NugatとDaydreamの最新動向
Nougatがリリースされ、Nexus端末での提供が開始されつつある。また、GoogleはVRプラットフォーム「Daydream」も発表している。
松田白朗氏のセッションでは、ゲーム開発者に向けたNougatやDaydreamの動作条件や開発について語られた。
直近のAndroid事情
最初に、松田氏が紹介したのは、直近でのGoogle Play ストアにアクセスがあった端末のOSとOpenGLのバージョン。
Jelly Bean(Android 4.3)はまだ17%もシェアがあるため、Googleとしては今後もサポートを続けていく方針であるが、ゲーム開発者としてみた場合、シェアの遷移を考えると、KitKat(Android 4.4)以上のOSを想定した方がいいという。
また、OpenGLがGLES3.1以上の端末であれば、新しい描画API「Vulkan」に対応できる。
縦横両画面対応のゲームはマルチウィンドウに対応
松田氏は、Nougatのアップデートでゲームに大きく影響する点として以下の4点を挙げた。
- バッテリー性能の最適化
- レイテンシ向上
- VR(Daydream)対応
- Vulkan、Open GL3.2対応
バッテリー性能はバックグラウンド動作やスリープ状態時の通信を最適化することで、バッテリーの消耗を抑えるというもの。
レイテンシについて、オーディオレイテンシのRTT(マイクに吹き込んだ音がスピーカーで再生されるまでの時間)が、20msecになっており、オーディオ開発のスタッフによると理論上は10msecまで短縮が可能だという。
また、Nougatで追加された新機能の上下マルチウィンドウへの対応は、縦横両画面に対応していたゲームは、自動的にマルチウィンドウ対応になるという。
この説明を受けて、Nugat化したNexus 9でマルチウィンドウ機能の動作検証をしてみた。動作検証にしようたのは、縦横の両画面に対応しているKingの『キャンディークラッシュ』と『ファームヒーロー・スーパー』。
検証の結果は、どちらもエラーとなってマルチウィンドウ化はできず、今回のセッションで語られたことを裏付けることはできなかった。
そのほか、松田氏はDaydreamの動作環境についても解説。
また、GearVRに対応している端末の場合、センサー部分をGearVRに担ってもらっているため、必ずしもDaydreamに対応するわけではないそうだ。
2016年のハイエンドの目安
そして、松田氏は、2016年現在、ハイエンドとされる端末の目安と、最新のゲーム開発での留意点について語った。
2016年のハイエンドとされる端末の目安は下記であり、昨年のハイエンドからの変化はCPUの部分で、GPUとメモリは昨年からはあまり変化していないという。
2016年のハイエンドの目安
- CPU
SnapDragon 820(Kryo 4コア)
SnapDragon 810(ARM A57 + A53 計8コア) - GPU 500G~1T FLOPS
Adreno 430/530、Tegra X1 - メモリ
2G~4G
LPDDR4 帯域 28.8GBps
また、松田氏によれば、これからはアプリケーションのデバイスへの最適化が求められると話し、特にデバイスの熱対策は今後、必須となってくるようだ。
ゲーム開発者に向けて行われた松田氏のセッションだが、ここで紹介されたNougatのパフォーマンスを生かしたタイトルや、Daydreamでどのようなコンテンツが出てくるのだろうか。
CEDEC2016
- 日程:2016年8月24日(水) ~ 8月26日(金)
- 会場
パシフィコ横浜 会議センター - 主催
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA) - 共催
日経BP社 - 予定セッション:200
- 後援
経済産業省
横浜市
一般社団法人情報処理学会
人工知能学会
NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)
日本バーチャルリアリティ学会 - 協賛
<プラチナスポンサー>株式会社Cygames
<ゴールドスポンサー>エピック・ゲームズ・ジャパン
<シルバースポンサー>株式会社ディー・エヌ・エー、任天堂株式会社、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント