NEXON ARENAでe-Sports先進国の現場を体感
NEXON Koreaは韓国にてe-Sports番組制作を行う放送会社Loud Communicationsと共同で、e-Sports専門施設「NEXON ARENA」を運営している。
e-Sports専門施設としては韓国最大規模となっており、『League of Legends』や『EA SPORTS™ FIFA Online 3』などの人気タイトルのリーグを開催し、プロゲーマーたちの熱い戦いが行われているのだ。
観客席に向かって、中央に実況席、左右に選手がプレイする個室が配置。19×3.4mの大型モニターには、ゲームの模様やカメラが捉えた選手の表情が映される。会場の大きさとしては、映画館のシアター1個分くらいの感覚
昨年の12月には、同施設の運営に携わるNEXON KoreaのYoung-min Hwang氏へのインタビューを掲載したが、NDC17の会期中、NEXON Korea e-Sportsチームのチームマネージャーを務めるKim Se Hwan氏へインタビューする機会を得た。
NEXON Korea e-Sportsチーム チームマネージャー Kim Se Hwan氏
――NEXONのe-Sportsチームはどういった業務をされているのでしょうか?
Kim Se Hwan氏(以下、Kim):弊社のe-Sportsチームは、NEXONのゲームをe-Sportsのリーグに活用できるよう、企画、構成、実行に至るまでの業務をしています。
e-Sportsのみならず、G-STARなどのイベントへの対応も業務の1つになります。
――韓国では、NEXON ARENAのような施設は他にもあるのでしょうか?
Kim:ON Game Netという韓国の放送会社が、ソウル市と協業して運営している「Seoul OGN stadium」という施設があります。
その他、小さなPC Cafeにて、小規模な大会を開いていますが、あまり広くは知られていません。
※韓国のPC Cafeは、日本のインターネットカフェと異なり、PCゲームをプレイするための場所
――韓国にはe-Sportsの試合が行われる施設がいくつかあるようですが、ゲーム会社自身が運営することによるメリットやデメリットはありますか?
Kim:NEXONが持つ施設なので、リーグを企画・構成するにあたり、視聴者数に期待できそうな日付や時間帯など、実施したい日時を確保しやすいです。
また、e-Sportsのリーグだけでなく、イベントにも利用しており、他の場所を探すことなく、NEXON ARENAを活用できるというメリットがあります。
対してデメリットですが、強いてあげるなら、オフシーズンの間もコストが生じてしまう点です。
施設は常に有効に活用されなければいけないのですが、どうしても活用されない期間が発生してしまうため、仕方ないですね。
e-Sports先進国の賞金事情
――NEXON ARENAで開かれる大会の賞金は、すべてスポンサーから提供されているのでしょうか?
Kim:種目によって異なりますが、NEXONのマーケティング予算から賄われることもありますし、スポンサーから提供していただくこともあります。
例えば、『EA SPORTS™ FIFA Online 3』の場合、FIFAのブランドを使っていることでスポンサーから賞金を出してもらうことができない構造になっています。
そのため、すべての賞金がNEXONの予算から出ています。
この日に行われていたリーグは、格安航空会社のJin Airがスポンサーということで、飛行機をイメージしたセットやJin Airのロゴがいたるところに
――日本では、景品表示法に抵触することから、ゲーム会社自身が高額な賞金を出すことができません。韓国では賞金が出る大会やリーグを開催する際に障壁となる法律などはないのでしょうか?
Kim:大会を誘致して、賞金を提供することが、何かの法令に抵触することはありませんし、選手たちは、賞金が出る大会を好む傾向があります。
韓国では何らかのイベントで、抽選などで賞金や景品を得るとき、22%の税金が発生します。しかし、e-Sportsの大会での賞金は、それが4%になります。
大会の規模や開催期間、参加したユーザー数などを税務当局に提出して、大会だと認められれば、税率が4%になるのです。
――NEXONが賞金を提供した大会で、もっとも高額なケースを教えてください。
Kim:2013年の『EA SPORTS™ FIFA Online 3』のチーム戦です。
1チーム3人の大会だったのですが、優勝チームに1億ウォンの賞金がもっとも高額でした。
個人戦では、同じく『EA SPORTS™ FIFA Online 3』なんですが、優勝者には5,000万ウォンが支払われました。
2017年は『EA SPORTS™ FIFA Online 3』のみで、年間3億5,000万ウォンの賞金総額に達する見込みです。
『カートライダー』の場合は、年間1億4,000万ウォンくらいです。
――NEXONではない企業が主催して大会を開くことはあるのですか?
Kim:NEXONは、e-Sportsチャンネル「SPOTV GAMES」でリーグの中継や番組制作を手掛けるLoud Communicationsとパートナーシップを組んでおり、そちらでは、『StarCraft2』や『League of Legends』のリーグを開催しています。
24時間放送するケーブルテレビで、生中継を平日の19:00あたり、週末は12:00以降に行っています。
今はPCやモバイルで視聴するユーザーが多いのですが、『EA SPORTS™ FIFA Online 3』は土曜日の14:00~16:00にリーグの中継を行うと、リアルタイムで25,000~30,000人の方が視聴します。
それが決勝戦だと50,000人くらいになります。
過去に、NEXON ARENAで開催したリーグの歴史がこちら。年間。10種以上のリーグを実施しているようだ。ちなみに、リーグ以外にもさまざまなイベントで利用されている
――韓国以外の地域でも放送はしていますか?
『StarCraft2』と『League of Legends』の場合は海外でも同時に放送します。
もし要請があった場合には、海外向けの実況席も設けています。
――オープン当初から来場者はたくさん集まりましたか?
Kim:来場者数は、開かれる種目や出場する選手によって大きく変わります。
例えば、SK Telecom T1に所属するfakerという選手が出場する日は、ファンで会場が埋め尽くされます。
筆者が見学した日は、平日ということもあり、空席がそこそこ見受けられた
こちらは、ネクソンよりいただいた会場の模様。週末になると観客で席は埋まるとのこと
――実際にNEXON ARENAを見学したのですが、試合後の選手の周りに女性ファンがたくさん集まっていましたね。
Kim:そうですね。特に『StarCraft2』のルックスの良い選手に女性ファンが多い傾向があります。
ただ、韓国はゲームのみならず、俳優や歌手のルックスの良い男性は人気がでます。
サインや写真撮影に応じ、交流をする選手の姿。試合開始時には、ファンの声援が会場に響いていた
――最後に今後の展開をお聞かせください。
Kim:NEXON ARENAはe-Sportsのための施設として作られました。
ですが、今はいくつかのゲームに特定してリーグを実施している状況なので、今後はもっと裾野を広げていきたいと考えています。
普通のユーザーが気軽に参加できるような小さな大会も開催したいです。
また、多くの種目の活性化にも力を入れていきたいですが、NEXON ARENAだけでできることではないと思います。
もっと施設を拡張して、そういった取り組みできればな、と考えております。