声優に加えてロシア語の監修や演技指導も! ジェーニャさんが注目するスマホゲームは!?
――さっそくですが、まずはジェーニャさんの自己紹介をお願いします。
ジェーニャさん(以下、ジェーニャ):ロシアで生まれ育った声優のジェーニャです。現在はケイハイブに所属していて、最近では子供向けのアニメ『怪盗ジョーカー』(TOKYO MXほかで放送中)で「レディー・ダウト」を演じています。このキャラクターは私にとって初めての、日本語しかしゃべらない役なんです。普段は人間の姿をしていることも多いですが、猫の姿にも変身します。
ジェーニャ(Jenya)
- 誕生日:3月22日
- 出身地:ロシアのノボシビルスク市
- 血液型:B型
- 身長:161cm
- 最終学歴:ノボシビルスク国立経済経営大学 IT学部卒業
- 使用言語:日本語、英語、ロシア語
- 趣味:アニメ、ゲーム、ファッション、スノ−ボード
- 特技:歌、作詞
――今まで演じてこられたキャラクターは、どんな役柄が多かったですか?
ジェーニャ:ロシア人なので、やはりロシア語をしゃべるキャラクターが多かったです。それと、動物のキャラクターも。「レディー・ダウト」をやらせてもらえると決まったときは、とてもうれしかったですね。『コロコロコミック』で連載しているので子ども向けだと思われるかもしれませんが、お話も絵も素晴らしく、大人が見ても楽しめる番組です。ぜひご覧ください。
――先日は『ウルトラマンX』にも出演されていましたね?
ジェーニャ:『ウルトラマンX』は、映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』で一緒にお仕事をさせていただいた辻本貴則監督がかかわっている作品です。私は第7話に登場した「ガーゴルゴン」という怪獣の声を演じさせていただきました。この怪獣は頭が賢くて、いろいろな言葉を使って世界と通信するんです。なので、ロシア語と英語、日本語を使い分けて演じました。
――ジェーニャさんしかできない役ですね!
ジェーニャ:自分が役者として演じるだけでなく、ロシア語監修や発音指導のお仕事もたくさんさせていただいています。
――どのような分野が多いですか?
ジェーニャ:私はオタクなので(笑)、アニメやゲームなど、エンターテイメント限定ですね。自分の目標と関係のあるお仕事だけをやるようにしているので、普通の翻訳はお断りしています。一般的なロシア語翻訳はできる人も多いですが、エンターテイメントやオタクカルチャーの翻訳は、ロシア語を知っているからといって誰にでもできるわけではありません。やはり、オタクならではの言い回しとか、適切な言葉を当てはめなければなりませんから。
――それはそうですね! 視聴者や作品のファンをがっかりさせないために、オタクらしい翻訳を心掛けているわけですか。
ジェーニャ:この分野では一応評価されているらしく、自分でも日本一だと思っています。誰にも負けません!(笑)
――発声指導などはどのような手順で行なうのでしょうか?
ジェーニャ:まずは、もとのロシア語を聴き込んで、それをカタカナ表記にします。ときには事前に私がボイスサンプルを作って、収録する前に役者さんに聞いてもらうこともあります。そしてスタジオでは役者さんといっしょに練習をして、正しいロシア語に近づけていきます。
――ジェーニャさんのこだわりが感じられます! 今までどのような作品に参加されましたか?
ジェーニャ:情報解禁前で言えない作品もたくさんありますが、過去にお仕事させていただいたアニメは、『BLACK LAGOON(ブラック・ラグーン)』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』などです。映画『アヴェンジャーズ』も監修させていただきました。ゲームでは『エースコンバット6』をやりました。
これぞオタクの鏡! ロシアでは高価なスーファミを自分で稼いで購入
――ジェーニャさんは昔からゲーム好きだったのでしょうか?
ジェーニャ:大好きです。小さいころからファミコンで遊んでいました。当時のロシアでは、メガドライブ(セガ)のシェアが圧倒的だったんです。価格が安いこともあり、周りの友だちが持っているゲーム機はほとんどがメガドライブでした。だけど私は、みんなとは違うスーパーファミコンで遊びたいと思っていました。
――どうやってスーパーファミコンを手に入れたのですか?
ジェーニャ:話すと長くなるのですが……。当時、私の住んでいた街にゲームショップができて、そのお店にゲームの攻略記事を書いて手紙で送っていたんです。私は文章を書くのが好きだったから、ライター気分でしたね。それからしばらくして、そのゲームショップがスポンサーになったゲーム番組が地元のテレビ局で放送されることになりました。
――ゲームショップがスポンサーの番組なんて、すごいですね。
ジェーニャ:そうしたら、その番組から私に出演依頼が来て、1年間、番組に毎週出演することになったんです。番組では顔出しはもちろん、ゲームをプレイして動画を撮ったり、ナレーションを担当したりしました。少なかったけれど、いただいたギャラはすべてスーファミに消えました(笑)。当時、普通のロシア人だったら14歳でスーファミは買えません。私はラッキーだったと思います。
――そこからずっとゲームを遊び続けているのですか?
