PCで『リネレボ』!Androidゲームプレイヤー「BlueStacks 3」を徹底解剖

Windows PCでAndroidアプリを実行できるプラットフォーム「BlueStacks」の最新版「BlueStacks 3」が、日本で正式リリース。今回は、配信されたばかりの『リネージュ2 レボリューション』を使って、PCでスマホゲームをどれだけ快適に遊べるのか試してみた。

PCでスマホゲーム!?「BlueStacks 3」とは?

Windows PC上でスマホゲームが遊べるゲーミングプラットフォーム「BlueStacks 3」の日本語版が正式リリースされた。

ハイクオリティなグラフィックや、同時プレイ大規模コンテンツを実装したスマホゲームが増えており、小さい画面サイズや心もとないバッテリー容量では、思う存分遊べないと感じるユーザーも少なくないはずだ。

ここでは、リリースされたばかりの『リネージュ2 レボリューション』(以下、リネレボ)を使って、このBlueStacks 3の実力を探っていく。

ちなみに、日本に先んじて、リネレボが提供されている韓国では、多くのユーザーが、BlueStacks 3でプレイしているとのこと。

日本でも、BlueStacks 3自体のユーザー数が大幅に増えている上、最もダウンロードされているゲームがリネレボだという。

PCで『リネレボ』プレイまでの手順

まずは、BlueStacks 3でリネレボをプレイするまでの道のりを解説する。

BlueStacks 3のインストール

BlueStacksの公式サイトより、exeファイルをダウンロードして、BlueStacks 3本体のインストールを行う。

Googleアカウントの設定

インストール後、初回起動時にGoogleアカウントの設定画面が表示される。

普段使っているGoogleアカウントを設定するか、新たに作成してアカウント名とパスワードを入力しよう。

リネレボをインストール

Googleアカウントの設定が完了すると、BlueStacksのホーム画面が表示される。

おすすめタイトル一覧やランキング、特集などのカテゴリーからプレイしたいタイトルを捜してクリックすると、Google Playのインストール画面が表示されるので、インストールを実行しよう。

検索バーから、特定のアプリを探すことも可能だ。

BlueStacks 3のホーム画面。目当てのタイトルをクリックすると、Google Playのインストールページが表示され、スマホと同じ手順でインストールできる

リネレボが見つからないときは?

今回、複数のPCでBlueStacksをインストールして、リネレボをプレイするため検索したところ、検索にヒットせず、配信元(Netmarble Games)のアプリ一覧にも表示されないことがあった。

これは、使っているAndroid端末がそのアプリに対応していないときに起こる現象で、ブラウザでストアURLをふんで直接アプリのページを開いても、インストールすることができない。

非対応アプリは、ストア画面を開くことができても、インストール不可。メーカーによっては、PCからのアクセスを一律で非対応にしているケースもあるとのこと

Bluestacksによると、「この不具合について確認し、現在は解消した」とのことだが、もし、このような現象が発生したら、BlueStacks自体を再インストールしよう。

再インストールをすることで、リネレボがインストール可能になることを、複数の環境で確認できた。

PCゲームライクな操作感を実現

リネレボのインストールが完了したら、いよいよPC上でのプレイへ。

なお、インストールしたアプリは、ホーム画面の「マイアプリ」タブにまとめて表示されるほか、PCのデスクトップ画面にもショートカットが追加される(設定で追加させないことも可能)。

リネレボを起動すると、まったく違和感なくスムーズに動作し、フルスクリーン表示にすれば、もともとPC向けに作られたタイトルかのように思えるほどだ。

BlueStacks 3でプレイすると、このような表示に。下部のメニューからは、各種設定やスクリーンショットの撮影などが行える

筆者がメイン端末として使っているHTC U11と比べると、動作が引っかかるような、もたつく場面はあるが、じゅうぶん快適にプレイできる。

また、もともとタッチパネルでタップやスワイプなどの操作で遊ぶタイトルだが、一般的なPC向けMMORPGのように、WASDキーで移動、スペースキーで攻撃といった具合に、各操作が自動的にキーボードのキーに割り振られていた。

