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■戦慄の敵数
極限男女の人数は戦場に入ってものの30秒ほどで理解できた。
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敵。
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敵。
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敵。
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いたるところが敵だらけだ。
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何とかドラム缶を無理くり回収するも雀の涙。
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2回目のドラム缶が終わり、恐る恐る我が家(防衛拠点)へ帰ると。
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他所様の家になっていた。
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もう我の場所だけ見てもカオスでしかないのがわかると思うが、それと同時に他の場所からもVCが飛んでくる。
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特に重要な拠点である中央については我の拠点よりも絶望的な人数になっているとの連絡があった。
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試合開始前こそ
「案外、相手少なかったりしてねw」
「そしたらまず自軍拠点から取って欲しいな」
「うんうん、そうなるさ、まぁ最終判断待とう」
なんて呑気な会話をしていたものだが、既にその最終判断を待たずして結論は出ていた。
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今回のコンセプトは敵拠点を確保するということ。
その間はひたすらカットを徹底して援軍を待つ他ない。
質も相手の方が上の状態、恐らくランカーも混じっている。
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相手10名強に対してこちらは6名。
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だが人数が少ないのはここだけではなく、全ての拠点で同じことなのだ。
こちらの主力が相手の拠点に集中していようとも、それでも数が足りない状況とのことだ。
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勝てる見込みはほぼないだろう。
だが、せめてこの拠点だけは、この人数で何とか処理してみせる。
そういう決意を抱いた。
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我「やるしかない」
蒼刀鐵「だね」
ナベちん「いっちょやってみよう」
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ここで我はある提案をした。
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我「人数も圧倒的に少ない、敵を倒すのも絶望的、こうなるとカット以外の選択肢がない」
蒼「そうだね」
ナベちん「うんうん」
我「ということで、1個試そう、名付けて…」
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■試合開始
隠してサークル戦が開幕した。
開幕、いや。
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開幕というか弾幕。
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開始5秒もしないうちに次々と薙ぎ倒されていく面々。
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ボイドを使って突貫してなんとかカット。
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そして
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ATフィールドを展開して何とかして時間を稼ぐ。
クリスタル状態は無敵のはずなのだが、あまりにも攻撃が凄く、
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仕様を飛び越えてATフィールド突破されてしまうのではないかとハラハラしたのは秘密だ。
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そして想像していたことだが、ATフィールドが終わると同時に
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数えられない桁数のダメージが我を襲う。
なんかこの場面を傍目から見たら錬金術で等価交換として悪魔に魂を持っていかれる図にも見えなくもない。
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そして倒れる我。
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我「蒼、生きてるか?」
蒼「大丈夫、任せておいて」
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だが思いとは裏腹に我は冷静だった。
カットという面ではこの場面、慌てふためくところではあるが、こんなことは想定内の範囲である。
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蒼「悪い、落ちた!」
ナベ「俺も落ちそう!」
我「OK、復帰した、大丈夫」
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そしてボイドで潜入後、再びATフィールドで道を切り開く。
その間に復帰する蒼&ナベ。
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そして復帰の間を埋めるかの様に突貫し続ける防衛拠点軍たち。
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作戦名:ジェットストリームアタック。
そう。
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VVIPの黒い三連星とは我々のことだ。
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■言葉の魔法
我「ケンラウヘル落ちた!」
蒼&ナベ「OK、大丈夫!」
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蒼「蒼落ち!」
我&ナベ「大丈夫!」
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ナベ「すまん!落ち!」
蒼「まだ復帰中!」
我「大丈夫、問題ない!」
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ちょっと他のVCメンバーには邪魔で悪いと思ったが、これは他の拠点でも同じことが言えた。
他の拠点からも同じ様な言葉が聞こえる。
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「敵右で落ちた!」
「大丈夫!いるよ!」
「流石!」
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「敵左もう持たない!」
「後ろいるから安心して、大丈夫!」
「ナイス!」
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「自軍右に敵いくよ!」
「大丈夫、カットはいける!」
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これが不思議な言葉なのだ。
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『大丈夫』
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この言葉だけで絶望的であるはずの戦場、全員がネガティブになりかねない戦場が一気に安心感に変わるのだ。
それは安心させようとしてかける言葉のニュアンスではなく、自信に満ち溢れた、任せておけという、背中を押してくれる声。
全員が全員、そんな声を出すのだ。
そうなるとどうか。
不思議と絶望から希望の光が満ち溢れてくる。
いつやられるか分からない、負けるかもしれない、そんなことは関係なく、ただこの声を掛け合っている瞬間が最高に興奮してくる、ただそれだけで楽しいのだ。
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さらにそれに拍車をかけるように状況が好転する機会が訪れた。
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開始から10分。
ふとマップを見た瞬間だ。
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いつ奪ったか分からない。
ただそこには緑色の希望の光が産声を上げていた。
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我「おい!左敵とったな!流石!ナイス!」
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自軍の拠点以外に目をくれることなどできる余裕はなかったが、一瞬だけ担当拠点のことを忘れて叫んだ。
それに気付いたVCメンバーが一斉に声を上げる。
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「おお!まじか!やった!!!」
「ナイス!リードしたよ!」
「いいよいいよ!!!」
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明らかに人の少ない状況でこの快挙。
しかも前回の試合ではボロ負けだったという事実。
そのギャップがVCを絶叫で震わせた。
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大丈夫、いけるよ!
大丈夫、この調子!
大丈夫、このままいこう!
大丈夫、ここが踏ん張りどき!
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大丈夫
大丈夫
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VVIPが一体感に包まれた。
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■例え不利になっても
しかし、言葉だけではうまくいかないことは当たり前だ。
開始から15分。
VVIPが拠点を確保してから5分後のこと。
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精鋭たちの尽力を持ってしても、右の敵拠点を落とされてしまった。
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「悪い!」
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右拠点の隊長からVCが飛ぶ。
悪い?
