高性能なだけでなく使って楽しい端末
HTCのフラッグシップモデルHTC U11が、国内ではauとソフトバンクにて発売開始された。
本機は、Snapdragon 835、RAMを4GB、Quad HDディスプレイを搭載する、2017年夏のトレンドをしっかり押さえているようなスペックの端末。
それだけでなく、端末を”握る”ことで操作を行う「エッジ・センス」や、モバイル向けとしては最高峰のメインカメラ、内耳の形状に合わせイヤホンが出力するサウンドを調整する「HTC Uソニック・ハイレゾ」など、数々のイノベーションが詰め込まれているのだ。
今回、KDDI(au)より端末を借りることができたので、ゲーム向け端末として向いているのか検証していく。
カラーバリエーションは全4色で展開。
auでは今回レビューで使用したブリリアントブラックとサファイアブルー、ソフトバンクではブリリアントブラックに加え、アメイジングシルバーとアイスホワイトを取り扱う。
HTC U11主なスペック
製品名 | HTC U11(HTV33) |
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サイズ(高さ×幅×厚さ) | 約154×76×8.3mm |
重量(実測値) | 169.3g |
OS | Android 7.1 |
SoC | Snapdragon 835 (2.36~2.45GHz×4+1.9GHz×4) |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大200GB) |
ディスプレイ | 約5.5インチ |
ディスプレイ解像度 | 2,560×1,440(WQHD) |
メインカメラ | 1,200万画素(ウルトラピクセル) |
フロントカメラ | 1,600万画素 |
バッテリー | 3,000mAh |
SIMスロット数 | 1(Nanoサイズ) |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 4.2 |
防水・防塵 | IPX7・IP6X |
SIMカードおよびmicroSDカードスロットは、本体上部に。au、ソフトバンクから発売されている国内版は、SIMカードは1枚のみ挿入できる仕様だ
いつでも好きなアプリを起動できる「エッジ・センス」
他のスマートフォンにはない大きな特徴の1つとして、端末を握ることで操作を行うことができる機能「エッジ・センス」を搭載。
本体側面の下半分ほどにセンサーが組み込まれており、握った際の圧力を感知し、特定の動作を実行することができるのだ。
1回振動するまで握るのとは別に、そのまま握り続けることで再度振動し、また別の動作を割り当てることも可能だ。
デフォルトでは、短時間握った際はカメラを起動、長時間握ったさいにはGoogleアシスタントを起動する設定になっていたが、これは任意の動作に変更することができる。
普通に端末を持つよりも、強くしっかりと握らないとセンサーが反応しないため、普通に持っているだけで意図せずエッジ・センスが動作してしまうことはないだろう。
筆者個人の感想としては、ゲーム画面のスクリーンショットを撮影することが多いため、片手で握ったまま撮影できるのが非常に便利だと感じた。
ただし、握ってから実際に撮影されるまで、わずかにタイムラグがあるため、アクションゲームの一瞬を切り取ることには向いていない。
頻繁に起動するChromeやカメラ、とっさにメモを取りたいときのためにGoogle Keepなどのメモアプリを登録しておくのが便利な使い方ではないだろうか。
人それぞれの耳に最適なサウンドを実現
本機は、iPhone 7/7 Plusと同様に、3.5mmイヤホンジャックが廃止された数少ないスマートフォンだ。
そのため、イヤホンやヘッドホンを利用する場合は、Bluetooth接続のワイヤレスヘッドホンや、USB Type-C接続のもの、もしくはUSB Type-Cからオーディオ端子への変換コネクタなどを用意しなければならない。
ただし、本機には専用のUSB Type-Cイヤホン「HTC Uソニックイヤホン」が付属。
これはハイレゾ対応のイヤホンで、マイクで拾った雑音を拾い、ノイズだけを取り除くノイズキャンセリング機能にも対応している。
また、利用者の耳の内部構造を測定し、最適なサウンドに調節してくれる機能も備えている。
今回KDDIよりレンタルできた評価機にはイヤホンが付属せず試せなかったが、5月に行われた発表会会場で体験した際には、取材に訪れた記者でごった返す会場でもクリアなサウンドを楽しむことができた。
専用機器ではなくスマートフォンで音楽を楽しむユーザーであれば、概ね満足できるサウンドパフォーマンスを発揮できる端末となっている。
2017年夏の最上級スペック
続いて本機のパフォーマンス面を確認していこう。
前述のとおり、SoCはSnapdragon 835を搭載、RAMは4GBを備えており、カタログスペック上は同時期の他社より発売されている端末と横並びといった構成だ。
しかし、よく見てみるとbig.LITTLE構成SoCのbig側CPUの動作周波数が、2.36~2.45GHzとなっている。
これが端末全体のパフォーマンスに表れているのか、まずはベンチマークアプリで確認していく。
AnTuTu benchmark
AnTuTu benchmarkのスコアは174,567というかなりの高得点。
Galaxy S8(国内版)やAQUOS Rなど、同じSnapdragon 835を搭載する端末よりも頭一つ抜けたスコアだ。
Galaxy S8と1万点近く差がついたことは驚きだが、普段利用していて体感できる差ではないだろう。
アプリ起動時の速度も、他の端末とそう変わらず、画面のスクロールのなめらかさはハイスピードIGZOを搭載するAQUOS Rの方が1枚上手だ。
3DMark:Sling Shot Extreme
続いてはグラフィック性能を3DMarkの Sling Shot Extremeを使って測定する。
こちらも、同時期発売の他機種よりわずかに高い3,637を記録した。
特定の端末に最適化されるタイトルを除き、3Dゲームも快適に動作するはずだ。
また、Monitoring dataを見ると、温度上昇がやや活発な印象を受けるが、実際にゲーム長時間プレイした感触では、たしかに発熱するものの、他の端末と比べて特段熱く感じることはなかった。
隙のないパフォーマンスにHTCの技術力が光る
上記テストのほか、いくつかのゲームをプレイした結果、どれも快適に動作してくれた。
『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』の3Dリッチも快適にプレイでき、その他3Dゲームもディスプレイの発色がよく、映像を楽しみつつプレイできる印象だ。
Galaxy S8/S8+の縦に長い独特な縦横比に魅力を感じない人はこちらをおすすめする。
その他の本機の特徴としては、カメラの性能評価機関「DxOMark」のモバイル部門において、過去最高得点を獲得したカメラが挙げられる。
スペック表の画素数は約1,200万画素と、一見するとあまりいいカメラに見えないが、1つ1つの画素が大きいウルトラピクセルを採用しているため、ある程度ならズームをしても粗さは気にならない。
エッジ・センスでカメラを起動するようにしておけば、画面オフの状態でも握るだけでカメラの起動やシャッターを切ることができるので、とっさのシャッターチャンスにも対応しやすいだろう。
手ぶれ補正やオートフォーカスも優秀で、簡単にきれいな写真が撮影でき、フォトジェニックなものを見かけたら写真を撮らずにいられないインスタグラマーにもおすすめの1台だ。
また、本機専用のVRヘッドマウントディスプレイ「HTC LINK」も発売中。
USBで接続し、高解像度のディスプレイを備えたHMDとなっており、サムスンのGear VRやGoogle Daydreamに追従する形で展開される。
モバイルで唯一、動き回れるルームスケールVRを実現しているVRデバイスなだけに、配信されるコンテンツなども含め、今後の動きに要注目だ。
(C) 2011-2017 HTC Corporation