変形ギミック満載のゲームコントローラー『L.Y.N.X. 9』実機レビュー(ハード編)

スマホゲームの多くは、タッチインターフェースをいかしたシンプルでわかりやすい操作のものが多いが、中には細かい操作やコマンド入力を必要とするものもある。そんなときに活躍するのが、コンシューマー機相当の操作が可能になるスマホ用ゲームコントローラーだ。今回紹介する『L.Y.N.X. 9』は、操作性が向上するだけでなく、メカニカルなデザインと多彩な変形ギミックがゲーマーの心を震わせる、使っても触っても楽しめるコントローラーだ。

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変形、合体がワクワクするコントローラー

2015年1月6日~9日の期間でアメリカのネバダ州ラスベガスにて開催された、世界最大級の家電見本市CES 2015にて、Mad Catz Interactiveが発表したAndroidおよびWindows用コントローラー『L.Y.N.X. 9』は、大きな話題となり注目を集めた。スマートフォン用のコントローラーはすでにいくつも販売されていてめずらしいものではないが、各メディアやユーザーから注目された理由の1つは、そのすさまじいまでのインパクトがある見た目だろう。

開封

今回、Mad Catzの協力で実機を入手したので、「ハード編」「ゲーム編」の2回に分けてじっくり紹介していこうと思う。

では、さっそく開封していく。まずは外箱だが、赤、青、白のトリコロールとメタリックなデザインの『L.Y.N.X. 9』のロゴが90年代を彷彿とさせる。

最近のガジェットデザインといえばシンプルでリッチなものが多いが、外箱からしてその真逆をいくようなデザイン。個人的には好印象だ

外装をはずすと、青い箱に白色でMad Catzのロゴマークである爪痕が描かれている

圧倒的存在感

箱を開けるとそこには、圧倒的な存在感を放つ本体がていねいに収められている。コントローラー本体以外にいくつかのパーツが同梱されており、小型のQWERTYキーボードも確認できる。

光沢のあるシルバーと黒の組み合わせが無骨でギークな雰囲気を漂わせている

説明書きの部分を開くと、ひときわ大きなパーツが収納されていた。これはいったい……?

Mad Catzのロゴステッカーとキャリングポーチも同梱されている

トラックパッドを使ってサクサク操作

すべてのパーツを取り出すと、こうだ。各種ボタンのある本体とキーボード、そしてアダプターパーツのようなものが3種類。コントローラーにしては、妙にパーツが多い。

コントローラー本体はかなり小さいが、パーツ数が非常に多い

まずはコントローラー本体を見ていく。十字キー、アナログスティック、ABXYボタン、R1・R2ボタン、L1・L2ボタン、スティックの押し込みでR3・L3のほか、中央に5つのボタンがある。

好みは別れるかもしれないが、メカニカルなデザインがかっこいい。各ボタンのクリック感もよく、操作しやすそうな印象だ

中央の4つのボタンは左から電源/ホーム、戻る、スタート、モード切り替えとなっている。中央下段の四角いボタンはなんと、トラックパッド/クリックボタンだ。指でなぞるとスマートフォンの画面に矢印アイコンが表示され、ボタンを押し込むとクリックできる。コントローラー接続時に、スマートフォンのディスプレイを触る必要がないのはうれしい。

あらゆるボタンを使用して、ほぼ全ての操作をコントローラーから行える

本体の充電はスマートフォン同様、マイクロUSBケーブルで行う。バッテリーメーターはないが、残り少なくなるとLEDが赤色に点滅し始めるので、それが充電タイミングとなる。

マイクロUSBケーブルは付属されていないが、スマートフォンなどに使用しているものを流用できる

心震える変形合体!

この形のままコントローラーとして使用できるが、『L.Y.N.X. 9』はホールド感を向上させることができるグリップが、まるでカニのように折りたたまれている。これを開けば、より安定してコントローラーを持つことが可能なはずだ。

グリップが開き、アナログスティックの位置も調整できる。見た目はカニのようだ

実際に手に持ったところ。格闘ゲームなど激しい操作が必要なときは、こちらの方がいいかもしれない

Nexus Player用のゲームコントローラーとサイズを比べてみると、全体的な大きさはあまり変わらないが、細身なコントローラーであることがわかる

また、付属のパーツを付ければ持ち手が太くなり、よりガッチリとホールドできるようになる。デフォルトで持ちづらい場合は、これを試してみるといいだろう。

パーツは工具不要で装着できる

グリップを折りたたむ時は、コントローラー裏面にあるボタンを押し込みながら回す。若干カタいので力を入れて、グッと押し込もう。

赤いステッカーが貼ってある箇所にボタンがあるので、そこを押し込む

コントローラーを使うことで操作性は向上するが、困るのがスマートフォンの位置だ。スマホスタンドに立てかけるのがスタンダードな方法かもしれないが、それはそれで角度の問題が発生したりもする。しかし、『L.Y.N.X. 9』の場合は何も悩む必要がない。スマートフォンはコントローラーと一体化するのだ。

