バニッシュメント・デイ【ゲームレビュー】

人気ブラウザゲーム『バニッシュメント・デイ-』のスマホ版が登場。戦略性の高いタクティカルバトルが魅力の本作だが、各武器やジョブに合った強化やカスタマイズも可能。非常にやりこみ要素の高いスマホゲームとなっているが、基本的なストーリーや操作方法はブラウザ版から変わっていないのがポイントだ。

ブラウザ版と同時に進行するタクティカルバトルRPG

コンピューターゲームのトレンドというものにも、いくつかの流れがある。現在あるようなコンピューターゲームのルーツは、アタリの『PONG』に求めるのが一般的だが、これはアーケードゲームと家庭用ゲーム機の共通の始祖である。PCゲームはといえば、1977年に発売されたApple IIが世界初の普及型パーソナルコンピューターであり、そこから発展していったといわれている。

はてさて、近年だとスマホやタブレットの性能が向上し、PCゲームに遜色ないタイトルも続々と登場しているが、スマホ登場以前にはPCでは大容量のクライアントをインストールして遊ぶオンラインゲームが主流だった。そこからインストールを必要としないブラウザゲームがカジュアルゲームとして一世を風靡。そして本作『バニッシュメント・デイ』はサービスインから1周年を迎えようというブラウザゲームのスマホ版である。

ブラウザ版

スマホ版

ブラウザ版との画面比較。ほぼ同じだが、スマホ版にはその他の項目がある。ここでデータ引継ぎのパスワード発行などを行う

ブラウザゲームの完全移植

本作はブラウザ版が現在もサービス中であり、スマホ版とストーリーなどもまったく同じである。スマホ版で追加された要素も現状では特になく、ブラウザ版と同様に遊べるのが特徴だ。

ただし、ブラウザ版からデータを引き継ぐことはできず、iOS版はもちろん、Android版も最初からプレイしなければならない。課金決済の問題もあるのでこれは仕方ないことだが、Windowsタブレットなどでしか持ち運べなかったタイトルがポータビリティーを増したことは実にありがたい。また、ブラウザ版に比べて短い時間で遊ぶことを想定しているため、新たに中断機能が追加されている。

バトル中に端末の電源を落としたとしても、そのまま復元してくれる。なお、ストーリーの途中で中断した場合は、そのストーリーの最初からになる

オーソドックスなパーティー編成型RPG

先にブラウザ版との違いについて述べたが、ゲームの基本的なところを説明しておくと、最大5人までのキャラクターを部隊に配備して戦う戦術型RPGである。

戦闘職であるアサルト、ヘビーガンナー、スナイパーと、支援職であるメディック、エンジニアの5種類の職業があり、アサルトはヘビーガンナーに、ヘビーガンナーはスナイパーに、スナイパーはアサルトに優越する。これに加えて、回復役のメディック、味方の強化や敵の弱体化を狙えるエンジニアという構成だ。

また前衛職と後衛職があって、アサルトとヘビーガンナーは前衛に、スナイパーは後衛に配置しないと攻撃を行うことができない。

パーティーには最大5人までを編成できるが、戦闘時は助っ人としてほかのプレイヤーのキャラクターを借りられる。つまり、合計6人となる。前衛と後衛のバランスに注意

後衛は、自分の前に前衛キャラがいないと、敵に直接攻撃されてしまう。メディックやエンジニアは打たれ弱いので、配置にはじゅうぶんな注意が必要である

パーティーの要であるキャラクターの取得は「スカウト」で行う。軍資金、調査ポイント、探索ポイント、交渉ポイントの各数値を設定し、数値のバランスを変えることで入手できるキャラクターの種類とレアリティが変わる。これは『艦隊これくしょん -艦これ-』でもおなじみのシステムだ。また「開発」は、装備品の開発を行うもので、軍資金と調査ポイントが必要。こちらも数値のバランスで、開発できるものが変わる。

取得したキャラクターや装備は、「強化」でさらに性能を上げることができる。キャラクターは、別のキャラクターとの掛け合わせで、装備は強化ギアを使用して強化する方式だ

すべての基本となるストーリーモード

本作の物語は、人為的な天変地異で地図上から消滅した日本が舞台となっている。プレイヤーは孤立した中で、九州地方から徐々に日本を解放していくことになる。開発できる装備などはストーリーモードの進行と密接に関わっているので、まずはストーリーを進めていこう。

とはいえ、ストーリーを進めるだけでは、加速度的に強くなる敵に対処できなくなる。トライアルや各種ミッション、クエストでこれを補助していくというのがゲームの流れだ。

各戦闘にはスタミナ値が設定されており、キャラクターのスタミナが0になると戦闘に参加できなくなる。ただし、時間経過もしくはアイテムでこれを回復できる。ストーリーを進めることで、挑戦できるトライアルも増えていくので、やり込み要素はじゅうぶんだ。

ストーリーを解くことで、そのマップのトライアルクエストに挑戦できるようになる

経験値の取得率がいいデイリーの出撃クエストは、ストーリーを進める余裕がないときでも、できるだけプレイしておきたい

1年分運営ノウハウが反映されている

ゲーム内容はブラウザ版と同様。つまり、昨年末にサービスインし、その後に拡張、改良を続けて来たブラウザ版の有形無形のもろもろが、そのまま反映されているということだ。UIなどの基本的な部分はもちろんだが、スカウトで取得できるキャラクターの制限撤廃など、細かなところもブラウザ版の初期より遊びやすくなっている。

また、新しくスタートするユーザーのためのフォローイベントも、ブラウザ版、スマホ版で同時に開催されている。サウンドの面でも、各キャラクターのボイスを演じているM・A・Oさん、南条愛乃さん、内田真礼さんなど、お世辞抜きに豪華なメンバーとなっているし、音楽は『ストリートファイターII』『フロントミッション』『キングダムハーツ』の下村陽子さんである。

ブラウザ版と同じで、1点だけ不満があった。マナーモードに対応していないのだ。ゲームの音声を切るにはスマホ本体の音量を0にするか、ゲーム内設定で音を切るしかない。さらに画面固定で、スマホの持ち変えに対応していないことも細かなストレスとなった

すでに一定の評価がなされている作品の完全移植であるし、ゲームの出来栄えとしては文句ない。攻略情報もブラウザ版と共有できるので、安心してむだなく遊べる点も高評価である。攻略本世代としては、特にこの部分が本当にありがたい。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.0.2
  • プレイ時間:約5時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

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