5億DL突破の秘密やKingの今後の展開とは?
――本日はよろしくお願いします。TGSの会場へはもう行かれましたか?
Alex:これから行きます。とても楽しみにしています。
――何か注目しているタイトルやブースはありますか?
Alex:VRが今年の重要なテーマと聞いているので、それを楽しみにしています。
Nir:VRはもちろん、カジュアルゲームのトレンドとか、イノベーションとしてのアイデアを模索したり、ミッドコアのゲームを見てくるのが楽しみです。
――KingでVR対応ゲームを開発するなど、VRに関する取り組みはしていますか?
Nir:VRのニュースに関しては、社内でももちろん、細かくフォローしています。
Kingでは、プレイヤーが好きなものを提供していくということを考えていますが、VRをKingのゲームに導入するには、まだ早すぎる時期なのかもしれないと思っています。
――VRがプレイヤーに広く普及したら、KingでもVRゲームに手を出すというイメージですね?
Alex:Kingの歴史をたどると、最初はブラウザゲームから始まっています。そこから、Facebookの進化とともに、Facebookにもプラットフォームを移してきました。
その後、モバイルにも進出しましたが、今後に関しても、VRのプラットフォームがある程度、成熟した時点で検討することになると思います。
――今後、KingとしてTGSへの出展は考えていますか?
Alex:日本ではマーケティングに注力をしているのですが、日本独特のTVCM・デジタルという部分において、日本だけのディレクターを採用してここまでやってきています。その一環で、TGSのようなPRイベントにも興味は持っています。
――TVCMといえば、日本における『キャンディークラッシュ』のCMがとてもユニークで話題になりました。海外ではどういったTVCMを展開しているのですか?
Alex:日本で放送されているCMは日本でしか見られません。西洋と比較して、捉え方が異なる点が多く、クリエイティブで独特ですので、面白いという印象があります。弊社のグラフィックデザイナーも気に入っていると聞いています。
日本以外のCMは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの4ヵ国で同じものを使っていて、この4ヵ国を主軸に放送しています。
『キャンディークラッシュ』シリーズCM キャンディー家族篇
――国や地域ごとに、何か特別なマーケティングの施策を打つことはありますか?
Alex:マーケティングの手法として、何か新しいことを発見するという意味では、テレビの重要性を見ています。また、ソーシャルの動向やデジタル出稿の量も大きく違います。
例えば、イギリスではデジタルのマーケットが大きい比率を持っていて、それに費やす時間も世界のトップランクに入ってきている状況です。
ただ、他の国ではTVCMが大きくて、TVCMを通してどういうことが発見できるのか、という軸で考えています。
――その中で成功した事例や失敗した事例を教えてください。
Alex:日本におけるテレビ出稿は3回トライしています。
1回目は、私自身がロンドンのオフィスでゲームの動画を撮影し、その動画に日本語の台本を付けて、道を歩いている日本人の女性を捕まえて読んでもらいました。
その動画を30秒にまとめて日本に出稿したんですが、全国、特に東京でCMを流せると思っていたら、間違って北海道でしか流せていませんでした。なので、インストール数はかなり少なかったです。
2回目が、日本人のディレクターと女優さんを起用したCMを流したんですが、思った以上にインパクトありませんでした。
3回目のトライで、やっと日本にオフィスを設立して、日本にチームを置いて、日本だけの仕事を任せられて今にいたります。
――他の国と比較して、日本のユーザーの嗜好は何か特徴はありますか?
Nir:日本では、ゲーム内イベントの数が非常に多いということを発見して、日本のプレイヤーもそういったイベントが好きということもわかりました。
ゲーム内イベントは、グローバルにおいても日本においても導入はしているんですが、特に『キャンディークラッシュ』や『ファームヒーロー』『バブルウィッチ』においてはかなり人気が高いです。
引き続き日本でどういうものがいいのか、結果が出るのかというのは研究して、どんどん改善していきたいと思っています。
日本のプレイヤーに対して、プレゼントとか大きくインセンティブを上げれるようなイベントをこれからも作っていきたいと思います。
――他社タイトルになってしまうんですが、実はGame Deetsとコラボしたスペシャルイベントを実施したことがあります。機会があればKingの作品でもやっていただけませんか?
Alex:もちろん、機会が合えば「ぜひ」といったところです。弊社は、新しい試みを通して、ユーザーの方の満足度を上げたいと思っているので、ご提案ください(笑)。
――ぜひ、お願いします。日本のスマホゲームでは、人気キャラクターや有名IPとのコラボが盛んです。Kingのゲームでもコラボの予定がありますか?