いやむしろ。
貴方たちがいたからこそここまで持ったのだろう?
感謝以外に言葉はない。
誰もがそう思ったに違いない。
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リードは800ポイント。
前回一方的な展開でやられた相手に対してリードをとったのだ。
そもそも既に一矢報いるという目標は達成されている。
だがさらにもう一矢、いや、二矢、三矢を撃ち込んでやりたい。
引き気味の心はいつの間にか前のめりの姿勢へと変わっていた。
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我の担当拠点は相も変わらず開始直後から油断を許さぬ状態であった。
だがコレも凄いことだ。
10人以上の相手を、しかもランクの高い相手をここまで苦戦させているのだから。
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我「ケンラウヘル落ちた!」
蒼&ナベ「OK、大丈夫!」
蒼「蒼落ち!」
我&ナベ「大丈夫!」
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ひたすらに作戦を遂行する黒い三連星。
いや、黒い三連星だけではない、防衛拠点の各メンバーも一緒になって合わせてくれている。
コレは何だろう。
何というべきだろうか。
既にジェットストリームアタックではない。
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まるで巨大な隕石を押し返そうとする行動。
ア○シズショック並の事象へと変化してきている。
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そしてここで戦況はガラリと変わる。
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とうとう、敵の左拠点が取り返される。
残り時間33分、ポイント差は1000。
制圧している拠点がない状態、つまりはポイントが全く入らない状況というのは辛いものがある。
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だがVCで続くのは「大丈夫」という言葉。
一切ネガティブな発言は出てこない。
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残り27分。
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まさかのここで敵左拠点を奪還。
2倍差のポイントとかはもう忘れていた。
ただ取り返したという事実で莫大に盛り上がるVC。
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大丈夫!
大丈夫!
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残り25分。
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ここで一番苦戦していた中央が奪還される。
ポイントはまだ2倍。
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大丈夫!
大丈夫!
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そしてその直後、
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右自軍拠点を確保。
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ちょっともうここら辺からVCでの叫び声が熱量を帯びて何言ってるのか分からない状態だった。
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ここはもう、何としてでも担当拠点を落とすしかない。
何としてでも、何としてでも。
大丈夫!大丈夫!
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残り17分。
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拠点の確保数は変わらず、勝利はなかなか厳しい状況だ。
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しかし、ここで一瞬の凪が我の拠点に訪れた。
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援軍も駆けつけ、初めての人数差での優位。
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我「ここしかない!前!防衛は前へ!」
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この30分近く、後ろ気味で戦っていた防衛隊。
これを待っていたとばかりに一気に前に出てブロックを開始。
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そしてついに
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とうとう担当防衛拠点を確保、いや。
確保拠点数を我々が上回ったのである。
まさにこれこそが一矢と言わんばかり。
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ポイントでは負けているのに、負けるのはほぼ確定なのに、歓喜の声しか聞こえてこない。
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極め付けは最後。
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あと一回の更新で負けてしまうのが確定しているのに。
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「守れ!全員守るぞ!」
「絶対に”勝つ”ぞ!」
「大丈夫、このままいくぞ!」
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と何故かここ今日一番の盛り上がりを見せるVC。
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そしてとうとう、30分の激戦の末、拠点数は最後まで3対2のまま、
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極限男女が勝利、したはずなのだが。
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「やったあああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおお!!」
「すげぇ、VVIPすげぇええええええ!!」
「いけたああああああ!!」
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という歓喜の絶叫。
そして同時に打ち合わせもしていないのに、拍手の音が耳を包み込む。
VVIPではこんな現象は初めてだ。
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あとは覚えていない、一矢報いてやったという歓喜、ここまでできるとは思わなかったという涙じみた女の子の声。
我も心から喜んでいた。
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■楽しみ
やっぱりGvGは楽しい。
しかし文字に書き表しても、あの時の興奮は冷めやまない。
VVIPは既に上位サークルと言えぬほど、人の引退が相次いでしまった。
征服の地も3戦場しかない。
だが、ここには何かしらの楽しさが見出せる場所がある。
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VVIPサークルメンバー募集中です!
サークル戦楽しみたい方大歓迎です!
初心者やエンジョイ勢の方も是非!
日課回して貰えますよ((ボソッ pic.twitter.com/d5ZYOp7I7L— VVIP (@VVIP_CDB) 2020年10月26日
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現在、VVIPではメンバーを募集している。
新規は当然歓迎、エンジョイ勢も歓迎。
そしてもしドラブラをやっている人の中で、モチベーションのやりどころに迷っている人がいたら。
是非、VVIPに来るといい。
自信過剰かもしれないが、繰り返す。
VVIPの門を開けることを強く、強く勧める。
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自信を持って言える、そんな気分にさせてくれる戦場だった。
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■今日の罰ゲーム
「ケンさん、ナイス!」
「反王さんさすがだなぁwww」
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歓迎される我。
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我「いや、我ではなく防衛拠点の皆が最高の動きをしてくれた、最後の援軍も助かった」
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こんな会話をしていた。
だが、とりあえず大歓喜のうちに確認しておきたいことがあった。
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我「で、総括としてはだ」
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我「前回の戦場をすっぽかしてしまったという罪は、今回の活躍でチャラ、という認識でよろしいだろうか」
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「たった一回の戦場で?」
「皆のおかげなのに?」
「これで反王さん、満足しちゃうんだ?」
「反王さんっt
我「次回の戦場も我に任せよ!勝利の栄光を、VVIPに!!!!」
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禊の道のりは続く。
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以上。