ジェーニャ:そうですね。プレイステーションもゲームキューブも買いました。もともと私は任天堂が大好きだったので、任天堂のゲームはすべてプレイしようと思っていました。それはWiiまで続きました。
――Wii Uは?
ジェーニャ:大人になってしまったので、残念ながら自宅でゲームを遊ぶ時間が取れなくなってしまい、数年前からはスマートフォンでゲームを遊ぶようになりました。それからはずっとスマホゲームにハマっています。
スマホゲームにハマッて日常生活までが犠牲に!?
――スマホゲームはどれくらいプレイしていますか?
ジェーニャ:4年くらい前にiPhoneを買ってから、ずっと遊んでいます。まだパズドラがはやる前で、今ほど難しくないバージョンのときにハマっていました。あとは、声優として出演させていただいた『アンジュ・ヴィエルジュ 第2風紀委員ガールズバトル』(以下、アンジュ)も、サービス開始日の初日から遊んでいましたね。きっかけはお仕事で関わらせていただいたからなのですが……思いっきりハマってしまいました。
――「思いっきり」とは興味深いですね。どれくらいハマりましたか?
ジェーニャ:えーっと……生活が乱れるくらい(笑)。まず、『アンジュ』は毎日3回、45分間のリアルタイムバトルがあるんです。時間は運営が決めた「12:30~」「19:15~」「22:15~」の3回。これは決まりごとなので変えられません。なので、自分のスケジュールをバトルの時間帯に合わせました。当時は今ほどいそがしくなく、自由に使える時間があったのですべて参加できました。あのころの私は『アンジュ』のバトルを「生きる意味」とか「癒やし」だと思っていたんですね(笑)。
――お聞きしにくいのですが、課金も?(笑)
ジェーニャ:もちろんです! 自分のギャラの何十倍も使っちゃっています(笑)。ギルドにも所属していましたし、ずっとランキングの上位でした。このゲームは登場する女の子がすごくかわいいんです。そして、声優さんたちの声もかわいい! 私はあまりにも熱くなりすぎていたので、ある日「ちょっと冷静になろう」と考えました。
――それは冷静になったほうがいいですね(笑)。
ジェーニャ:でも、本当にいいゲームなんです。リアルタイムバトルはとてもソーシャル要素が強くて、慣れ合いや裏切り、だまし合いなど、人間の黒い部分も見えてきます。だけど、その一方で本当に仲良くなれる人も出てきます。『アンジュ』で知り合った友だちとはオフ会もしましたし、今でも交流しています。
――ソーシャルゲームならではの、いいお話ですね。
ジェーニャ:普段のお仕事では声優さんの友だちができますが、一般の方とはなかなか出会えません。それに、キャラクター名を本名にしていないので、プレイヤーのみんなは私のことを知らないままで会話してくれます。肩書も性別も気にせず、人間と人間の会話ができるのがうれしいですね。
――『アンジュ』は今でもプレイしていますか?
ジェーニャ:今は『ドラゴンジェネシス 聖戦の絆』(以下、ドラジェネ)に移りました。『アンジュ』で知り合った仲間に加えて、新しく友だちになったプレイヤーたちとも遊んでいます。これもリアルタイムバトルですが、プレイヤーがバトルの時間を選べるんです。1回のバトルは30分間なので、私は仕事が終わった夜にまとめて戦っています。
――『ドラジェネ』のどこが面白いですか?
ジェーニャ:バトルが作り込まれているところですね。ガチのギルドではないので、私たちのギルドはだいたいランキング50位くらいです。『アンジュ』のときは熱くなりすぎたから、『ドラジェネ』では生活を犠牲にしたくないですね(笑)。
――リアルタイムバトル系がお好きなのですか?
ジェーニャ:そんなつもりはないのですが、『アンジュ』にハマって、今は『ドラジェネ』を遊んでいますから、そういうことになるかもしれませんね。それ以外だと、DMMのブラウザゲーム『アイドルうぉーず』も遊んでいます。
――ブラウザゲームも遊んでいるのですか!?
ジェーニャ:ギルドのリーダーからすすめられたときは「これ以上ゲームを増やしたくないなぁ」と思っていたのですが、気がついたら今日までの3カ月間、毎日ログインしています。かろうじてまだ課金していませんが、今までに10回以上クレジットカードを登録しそうになっています。
――これは、課金するのも時間の問題かと……(笑)。
ジェーニャ:実は、今年の東京ゲームショウに行った目的は、『アイドルうぉーず』と『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』(以下、スクフェス)の配布物をもらうためでした(笑)。
――ジェーニャさんのクチから次々とゲームタイトルが出てくるのですが、『スクフェス』もお好きなんですか?
ジェーニャ:今いちばんハマってるゲームは『スクフェス』です。ゲームから入って、アニメ『ラブライブ!』も好きになりました。音ゲーなので、画面が大きいiPadで遊んでいます。
――どれくらいの時期から始めたのでしょうか?