特に設定を変更することなく、PCゲームのように操作できることには驚きだ。

キーボードでの操作がうまくいかない場合は、自分で細かく設定することができるので、プレイしやすいキー配置を考えるといいだろう。

ウィンドウ下部のキーボードアイコンをクリックすると、各操作のキーボード入力に関する設定が可能。ボタン類をクリックして、割り当てたいキーを入力することで、プレイしやすい操作方法を作ることができる

方向パッドは、WASDキーだけでなく、右クリック+ドラッグによる操作に設定することも可能。移動はマウス、その他の攻撃などの操作はキーボード、という使い分けが便利

また、タッチパネル搭載PCであれば、タッチ操作にも対応。スマホとまったく同じ操作感でプレイできる。

PCとスマホで同一データをプレイ

PCでスマホゲームが遊べるということで気になるのは、データの引き継ぎや連携ができるのかどうか。

リネレボは、GoogleやFacebookアカウントを連携させることで、複数のデバイスで1つのデータを共有して進めることができるタイトルだ。

タイトル画面上部のボタンからアカウント連携を行う。GoogleアカウントかFacebookアカウントが利用できる

データ連携は、BlueStacks上で動作させる際も、もちろん可能となっており、外出先ではスマホやタブレット、自宅ではPCの大画面で遊ぶなど、TPOに合わせてデバイスを使い分ることができる。

ちなみに、リネレボのアプリ内設定では、グラフィックやサウンドの品質を調節できる。

BlueStacks上で動作する仮想Androidマシンは、Vulkan(グラフィックAPIの1種)に非対応だったため、最高設定にはできなかった。

オートプレイ化は可能?

BlueStacks 3はPCで動作するため、他のPC用ソフトウェアを組み合わせて、効率よくゲームを進めることができる。

その代表例が、自動クリック連打ソフト「連打くん」。その名の通り、クリック連打を自動化するフリーソフトである。

これを使えば、『クッキークリッカー』のようなタップゲームを、完全オートプレイで進めることができるのだ。

連打くんを使えば、怒涛のペースでクッキーを焼き続けることが可能。ある程度クッキーがたまったら、施設の強化などを行うと、より効率的

このようなツールを使って、リネレボをオートでプレイしたいところだが、連打くんは、マウスポインタで示した1点をクリックし続けるソフトウェア。

リネレボは、画面内のあらゆる箇所をタップしなければならないゲーム性なので、連打くんでのオートプレイ化は難しいという結論にいたった。

チュートリアルやクエスト受注時の選択肢など、クリックする場所が一定ではないため、オート化は非現実的……

また、クリック座標が周期的に変わるわけではないので、操作手順を記録して繰り返し動作させるマクロを組んだとしても、スムーズに進めることはできないだろう。

そもそも、リネレボにはクエスト進行を自動化したり、戦闘をオートで繰り返し行う機能が実装されているので、利用規約に抵触する可能性が高い外部ツールの使用は控えるべきだ。

また、BlueStacksとしても、オート操作などの不正プレイを検出しており、悪質ユーザーによるBlueStacksの利用を規制する可能性もあるそうだ。

クエスト受注ボタンや、選択画面の各ボタン位置にキーを割り振っておくことで、通常よりかなり快適にプレイできるはず。不正となる可能性があるツールの使用は絶対に控えよう

仮想Androidのスペックを検証

2017年夏のフラッグシップモデルほどではないにしろ、BlueStacksは快適にゲームをプレイできる実力を持つことがわかった。

ここからは、各種ベンチマークアプリを使って、どれほどのパフォーマンスを発揮しているのか詳しく見ていこう。

使用PCの主なスペック

  • 製品名:Let’s note SZ5(CF-SZ5)
  • CPU:Core i7 6500U(Skylake)/2.5GHz/2コア
  • メモリ容量:8GB
  • グラフィック:Intel HD Graphics 520
  • OS:Windows 10 Pro(64bit)

Antutu Benchmark

AnTuTu Benchmarkでは、91,213をマーク。

最近のスマホと比べると、3Dのスコアがかなり低く、トータルでは現行のミドルスペックスマホ程度のスコアとなった。

スコアの上に記載されている文字列は、端末の型番を表すのだが、XT1052とは、LG製のMOTO X(第1世代)のこと。

約4年も前に発売されたモデルを装っているということになるが、最新ゲームを遊ぶためのスペックは備えている。

3D Mark

3Dグラフィック性能を測定する3D Mrakは、最新のSling Shot Extremeプリセットが非対応のため、Ice Storm Unlimitedを実施した。