付属のスマートフォンクリップを装着。ネジを手で回すだけで簡単に装着可能だ

Nexus 5で使ってみた。重心が前に寄って不安定になるかと思いきや、さほど気になるものではなかった。スマートフォンを挟み込む箇所はゴム製なので、本体を傷つける心配もない

ディスプレイとの角度もちょうどよく、快適にゲームで遊べるのだが、1つ問題がある。Nexus 6などのように電源ボタンや音量ボタンが中央付近にある端末だと、スマートフォンを挟み込む部分と干渉してしまうのだ。Nexus 6の場合だと音量ボタンが押されっぱなしになり、常に最大音量になってしまった。端末のボタンの位置には注意しよう。

挟み込む位置をずらせば回避できるが、バランスが悪くなってしまう

文字入力も可能

MMORPGやマルチプレイのあるゲームだと、他のユーザーとのメッセージのやり取りが必要になる場合もある。スマートフォンクリップのあるコントローラーでも、文字入力の度に画面を触るのが面倒だったが、『L.Y.N.X. 9』はそれも手元で行える。

付属のキーボードをコントローラー下部にある端子と接続することで、文字入力も可能になるのだ。もちろん日本語入力にも対応している。PCでチャットをしながらゲームをするのと同じように……とまではいかないが、ゲーム中の文字入力がずいぶん楽になる。

キーボードを装着したところ。持ちにくそうだが、キーボード裏には指を入れるスペースが確保されているので問題ない

1つ1つのキーは大きくはないのだが、タイプミスはほとんどしなかった

左下のオレンジ色のMad Catzロゴを押しながら入力すると、数字などオレンジ色で表記されている文字を、右下の青いロゴを押しながらだと記号など青色で表記されている文字を入力できる

ただ、本体とキーボードの接続部分が異常にカタく、抜き差しにとても苦労する。ぴったりはまらないとキーボードを認識しないので、力任せに押しこむ覚悟が必要だ。外すときもこれまたカタいが、コントローラー下から両方の親指で押し上げるようにするとうまく外れる。

ここにキーボードの端子を差し込む。ちょっとカタめだが、押し込むしかない

タブレットでも使用可能

『L.Y.N.X. 9』はタブレットにも対応している。もちろん、タブレットをスタンドに立てかけて……という意味ではない。スマートフォン同様、コントローラーと一体化できる。

いちばん大きなこのパーツを使用して、コントローラーとタブレットを合体する

コントローラーのトラックパッド下にあるイジェクトボタンを押しながら、方向キー部分とABXYボタン部分を引っ張る

すると、コントローラーは方向キー部分、ABXYボタン部分、バッテリー部分の3つに分解される。まるで某変形合体ロボットのようだ。

こちらはさほど力をいれなくてもスルッと抜けた

大きなパーツの両端はコントローラーと同じUSB(mini-B)のオスとなっている。ここにコントローラーをそれぞれ差し込む。そして上部にバッテリー部分を差し込めば、巨大なコントローラーの完成だ。

4つのパーツが合体して巨大なコントローラーになる。もちろん、上部のバッテリー部分の抜き差しは非常にカタい

あとはもうおわかりだろうが、ここにタブレットを挟み込めばコントローラーと一体化する。一度バラバラになったものが1つに合わさって巨大になるその様は、まさに合体ロボットそのものだ。

今回はNexus 7で試してみたが、下部を引っ張り出せば様々なサイズのタブレットで使うことができる。筐体サイズによっては8~9インチぐらいまで対応できそうだ。ちなみに、Nexus 9は横幅が広くてセットできなかった

背面にはスタンドが付いており、机に置いたままでもプレイできる

コントローラーを取り外すには、イジェクトボタンを押しながら引き抜けばいい

パット見は少し不格好だが、持ったとき手がちょうど肩幅ほどに広がり、安定感はある。動きが激しいゲームにはプレイしづらいものもありそうだが、RPGなどは快適に遊べそうだ。

見た目より安定性は高く、これを持って立ったままでもじゅうぶんに遊べる

ゴツゴツとしたデザインに黒とシルバーの配色、さまざまなパーツの組み合わせで変化する姿や機能など、ゲーマー心をくすぐるポイントをおさえた製品だ。価格は299.99ドルと、コントローラーとしては大変高価だが、それにも勝るワクワク感が『L.Y.N.X. 9』にはあると感じた。

次回は、『L.Y.N.X. 9』を使って実際にゲームをプレイしてみる。見た目のインパクトは圧倒的だが、肝心の使い勝手は果たして? 試してみるのが楽しみだ。

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