ジェーニャ:まだ1年くらいです。なので、ランクは「170」くらいですね。「μ’s」のメンバーは全員が魅力的ですが、私は特に「かよちん」(小泉花陽)推し……というか「シカコ」(小泉花陽を演じる声優久保ユリカさんのニックネーム)が好きなんです。
――ランク170とは、しっかりプレイしていますね。
ジェーニャ:『ラブライブ!』は本当に大好きなんです。私は声優のお仕事をさせていただいていますが、そういうのは関係なく応援している、単なるファンです(笑)。なので、コスプレもしますしイベントにも行きます。
――ジェーニャさんが応援していたら目立ってしまいませんか?(笑)
ジェーニャ:そうですね……なので、イベントでは声優らしく関係者として入場しています。座席は関係者席だけど、心の中ではファンのみなさんといっしょになって全力で応援しています!あとは「りっぴー」(星空凛を演じる声優飯田里穂さん)のラジオにゲストに呼んでいただいたこともあります!
――それは仕事ですか? 趣味ですか?(笑)
ジェーニャ:この話も長くなりますよ?(笑)私がちょうど『ラブライブ!』にハマって1カ月くらいの時期に、木場にあるラジオ局「レインボータウンFM」で自分の番組を持たせていただいていたんです。その現場でディレクターさんと雑談しているときに番組リストを見たら、りっぴーちゃんの番組が載っていて。思わず私は「あ、りっぴーだ!」って反応しちゃったら、それがなんと、同じディレクターさんの作っている番組だったんです。
――それは奇遇でしたね!
ジェーニャ:そうしたらディレクターさんが、ゲストとして出してくれるっていうんですよ。
――出演してみていかがでしたか?
ジェーニャ:ものすごく盛り上がりました(笑)。ずっと『ラブライブ!』の話をしていた記憶があります。りっぴーちゃんはすっごく元気でいい子なんです。先日、さいたまスーパーアリーナのライブで楽屋にあいさつに行ったときも、「お~!ジェーニャ! いぇーい!」って声をかけてくれました。
――ジェーニャさんは『ラブライブ!』以外のアニメも好きですか?
ジェーニャ:はい。アニメは大好きです。いまは『ラブライブ!』にハマっていますが、時期によっていろいろです。『進撃の巨人』も楽しかったし、『ソードアート・オンライン』も好きでした。
ロシアにも萌えゲーはある!?
――ジェーニャさんはかわいいキャラクターが好きなのでしょうか?
ジェーニャ:はい。大好きです。たぶん脳が男性なんです……。いかにも女性向けなゲームは好きになれません。どちらかといえば、ずっと「かわいい女の子」を見ていたい(笑)。
――日本のアニメやゲームはかわいい女の子であふれています。
ジェーニャ:日本はエンターテイメントが豊かな国だと思います。人それぞれが、好きなジャンルの作品を自由に選べます。
――ロシアの事情は異なりますか? 例えばスマホのアプリで、どのようなゲームがはやっていますか?
ジェーニャ:ロシア版のApp Storeなどを調べるとわかるのですが、ランキングTOP 20に「かわいいゲーム」は1つもありません。いまだに『アングリーバード』が圧倒的に強いですね。あとはサッカーゲームとか、『スポンジボブ』のゲームとかが人気です。日本では考えづらいですよね? 以前、ロシアに帰省したとき、弟にどんなゲームを遊んでいるかをたずねたら、やはり『アングリーバード』でした。私は「日本にはもっとかわいいゲームがたくさんあるよ!」といっておきました(笑)。
――ロシアで萌えっぽいゲームは存在しないのでしょうか?
ジェーニャ:萌えとは違うかもしれませんが、ロシアのゲームファンが作ったビジュアルノベルのようなものがあります。もともとはPC用だったんですが、スマホ用も出ています。ロシアのゲーム好きが集まる掲示板で「こんなゲームがあったらいいね」みたいな話から生まれたゲームなので、インディーズですね。2年前くらいから存在していたそうなのですが、私は最近知りました。プロモーションビデオを見てください!
ジェーニャ:『Everlasting Summer』というタイトルです。絵も音楽も素人が作ったような、いかにも同人ゲームな感じです。音楽を聴くとわかるのですが、日本のビジュアルノベルを意識しています。さらにどう見ても「初音ミク」みたいなキャラが出てくるんですが、彼女の名前が「Muky」なんです(笑)。
――いろいろとスゴいですね(笑)。
ジェーニャ:日本のゲームみたいに絵は上手ではないですが、みんなで作って完成させたという点に感心しました。昔に比べて、今のロシアでは日本のアニメにあこがれている人が増えているんだと思います。
――ロシアで遊ばれている、かわいいゲームはありますか?
ジェーニャ:「萌え」とは異なるかわいさですが、小さな女の子向けの着せ替えアプリとか、『マイリトルポニー』のゲームとかです。大人が楽しめるゲームではありませんね。
後編では、ロシアならではの文化から生まれたゲームや、ロシアで流行りそうな日本のゲームの話題をお届け。さらに一風変わった独自のスマートフォンなども紹介するので、お楽しみに!
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