Alex:新しいプロモーションという点に関していうと、常にタイミングを図っているというか、探しています。大きなIPとのコラボレーションは今までやったことがないというのが現状です。
PRになってしまいますが、タレントを起用して『キャンディークラッシュ』でステージを出したというPR目線でのイベントはやったことがありますが、これからIPコラボレーションなどを含めて、広く検討したいと思っています。
日本という国は、ゲームの新しい発見や成長の宝庫になってて、日本のゲームマーケットは世界で最も成熟していると考えています。
ブラジルで行われたリオオリンピックで、首相がマリオになった閉会式でも見られるように、やはり日本のゲーム文化は世界中で深く受け入れられていると思います。
弊社もビジネス的な側面だけでなく、成長のきっかけになるものなど、新しい材料を常に探しています。
https://www.youtube.com/watch?v=sk6uU8gb8PA
――『キャンディークラッシュ』は世界で5億ダウンロード突破という大ヒットを記録しました。これだけヒットした要因はズバリなんでしょう?
Alex:3つの要因があると考えています。それは、クオリティーが高い、バランスがいい、カジュアル要素です。
クオリティーに関しては、プロダクションとグラフィック、アニメーション、すべてにおいて高い水準が保たれていることが重要です。
バランスがいいというのは、難しいレベルとクリアしやすいレベル、もしくは難しいんだけどクリアしたときの爽快感をプレイヤーに与えることができることを意識して調整しているので、かなり遊びこめるような内容になっています。
カジュアル要素は、いい意味で友だち同士で競い合える、ライフ(プレイ回数)を渡し合えるので助け合う要素です。
あとは、キャンディーがテーマになっているゲームなので、老若男女に通ずるものがあるというところで、誰にでも受け入れられるんじゃないかと思います。
――そうなると、先ほどのコラボも老若男女幅広く受け入れられているIPがよさそうですね。
Alex:そうですね。Kingのゲームには認知度の高いゲームがあります。多くの国、世代の方が遊んでくれているというのはうれしい限りです。
Alexがはまる意外なゲーム
――話は変わりますが、お2人の好きなゲームは何ですか?
Alex:私は今、2つのゲームをよくプレイしています。
1つは、弊社の『キャンディークラッシュゼリー』です。レベルは349です。もう1つは、『Tank Battle: 1945』というゲームにはまっています。とてもニッチなゲームです。
Nir:私はカジュアルなゲームがとても好きで、『ファームヒーロー』や『キャンディークラッシュソーダ』が大好きです。あとは、『snake.io』というゲームも大好きです。
――『Tank Battle: 1945』というゲームは初耳です。どういったところが気に入っていますか?
Alex:私が幼少期を過ごした家のキッチンは床がタイルでした。そのタイルにおもちゃの戦士や戦車を並べて、どう戦略するかという風に遊んでいました。
Tank Battleも戦略をよく考えるゲームで、ノスタルジーな思い出に浸れるというのがあります。
もう1つは、六角形のマスのウォーシミュレーションゲームが1980年代に流行っていて、学生のころにかなりはまりました。
これらのゲームは面白いんですが、ルールが複雑でマニュアルも分厚く、完全に理解するのにかなり時間を要しました。面白いんだけど、なかなか楽しめないというのが、1980年代のゲームの印象です。
Tank Battleは、このような面白さと遊びやすさのどちらもクリアしているので、簡単に遊べるしノスタルジックにもなるし面白いので、今すごくはまっています。
『Tank Battle: 1945』とは?
HexWar Gamesより配信されている第2次世界大戦が舞台の戦略シミュレーションゲーム。
Hexとは、シミュレーションゲームでよく使われる六角形のマスことであり、同社はHexを使ったゲームを数多く配信している。
『Tank Battle: 1945』もその1つで、六角形の戦車や兵士ユニットを動かし、戦場を戦い抜くゲームとなっている。
年内に新作2タイトルを配信予定!
――これから年末にかけて配信予定の新作ゲームの情報をうかがえますか?
Nir:現時点では、2タイトルを予定しています。
詳細はまだお伝えできませんが、そのうちの1つはマルチプレイヤー型のゲームを準備しています。
――Kingのゲームでマルチプレイというのは、あまりイメージにないですね。どういったゲームになっていますか?
Alex:スゴイ! ヤバイ!(日本語で)
――「スゴイ!」ですか(笑)。では、すごい楽しみにしています。最後に、日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
Alex:いつもKingのゲームをご愛顧いただき、ありがとうございます。
日本のマーケットは、成熟した大切なマーケットだと認識しています。いつも日本に来ることは楽しみですし、迎え入れてくれる日本のみなさんに、本当にありがたく思っています。
たまたまですが、昨夜行ったレストランの店員の方が、『ファームヒーロー』のレベル490まで遊んでくれていました。弊社のゲームを日本のみなさんが遊んでいるのを見るだけで、とてもうれしく思います。
Nir:Kingのゲームが日本でとても人気だということは、スタジオのスタッフ全員すごくよろこんでいます。
日本で今後、何がヒットするのか、何を日本のプレイヤーが求めているのかということを併せて、さらに飛躍するためにスタジオ内でがんばっていきます。
(C) 2016 King.com Ltd.、 King、King冠ロゴ、ファームヒーロー・スーパー、ファームヒ-ローとその関連マークはKing.com Ltdおよび関係企業の商標です。
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