名作『城とドラゴン』、マジで「なぜ今までやってなかったのか」と後悔するレベル【山本一郎のスマホ情報見聞録】

山本一郎です。シミュレーションゲーム好きであり、対戦も愛している私としては、この『城とドラゴン』を今までプレイしてこなかったのが残念なレベルで、優れた作品だと思っているんですよ。どういう運営形態になっているのかはよくわからないんですが、パブリッシャーがアソビズムで、制作がMORIYAMA Studioということなんでしょうか。

プレイして50日、レベル20に達したところで「これはこのままのめり込んでいたら死ぬ」と悟る状況に陥るぐらいでありまして、そのぐらいいいゲームです。ちゃんとした、ガチのRTS(リアルタイムストラテジー)。それが『城とドラゴン』であります。

もちろん、難点はあります。いちばんの問題は「初心者に厳しい」。まあ、これはゲームの性質上しょうがないのですがね、ある程度慣れた格上と当たりまくるので、相手以上に慣れていかないとまったく勝てません。それはもう、見事に。

私などは、セガの『三国志大戦』や、ネクソンの『Shattered Galaxy』、マイクロソフト『Age of Empires III』といったRTSを好物にしております。それもあって、戦場全体を見渡しながらユニットを配置して、きっとこのぐらいの時間がかかれば倒されるという戦線管理をしながらプレイする基本を多少わきまえているんで何とかなる部分はあるんです。

でもね、このゲームのよさでもあり、だめな点でもある「ユニットが育っていない」と、同じキャラでもあっという間に倒されて戦線が突破されるという……。私が好きなのは、壁となるオークやデビルといったキャラと、そういうキャラが前線を支えている間に後方から火力を集めて敵を消耗させる戦法です。

ところが、オークが育ってないと戦線維持どころか死。もうね、全然ダメなんですよ、これが。

これはもうゲームデザインの方向性なので批判してもしょうがないんですが、初心者だからこそ扱いやすい能力の高いキャラを使わせなければ、すでにプレイが先行して慣れているプレイヤーにはまったく歯が立たないでしょう。

また、このゲームは同じ座標にキャラクターを重ねて出すと、いちばん上のキャラにしかダメージがいかないという「重ね」という謎のテクニックがあるのですが、重ねていい局面とそうでない局面は相手が出してきたキャラに依存し、しかも混雑している前線には敵も味方もどの座標にどのキャラがいるのか判断つかないので、コストの消化ペースを見ながらメリハリをつけて戦線維持したり突破したりが悩ましいところがあります。

もちろん、その辺が楽しいという考えもあります。わけがわからないからこそ面白い、みたいな。この辺は好みですよねえ。

砦の制圧ひとつとっても、私などは序盤に大砲を使いながら何とか中央の砦を取って戦線を上げて敵の城にダメージを与えられるキャラを出したいプレイヤーですけど、マルチでやっているとじっくりコストためて一気に放出したいように見えるプレイスタイルの人とかもいて、その辺は確かに面白い。

そういうプレイスタイルが自分の中で確立したり、誰か野良でごいっしょした人のキャラの出し方を見て「そういう方針の人なのかな?」みたいな読みをしつつ勝っていくのは楽しい…のですが、やはりキャラが育っていない、あとやり込みトロフィーで得られるらしい強力な能力アップ、あるいはきびだんごといわれるハイレベル城の人だけが繰り出せる能力アップ、さらにはアビリティなる最強に強まったキャラにつけられる能力アップ、とか長く続いているゲームである分だけ屋上屋を重ねるがごときキャラクター強化に初心者はくじけるわけであります。

当然、初心者は圧倒的に勝てませんので、野良でリーグ戦や他プレイヤーへの攻撃、トロフィー戦などでごいっしょしようとすると、初心者と割れた瞬間にチームから追い出されます。それはもう無慈悲に。

リーグ戦はまあ真剣でしょうしみんな勝ちたいですからうまいプレイヤーとチームを組みたいのは人情としてわかります。でも、私もかなりがんばって、それなりに勝率が高いという自負もあるのに、プレイヤーとしての熟練度は「うまP」という指標に集約されるとせいぜい300以下です。

長年のプレイヤーたちは2,000以上はザラですから、まあ「初心者は帰れや」といわれてチームから外されて、リーグ戦などさせてもらえないのが日常なのですよね。

それゆえか、この「うまP」の大小でふるい分けされるリーグ戦は、下位にほとんど人はいません。墓場のようなものです。

それでも真面目にプレイすると、上位に入ってドラゴンメダルがもらえるという仕様なのですが、後から「戦闘力」というものが評価されていることがわかり、実はドラゴンメダルの累積獲得数の総量が大きいほど戦闘力が高いと評価されて、初心者でもより強い相手と当たる可能性が高まることが判明するわけであります。

ダメじゃん、ドラゴンメダル稼ぎまくったら。早くいってよ。

ほかの人のプレイ動画やまとめサイトを見るなどして、徐々にプレイヤーとしての知識がたまってきたところで、始まったのが「腕ONスタジアム」。おお、キャラの性能がイーブンでの戦いでありますか。これは楽しそうだ。

で、実際やってみるとこれは面白い。7勝するか3敗するとフェイズ終了なんですけど、6連勝後に3連敗するなど、往年の千葉ロッテをほうふつとさせる戦いぶりを披露するなどして、個人的には留飲を下げます。なんでしょう、この身体に染みついたパ・リーグ臭。

ふと気づくと、夜の生活の中心が『城とドラゴン』になってしまっているわけなんですよ。ヤバイ。私としたことがハマりすぎだ。生活に差支えが。人生に停滞が。そのぐらい、良作なのでありますこの作品。

でも、イチから初心者がやるのは厳しいかなという印象です。RTSに耐性がある私がそういうのですから間違いありません。初心者が絡むとマッチングがクソになるのは対戦ゲームの宿命ではありますが、せめてElo Ratingとか実績のあるラダーを組んだ上で、最新20戦の勝率を表示するぐらいの親切さは私は必要だと思います。

何しろ、初心者は「うまP」低かったりレベルもゴミなので、強いプレイヤーとやりたい人たちからチームBANされるのはストレスです。へただからうまい人とやらせてほしいわけでね。そういうエスコートの仕組みももう少し考えてくれたら、この良いゲームがもっともっと広まって、日本人の大多数がRTSやるぐらいのRTS大国になってくれるんじゃないかと期待してしまいます。

なお、私が大好きなのは「おじさんハウス」と「エンジェル」「カタパルト」の組み合わせです。こういう呆れるほどコスト勝ちする勝ちパターンが見えるとみんな楽しく遊べるんでしょうけど、やっぱこう、いろいろと、ねえ。

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