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『クラロワ』大ヒットの陰に犠牲あり!? Supercell流の組織作りと開発アプローチ【NDC17】

『クラッシュ・ロワイヤル』の大ヒット中のSupercellからは、Game LeadのTimur Haussila氏が登壇。このセッションでは、『クラッシュ・オブ・クラン』などのヒット作たちを世に送り出すSupercellの、ゲーム開発アプローチが紹介された。

ヒット作を生み出すチームファーストな組織体制とは?

本セッションに登壇したのは、SupercellのGame Leadを務めるTimur Haussila氏。

『Hey Day』や『Boom Beach』といったSupercellのタイトルの開発を率いた経歴の持ち主で、「Supercellのゲーム開発アプローチ」と題し、Supercellの組織作りや開発のプロセスを紹介した。

Haussila氏は過去、Digital Chocolateスタジオという当時AppStore向けのゲームを開発していた会社に勤めていたとのことだが、そこでは創業者やトップマネージャーがマーケティングの在り方を決め、他の人はそれに従うというカルチャーだったそうだ。

言い換えると、会社を工場のようにオペレーションしていたイメージに近く、意思決定が上司にあるため、ゲームの開発を始めるにあたり100ページにも及ぶドキュメントを用意し、マーケットを予測しビジネスケースをプレゼンする必要があったとHaussila氏は語った。

そこにクリエイティビティは必ずしも必要ではなく、独創的すぎるとかえって理解を得られず、GOサインが出ない結果になってしまうのだ。

このように管理者が現場をコントロールする組織では、開発に携わる個人の当事者意識が薄れてしまい、ゲームのためではなく上司のために仕事をするようになり、結果的にゲームのクオリティは落ちてしまうとのこと。

これに対し、Supercellでは、主な意思決定を下すのは開発チームのリーダー、つまり開発者自身に決定権があり、デベロッパー自身が重要な意思決定を行うことで、スピード間が高まり、より良い選択ができるようになるそうだ。

Supercellの経営者の役割は、チームの仕事の内容を拡張することにあり、適した環境を与えることだという。

Supercellの組織モデルの成り立ちを表した図。信頼から始まり、責任が伴う独立性により、開発における核に焦点を当てることができる。その結果、ゲームのクオリティを確保できる可能性が高まるという

名作は共有された優先順位によるチームの意思決定から

また、複数の開発チームが存在するSupercellでは、すべての社員が下記の優先順位を共有している。

  1. Supercell(会社)
  2. Team(チーム)
  3. Individual(個人)

例として、2015年にカナダでテスト配信をした『Smash Land』は、収益性も好調でHaussila氏もお気に入りのゲームだったが、この先何年にもわたってSupercellのリソースを充てるに値しないと判断したことから、グローバルで展開する前にサービスを終了する結果となったことが紹介された。

その後、Supercellが『クラッシュ・ロワイヤル』をリリースした際に、会社にとって最高のインパクトをもたらす可能性を見出し、『Smash Land』のチームはしばらくは『クラッシュ・ロワイヤル』に協力するという運びになったそうだ。

もちろん、意思決定はチームによってされるが、チームがSupercellを最優先したからこそ、このような判断にいたったという。

Supercellにとってプラスになることが、個人としてもプラスになると信じているとHaussila氏は語った。

さらに、Supercellのグリーンライトプロセス(ゲームの開発を続けるかどうかの判断)について、次の図を使った紹介へセッションが展開する。

Supercellでは、ゲームをデザインし、特徴となる要素を実装、その後テストをして結果の分析へ移る。

結果の分析後、グリーンライト(GOサイン)が出れば開発は継続するのだが、このサイクルを続けていき、ゲームを完成まで近づけていく。

継続か否かもチームが判断するそうで、『クラッシュ・ロワイヤル』は当初、CEOからはリアルタイムPVPは流行らないといわれていたそうだが、チームは続行を決意。

フィードバックから得られた問題を修正し、今日まで至っているのも、経営側の判断ではなく、チームの意思決定による結果といえるだろう。

多くのゲームがプロトタイプの段階で開発を止めることになり、ほとんどのゲームがβ版まで開発が続くことはないとのこと

数々のプロトタイプの犠牲があり、『クラッシュ・ロワイヤル』や『クラッシュ・オブ・クラン』といった大ヒット作が生まれている