ヤマトが起点になったSFアニメ
『宇宙戦艦ヤマト』を振り返って思うことは、この作品のヒットや若者からの共感度が1つの指標になって、その後、日本のアニメーション市場が勃興したのではないだろうかということ。
『宇宙戦艦ヤマト』に至る原案者であり、製作プロデューサー西崎義展氏の強烈で数奇な人生を読み合わせるとその作品の持つ性のようなものを感じる。
話しが逸れたが、『宇宙戦艦ヤマト』のヒットを起点に、その後テレビアニメーションでSF(サイエンスフィクション)をテーマにした作品が多く製作され、その中でもヒットした作品が劇場用アニメーションに昇華していった。
その延長線上に位置する作品は多いが、『機動戦士ガンダム』シリーズは独自のテイストと、乾いた世界観の基づき多くの支持を集めた作品だ。
あいにく、私自身は『機動戦士ガンダム』シリーズがヒットしたころには、ちょうど大学浪人生、大学新入学生だったため、アニメーション、テレビ放送、劇場映画への関心が薄れていた。
今風にいえば「リア充」していたタイミングだったために、ガンダムの洗礼を浴びることなくほぼ通過してしまった。
とはいえ、周囲には常にガンダム世代の友人、知人がいたため、「ヤマト世代」「ガンダム世代」ともに世代は変われども、そこの登場する人間模様、感情、ミッションに向かって突き進むその姿は、どの世代にも共通して訴えかけるテーマ性が内在していると思われる。
宇宙空間を体験できる異次元VRアトラクション
さて、今回の私のミッションはVR ZONE SHINJUKUに新たに設置されたVRアクティビティ「機動戦士ガンダム 戦場の絆 VR PROTOTYPE Ver.」を体験することだ。
このVRアクティビティは、すでにアーケードにある『機動戦士ガンダム 戦場の絆』をベースにVRの世界観のもと開発されたものだ。アクティビティ開始時に、パイロットはそれぞれのモビルスーツ名を入力、私は「くろかわ」で臨んだ。
まず、作戦テーブルで戦略をチームで構築し、その戦略を基にジオン公国軍と連邦国軍4対4のチームで、VR空間内をそれぞれのモビルスーツで戦う。
連邦軍の目的は、母艦を守りつつ攻撃をかわし、目的地まで無事に帰港させること。一方のジオン軍の目的は、連邦軍母艦を撃沈させること。それぞれの目的達成を左右するのが、各陣営に分かれた4人のパイロットとなる。
「マリオVR」と同様の専用筐体シートに着座、HTC Viveとヘッドフォンを装着すると、モビルスーツを操作しているパイロット感覚に囚われる。
アクティビティ開始前に操作系のブリーフィングを受けるが、左右2本の操縦桿、足元には2つペダルがあり、それらを駆使して前進と後退、左右への移動、旋回、上昇、下降を行う。だが、初めて体験する人はやや戸惑うことだろう。
ミッション開始前のデモンストレーション時間に操作系のテストなどができると、初心者には親切なガイドになると思われる。正式導入の際は開始前のデモンストレーション操作があるとベターだろう。
攻撃対象への照準は顔の向きでロックオンを行い、攻撃は操縦桿にあるボタンで銃撃を行う。
初回プレイでは連邦軍側のガンキャノンとしてプレイしたが、あれよ、あれよという間に攻撃を受け、護衛対象である母艦を守りきれずに敗退してしまった。
しかし、ジオン軍に変わってから少しコツが理解でき、最後は連邦軍母艦への後方から、私のシャア専用ザクの攻撃で撃沈し勝利に導くことができた。
ゲームが始まると、筐体が画面にともなって振動するため体感度がマックスになり、自分のポジションニングを失ったりするのだが、宇宙空間を疾走する爽快感や果てしなく広がる宇宙感を表現するにはVRはとても適していると思わせるアクティビティだ。
加えて、ヘッドセットでパイロット同士の通信会話ができるため、それぞれのフォーメションを確認しながらプレイすると連携度とミッションの完遂度も高まる。
ただ、この通信会話だが、自分の声がトークバックしなかったため自分の声が相手に聞こえているのかどうかが少し不安になる。この点も改善されることが望ましい。
アクティビティが終了すると、最後はミッションを最初から最後まで通してリプレイ画面で確認することができるのも一興だ。攻守入り乱れての映像だが、そのタイミングに応じたカメラワークもよく考えられてできている。
この『機動戦士ガンダム 戦場の絆 VR PROTOTYPE Ver.』は2018年1月までのプロトタイプアクティビティであるが、パイロットであるプレイヤーたちからのフィードバックを基に、さらなる異次元VR体験を演出してほしいと思う。
機動戦士ガンダム 戦場の絆 VR PROTOTYPE Ver.
- 体験人数:最大8名
- 所要時間:約20分(ブリーフィング時間含む)
- 対象年齢:13歳以上
※期間限定稼働中(2018年1月9日までの予定)
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