やしたおじいちゃんという点は同じだ。クラフィのみ、影のある美形という思い切った造形である

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