カジュアルにやり込む周回型すごろくゲーム
世界で最も有名なボードゲームといえば、大恐慌時のアメリカで失業中のエンジニアが作り上げた『モノポリー』を挙げることができる。1933年の発売以来、マルチプレイゲームの定番として世界中で親しまれてきたが、1973年からは世界大会も開かれていて、日本モノポリー協会の会長がコピーライターの糸井重里氏だったりする。
日本ではややなじみが薄い感もあるが、欧米では熱心なプレイヤーも多く、のべプレイヤー数は世界最多となっているらしい。エレベーターの中で『モノポリー』をプレイし続けてギネスブックに登録されたり、世界同時にプレイを始めて最大参加人数で記録に挑戦したりと、何かと話題にも事欠かない。そんな『モノポリー』をリスペクトしたボードゲームが、本作『ダイスの神』だ。
『モノポリー』と何が違うのか
『モノポリー』リスペクトだと書いたが、本作はサイコロを2つ使う周回型すごろくで、都市マスの権利を取得してほかのプレイヤーから通行料を取るという基本部分は変わらない。では、なにが違うのか。都市の取得はマスに止まるだけ、拡張はスタートマスを通過するごとに自動で行われる。所持金の用途は、通行料の支払いと税務署のペナルティくらいだ。つまり、スコアのやり取りでライバルたちのスコアを0以下にすれば勝ち。「独占(モノポリー)」という要素はそこにある。
『モノポリー』は1プレイに1時間半ほど掛かるが、カジュアルなスマホゲームですべてのプレイヤーをそこまで長時間拘束するのは難しい。そこで本作では、購入および拡張という要素が自動化されている。さらに、これらの行動には金銭のやり取りが発生しないようになっている。おかげで、1プレイが5分~10分ほどと、かなり時間が短縮されている。つまり、プレイヤーが悩む部分を少なくしたということだ。
さらに、プレイ中にゲームを離れなければならなくなった場合、自動でオートモードに切り替わる。ゲームに戻ればオートをワンタッチで解除できるが、対人戦である以上、勝手に落ちるのは迷惑だし、そこに気兼ねしなくていいのはありがたい。
さらにいえば、コンピューターゲームとして開発されたこれまでの『モノポリー』は、バランス調整という点で絶えず試行錯誤を繰り返してきた。競売ひとつとっても、状況であったりコミュニティの価値観であったりで価格設定が異なるし、そのせいで時間が余計にかかってしまうこともしばしばだったのだ。本作はそういったプレイヤー同士の交渉要素もオミット。周回マスに関しても『モノポリー』より断然少なくなっている。3回もサイコロを振れば1周できてしまうマップの広さも、スマホゲームにぴったりである。
JOYをためて、より上位の大会へ
ゲーム内のスコアとなる「JOY」は、プレイ中にやり取りするためだけのものでなく、勝てば所持しているJOYの総量が増えるし、負ければ減る。対人戦である大会モードでは、このJOYの所持量で参加できる大会が自動で割り振られる。またルーキー、プロ、マスター、グランドスラムの4種の大会は、ランクが上がるにつれて掛け金が上がっていく。
なお、課金アイテムである「入場チケット」を購入することで、どの大会にも出場することが可能だ。所持しているJOYを一気に増やしたいなら、高いランクの大会に参加することも1つの手だが、それだけ高レベルのプレイヤーを相手をしないといけなくなってしまうことには注意しよう。
1回のゲームは、1位のプレイヤー以外の参加プレイヤーの所持金が0になるか、規定ターン数を消化すると終了となるが、順位によるボーナスはない。つまり、たいがいはゼロサムゲームになるわけだ。そもそもの所持金が少ない状態で高ランク戦に挑戦すると、力量を差し置いても4人中の3人は所持金がゼロになる。
しかも、所持金を超えて支払わねばならない場合は、自分の総JOYから引かれることになる。大会に参加するためには最低ランクのルーキーでも2億JOYが必要。これを割り込むと、救済措置として10億JOYを受け取って、ルーキーランクから再出発することになってしまう。
ゲームモードは、練習モードと大会モードの2種類
JOYのやり取りのない「練習モード」と、JOYのやり取りのある「大会モード」が用意されており、さらに、シングルマッチと2対2のチームマッチのどちらかが選択できる。チームマッチではフレンドを招待するか、ランダムで組む相手を決定。物件の収入は個別になるが、同じチームのプレイヤーが仲間のマスに止まってもJOYのやり取りは行われず、さらにチーム内で恩恵は共有される。つまり、都市通行料にボーナスの付く「黄金の牛」や色の独占は、異なるプレイヤー間でも同じチームでなら発生する。
キャラクターとダイスの育成要素
選択したキャラクターによるプレイフィールの変化と、ダイスやキャラクターに育成要素がある点が、本作の特徴として挙げられる。
キャラクターに関しては、各種費用面のボーナスが変わる程度だが、ダイスにはそれぞれダイスコントロールの確率が設定されており、ダイスを振る際に周囲のバーで、出目をある程度コントロールできるようになっている。これはイカサマ要素の1つだが、そもそも発動はランダムだし、狙ってなんとかなるものでもない。ここら辺のバランスがギリギリの調整具合となっていて、ゲームとしての面白さと課金育成の要素を両立させているのが特筆ものだ。
『モノポリー』リスペクトのボードゲームとしては最先端!
『モノポリー』を知らなくても、周回型すごろくというジャンルはいろいろなゲームが作られているので、1つくらいは遊んだことがあると思う。これまでは、いずれもパーティーゲームとしてそれなりに時間がかかるものだったし、家庭用ゲーム機のタイトルだと長く遊ぶ方向に拡張が行われていたが、本作はプレイ時間をなるべく短くするように工夫されている。
では長く遊ぶことができないかといえば、そんなことはない。育成という要素が、反復して遊ぶという楽しみを推奨しているし、短時間で終わる気軽さがカジュアルで、これからプレイする人に対してもハードルも下げている。スマホで遊ぶということを勘案した結果のことであり、遊び方が変わってきたことの証左であるが、2015年現在として最先端のボードゲームであることは間違いない。おすすめの1作だ。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 9.0.2
- プレイ時間:約6時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.6
- 課金総額:0円
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