クイズ&キャラクター育成で二度おいしいバトルRPG
問いと答えが1対1形式の「クイズ」というジャンルは、コンピューターゲーム向きであり、その歴史は古い。1970年代にはすでにアーケードゲームにあったそうだ。1970年代から1980年代は日本でもクイズ全盛期であり、放送局や時間帯にかかわらず常にテレビでクイズ番組をやっていたのをごぞんじの方も多いだろう。
アーケードゲームでも結果がすぐに出ることから、主流にはならないまでも定番ジャンルとしてそれなりの数のタイトルがリリースされていた。だが、コンピュータークイズゲームに最も適した時代は、まさに今なのである。なによりカジュアルだし、問題数も随時アップデート可能なのだから。
ただ、時間をかけてキャラクターを育成するRPGや、反復訓練によってステージを進めるアクションに比べると、「知っているか知らないか」という白黒はっきりしているシステムが、ユーザーを選ぶことも事実である。また、問題の難しさも個人の知識量に由来してしまい、バランスが取りづらい。そういった中で、問題の難易度に関しては一般常識レベルに抑えつつ、別の部分でバランスを取ったのが本作『トリビアサーガ』である。
パーティー編成による戦略性
本作では最大4体のキャラクターでパーティーを編成してクエストに挑戦するわけだが、ただクイズに答えればよいわけではない。火、水、樹の3つの属性を持つキャラクターをうまく組み合わせて編成し、攻撃を行う必要がある。
いわずもがなだが、火は樹に、樹は水に、水は火に強い。出題のジャンルは文系、理系、芸能、スポーツ、アニメ&ゲーム、トリビアの6種類で、それにそれぞれ属性が付与されている。ジャンル選択時に攻撃を行うキャラクターの属性を選択するという形式になっているのだ。
問題に正解すると、選択したジャンルに対応するキャラクターが攻撃を行い、敵を倒すとステージクリア。攻撃に参加できるキャラクターが多ければそれだけ攻撃力が増すが、出題ジャンルに自分のパーティーのキャラクターで対応する属性がなければ、正解しても攻撃はできない。それゆえ、バランスを考慮して編成する必要があるというわけだ。
また、クエストによって出現しやすい敵の属性もある程度はわかるので、有利な属性を厚め編成してバトルに臨むのがセオリーだ。
問題は比較的、簡単な部類だ
出題にはそれぞれパーセンテージが振られているが、これはゲーム参加者全体の正答率。60%以下というものはほぼ見ないし、大体が90%を超えているので、そう意地悪な問題やマニアックな問題はないようだ。もちろん問題の難しさは人それぞれだが、解答を知らなくても、選択肢から自ずと導き出せるものも多い。そういう意味では、知識を問うタイプのクイズの要素は低い。
では、難易度をどのように設定しているのかといえば、敵のパラメータ設定と、出題属性の傾向である。有利な属性で攻撃してもさほどダメージが入らなかったり、自分のパーティーにない属性の問題ばかりが出題されたりするなど、いくらか恣意的なものを感じた。特に、むだな解答を続けると精神的な疲労が増すので、この辺は何とかしてもらいたいところだ。
ストーリーモード以外はかなりの難易度
物語を進める「ストーリーモード」以外にも、イベントクエストに相当する「遺跡」、複数プレイヤーが集まって順位を競う「アリーナ」といったゲームモードが用意されている。ちなみに「遺跡」は初級といえども敵が硬く、すぐにパーティーをぼろぼろにされてしまう。
またアリーナでは、ほかのプレイヤーがものすごいスピードで答えるので、筆者はずっとビリの順位に張り付いていた。遺跡もアリーナも、キャラクターを育成すれば何とかなりそうな気がするが、ビギナークラスでこの難易度なら、もう1つ低いランクを作るべきだったのではないかとも思う。
クイズゲームというよりは育成ゲーム
前述のとおり、そう問題が難しいわけでなく、選択肢も素直なものだが、クイズゲームだと思って進めると早晩に手詰まりとなる。敵の防御力と攻撃力が格段に増して、強くなるからだ。とはいえ、たいがいのゲームは調子よく進んでいってもどこかで強敵が立ちはだかり、壁にぶつかることになるものだ。そういう意味で、純粋なクイズゲームというよりは、育成ゲームにクイズ要素が追加されているくらいの考えの方がいいだろう。
ただ、キャラの育成と自分のレベルアップに関しては、それに適したステージがなく、イベントも高難易度なので途方に暮れることになりそうだ。開発陣の想定から外れた遊び方をしてしまったのかもしれないが、すでに解いたステージを周回してもボーナスがもらえるわけではないので、継続プレイのモチベーションも下がりがちだ。
また、偶然なのかもしれないが、見覚えのある問題がけっこうな頻度で出題されていた。ランクによって出題される問題が設定されている可能性も、もちろんあるのだが、ここも少々興ざめである。ゲームバランスの見直しと問題数の追加で改善される部分なので、今後のアップデートで改良してもらえるとありがたい。
ゲーム全体としては、非常にわかりやすいシステムになっているので、パズルRPGは苦手だけれど、じっくりとキャラクター育成をしつつバトルを楽しみたいという人は、1度プレイしてみるといいだろう。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 9.0.2
- プレイ時間:約4時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.03
- 課金総額:0円
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