2016年最高水準の性能が6万円台で
今年の各社のフラッグシップモデルを見ると、Snapdragon 820、RAM4GB、WQHDディスプレイという基本スペックは横並びで、そこに各社独自の仕様で差別化を図っているというのが現状ではないだろうか。
AXON 7もその例に漏れず上記のスペックを持ちつつ、日本国内で発売されたスマートフォンとしては初の「Dolby Atmos」を採用している。
最高水準のオーディオチップとデュアルスピーカーも搭載しており、とにかくサウンドにこだわっている本機を徹底的にレビューしていく。
ちなみに、価格は59,800円(税抜き)とフラッグシップモデルとしてはお手ごろ。しかし、高級感のある化粧箱や実用性のある付属品も付いてくる、コストパフォーマンスに優れたスマホだ。
ここ最近はコンパクトな包装が主流になっているが、重箱のような重量感のある化粧箱に収納されているパッケージ。付属品は、USB-A to USB-Cケーブル、ACアダプター、イヤホン、SIMピン、micro USB(メス)to USB-Cアダプタ、スマホカバー(クリア樹脂製)
BMWグループ企業とコラボした高級感のあるデザイン
外観を見ていくと、全体的に丸みを帯びていることがわかるが、これはBMWのグループ企業「Design works」と共同で設計されている。
スポーツカーをモチーフとしており、手に持ってみると151.7(高さ)×75(幅)×7.9(厚さ)mmの実際のサイズより収まりがいい感触。
他の5.5インチ級のスマホを使ったことがあるユーザーなら大きさに戸惑うことはないと思われるが、手の小さい女性が片手で操作するには若干手に余るサイズだ。
前面の上下に配置されたデュアルスピーカーが目を引く。背面には、カメラと指紋センサーを搭載している他、アルミニウム製のボディのためアンテナ部が上下の横ライン上に配置されている
男性の平均的な手の大きさなら、片手でのキーボード操作は端末の下部を持つようにすればじゅうぶん可能。ただし、そのまま画面上部を操作するのはやや無理がある
上下左右から見るとカーブが設けられているのが良く分かる。上面にイヤホンジャック、底面にはUSB Type-Cポート、右側面に電源ボタンとボリュームボタンが搭載されている。背面カメラが出っ張っているので、机に置いたときに擦ってしまうと傷つきやすいので注意が必要だ
左側面にはSIMスロットが設けられているが、本機はデュアルSIMデュアルスタンバイ対応となっている。ただし、同時待ち受けは、4G+3G(2G)の組み合わせのみ可能だ。
写真の奥側がSIMスロット1、手前がSIMスロット2。スロット1がnano SIMのみで、スロット2はnano SIMとmicroSDカード兼用となっている
重量は175.7g。同ディスプレイサイズの機種と比較すると重いと言えるだろう。手に持った感覚も、ずっしりと重量を感じるため、重量を気にするユーザーは店頭で手に取って確認してから購入するべきだ
細かなサウンド調整は可能だがゲームでの効果は薄い
独自の機能やUIで注目したいのは、やはりサウンド面だろう。
本機が採用しているDolby Atmosとは、映画館やホームシアターを中心に普及しているオーディオプラットフォーム。
映画館の場合、客席の天井にサラウンドスピーカーを設置することで、頭上からの音を表現でき、より立体的で動きのある音を表現している。
ドルビーによると、モバイル機器であるAXON 7の場合、「映画用に作成された音声オブジェクトから空間情報を取得し、ヘッドフォンで3次元空間に音声オブジェクトをレンダリング。オブジェクトベースの音声を、外耳とショルダーキューに依存する両耳用ヘッドフォンレンダリングと組み合わせることにより、ドルビーアトモスは自然で臨場感あふれるサウンド体験を再現します。」としている。
つまりは、ヘッドフォンを通して3次元の音声オブジェクトを出力し、映画館などと同様の動きのあるサウンドを実現しているということだ。
購入時には、Dolby Atmosを体感できるトレーラームービーが保存されている。ヘッドフォンで視聴すると、確かに頭上からも音が聞こえるような感覚を体感できた
映画(動画)、音楽、ゲーム、ボイスに最適化されたサウンド設定がプリセットされており、これらをコンテンツごとに切り替えることで、利用シーンにあったサウンドを楽しめる。設定は好みによって細かく変更できる
サウンドの設定項目は下記のとおり。
- ボリュームレベラー:あらゆるコンテンツとアプリケーション全体の音量を一定に維持する
- ダイアログエンハンサー:ボイスの一語一語を聞き取りやすくする
- サラウンドバーチャライザー:サラウンドのON/OFF
- イコライザー:3種のプリセットから選択もしくはマニュアルで設定する
