画面タップなしの脱出ゲームの新機軸
隠された地下神殿に全身で飛び込む感覚
『Hidden Temple – VR Adventure』は、地下神殿を舞台にした脱出ゲーム。カギを探したりアイテムを組み合わせたりして部屋を探索し、地上脱出を目指す……という一見普通の内容である。
しかし、Hidden Templeでは脱出ゲームとVRがうまく融合しており、上を見れば天井が写り、下を見れば地面が写るなど、とにかく没入感が段違いだ。加えて、サウンドも3Dなので、右側のドアが開いたら右耳から音が聞こえるなど、細かいところまで追求されたリアリティに「おおっ」と声が出そうになる。
プレイ中は360度グルグルと見渡すため、ソファーやベッドではプレイできない。立つか回転椅子に座り、まさに全身を使って冒険しよう。
ゲームなのに画面をタップなしの操作感
驚くべきことに、このゲームではスマホの画面は一切タップしない。では、どうやってアクションを起こすのか? 新しいジェスチャー「見つめる」を使って行動する。
この「約1秒ジッと見つめる」というジェスチャーがまた絶妙。触れたい場所には思いどおりに触れることができ、意図しないアイテムには勝手に触ることもなく、十分実用的なレベルで反応してくれる。
VR用ヘッドセットがあると完ぺき。なくても楽しいが、腕が疲れる
プレイ中はとにかくあちらこちらを見て回ることになるので、VR用ヘッドセットがあるといいだろう。簡易的なゴーグル状のものであれば数千円で販売されている。
筆者はヘッドセットやゴーグルを持っていないが、スマホ(またはタブレット)単体で遊んでも没入感はバッチリ。ただ、長時間やると腕や首が疲れてくる感じは否めない。
また、スマホゲームのよさである、
・通勤電車やすき間の時間で手軽に遊べる
・テレビなどを見つつ、ながら作業で遊べる
には当てはまらないが、自宅でしっかりプレイ時間を確保してプレイするだけの新奇性はある。
VRデモではない、完成度が高いゲーム内容
上述のとおり、触れたいアイテムや行きたい場所をジッと見つめるだけで行動できるシンプルな操作なので、チュートリアルはおよそ1分。アイテム探しや謎解きがすぐさま始まる。
VRを多くの人々に体験してもらうためか、ゲームの難易度は低め。わからないときは総当り方式でアイテムを組み合わせてもなんとかなるレベルだ。他にも、壁画に記された暗号解読やブロックを移動させるパズルなど、豊富なギミックで飽きさせない。
2015年7月時点でVRはまだほとんど浸透しておらず、筆者を含めほとんどの人はVR装置も持っていないだろう。だが、ゲームの完成度は及第点を十分すぎるほどにクリアしており、従来の脱出ゲームよりずっと感情移入して遊べる。スマホ単体で遊ぶだけでも300円を払う価値は間違いなくあるとオススメできる。
これから新しいプラットフォームとして発展していくであろうVRの世界を、いち早く味わってみてはいかがだろうか。ちょっとキザかもしれないが、大袈裟でもセールストークでもなく本心から、新しいゲーム史の幕開けを感じさせられるアプリだった。
- 使用した端末機種:Galaxy S6 edge
- OSのバージョン:Android 5.0.2
- プレイ時間:約3時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1
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