より負荷の高いSling Shot Extremeでないと、現行モデルとの比較が難しいところだが、スコアは42,530点を記録した。

なお、データベース上では、578というスコアが登録されている。

HTC U11などのSnapdragon 835を搭載する端末では、3,000台を記録するため、AnTuTuの結果と同様に、ベンチマークアプリにおいては、最新スマホには及ばない性能と判定されたことに。

また、BlueStacksに問い合わせたところ、PCのスペックがBlueStacks 3のパフォーマンスに影響するとの回答が得られたため、下記のハイスペックな自作PCでも検証した。

自作PCの主なスペック

  • CPU:Core i7 7700K/4.2GHz/4コア
  • メモリ容量:16GB
  • グラフィック:Nvidia GeForce GTX 1080Ti
  • OS:Windows 10 Pro(64bit)

その結果、AnTuTu Benchmarkでは170,721点、3D Mark Ice Storm Unlimitedでは115,940点を記録し、BlueStacksからの回答の裏付けを得ることができた。

自作PCでのAnTuTu Benchmarkスコア

自作PCでの3D Markスコア

以上のことから、3Dグラフィックを多用した、いわゆる「重い」ゲームを快適に動作させるためには、ハイスペックなPCが必要となる可能性が高いと予想できる。

ちなみに、リネレボについては、Core i5、メモリ4GB程度のPCでも、動作することが確認されているという。

筆者の所有するノートPC「ASUS ZenBook UX330UA」でも、リネレボが不自由なく遊べることが確認できた。

ASUS ZenBook UX330UAの主なスペック

  • CPU:Intel Core i5 7200U
  • メモリ:8GB
  • グラフィックス機能:Intel HD Graphics 620
  • OS:Windows 10 Home

なお、BlueStacks 3は、初期状態では使用するCPUコア数を抑えているが、環境設定で変更することができる。

コア数を増やすことで、パフォーマンス向上が見込めるので、ゲームの動作が気になる場合に変更してみよう。

CPUコア数やメモリ割当量を変更可能。環境によっては、Direct Xを有効にすることで動作が改善されることもある

スマホゲームライフを拡張する注目のツール

BlueStacks 3は、スマホゲームのキーボード・マウス操作や大画面でのプレイを、実用的な品質で実現する便利なアプリケーションだ。

リネレボのような3DオンラインRPGだけでなく、『セブンナイツ』のようなスタンダードなRPGやシミュレーションRPGなどもプレイしやすい印象。

また、『モバイルレジェンド』のようなMOBAタイトル向けに、MOBAモードを搭載しており、MOBAのゲーム性に最適化されたキーマッピングでプレイすることもできる。

MOBAモード対象タイトルは、『モバイルレジェンド』と『Garena 傳說對決(国内未配信)』。起動時に、MOBAモードにするかどうか、選択できる

中には、『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』を大画面に表示させて、ミュージックビデオ鑑賞の用途で利用しているユーザーもいるとか。

※2本指ドラッグが難しいため、リズムゲームパートのプレイは基本的に不可。

マルチインスタンス機能を使えば、複数のウィンドウでいくつものゲームを同時にプレイできる。同じタイトルを別アカウントでログインして、同時に進めることも可能!

今後の展望をBlueStacksに聞いてみたところ、

  • プレイ動画の記録・配信
  • フレンドなどのSNS機能
  • コンテンツ連携機能

などを予定しているとのこと。

国内ゲームメーカーと提携することも検討しており、PCでスマホゲームがプレイしやすい環境が整うことに期待できそうだ。

BlueStacksは、アンチウイルスソフトで知られるマカフィー社の元CTO(最高技術責任者)が代表を務めており、競合製品と比較して、セキュリティが強固なことも特徴の1つ。

ゲームメーカーに対し、チートを防御するツールの提供も行っており、信頼を得ることができれば、前述したPCからのインストールをブロックするタイトルも減っていくかもしれない。

プレイしたいタイトルが非対応だったというユーザーも、BlueStacks 3の今後の展開には、注目しておくべきだ。

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