オーディオに強いこだわりを持っていない筆者からすると、どういじっても変化がないように思えたが、Dolby Atmos自体のON/OFFを切り替えるとその違いははっきりと感じられた。
ONにした場合、OFFと比較して明らかにクリアなサウンドで、音楽を聴いてみると、各楽器とボーカルがそれぞれしっかりと聞き取れる感触。
ゲーマーとしてはゲームのサウンドにどれだけ影響するか気になるところだが、実際にプレイしてみると映像や操作などサウンド以外に意識が向いてしまう。
ゲームのサウンドを楽しむという点においては、明らかに他機種よりメリットがあるとは断言できないのが正直な感想だ。
Dolby Atmos自体のON/OFFは、クイック設定パネルからいつでも切り替えられる
イヤホンを着けずにスピーカーでサウンドを聞く場合でも、Dolby AtmosをONにすれば広がりを感じる音を楽しめるが、細かな設定による違いは体感しにくい。
本体自身に2つしかスピーカーを搭載していない(2chステレオ)ため、シアターなどのDolby Atmosに遠く及ばないことはしかたがないだろう。
独自の操作感を実現する機能も搭載
サウンド面以外に本機の特徴的なところとして、ナビゲーションキーにバックキーと履歴キーのアイコンが描かれていないことが気になるポイント。
ベゼル部分がナビゲーションキーとなっているのだが、バックキーと履歴キーを左右入れ替えることができるため、利き手や好みによって選択できるというメリットがある。
多くのAndroidでは下の配置が一般的だが、Galaxyシリーズは上の配置。乗り換え前の機種の使い勝手を引き継げる細かな配慮だ
また、「Mi-POP」という画面内に常駐されるフロートメニューも搭載。個人的にはこういった画面を一部でも隠す要素は不要と考えているが、使いこなせば片手での操作を手助けしてくれるだろう。
メニュー項目は、画面オフや履歴キー、スクリーンショットなど日常的に使うアクションが用意されており、5つまで設定できる。任意のアプリを設定できないのが残念
ベンチマークテスト結果
AnTuTu benchmark
総合的な性能を計るAnTuTu benchmarkでは、144,556点というかなりのハイスコアを記録。
カタログスペックではほぼ同等のGalaxy S7 edgeよりも10,000点近く高い結果となった。
3DとUX(ユーザーエクスペリエンス)で大きく上回ったことが要因となっているが、確かにAXON 7はあらゆる操作を行ってもストレスフリーな動作だった。
3DMark:Sling Shot using ES 3.1
3Dグラフィック性能は、3DMarkのSling Shot using ES 3.1を使用して計測。結果は、2,634点をマークした。
3DMarkに登録された情報によると、日本での発売が待たれるGoogle Pixel XLをもわずかながら上回る結果だ。当然Galaxy S7 edgeも上回っているが、体感できるほどの差ではないだろう。
こちらのグラフは、テスト中の端末の温度変化とCPUの動作クロック数の変化を表したもの。動作クロック数が頻繁に変動していることが分かる。28~29℃から始まった温度は、終了時には35℃付近まで上昇。若干、発熱しやすいという印象だろうか
横画面ゲームが快適にプレイ可能!
最後に、実際にゲームを遊んでみたプレイフィールを述べていく。
前面にスピーカーが搭載されているため、横持ちゲームをプレイする際に、スピーカーを手で覆ってしまうことがなく、サウンドを楽しみたいプレイヤーにぴったりといえる。
『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』や『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』といったリズムゲームも、楽曲をしっかり聞きながらプレイ可能だ。
両端から手でホールドしても、スピーカーを覆うことはない。音を出してゲームを遊びたい人にはぴったりの設計
『Real Racing 3』のようなリアルな3Dグラフィックを使用したゲームでは、リアルなグラフィックが滑らかに表示され快適にプレイできた。ベンチマークテストの結果どおりと見て間違いないだろう。
地面の質感や影もくっきり表現される。このレベルのグラフィックのゲームも問題なく動作できるスペックを備えた端末だ
発熱が気になったので、『Real Racing 3』を10分間ほどプレイした前後の温度を『CPU-Z』を使って確認してみた。10℃ほど温度が上がっており、もっとも熱いところで53.3℃を記録。その後は温度上昇は緩やかになったものの、高負荷なゲームはなるべく休ませながらプレイしたい
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