【変ゲー1人探検隊】第4回: 拡張しきれない現実 - スマホとARの微妙な関係。あとFPSとミサイル

今回はスマホと拡張現実の話。とはいえ、筆者はテクニカルライターではないので技術的なことや難しいことには何も触れない。「そんなもんか~」と、適当に軽い気持ちで読んでいただければそれでよし。

まだまだ面倒な拡張現実

AR:Augmented Reality。「拡張現実」と訳されることが多いが、もう少しかみ砕いた訳をするなら、「強化された現実」といえばいいだろうか。バーチャルリアリティ(以下、VR)が、現実と融合し、現実が、または現実とバーチャル情報双方が強化される。

さて、そのARとは? デバイスをかざせば、ゲームのキャラクターが目の前に浮かび上がり、自然に動き、こちらのアクションに応える。そんな想像をされる方が多いのではないだろうか。

しかし、それを実現させているアプリやゲームはほとんどない。確かに、「カメラ越しにキャラクターが写る」ようなものは存在するが、そのためにはアプリ側もしくはデバイス側で指定された持ち方や角度、明るさなどの条件を忠実に守っていかなければならない。QRコードをダウンロードしてプリントして机に置き……などという準備作業は面倒だ。

ARとは名ばかりのただの画像合成アプリも多い。「今、すぐに」現実とVRを結びつけるARはまだまだ先の話なのだ。

『Ingress』は世界で最も知られ、楽しまれているARゲームだろう。という話をすると、周囲の者は「あれってARなの?」と、怪訝な顔をする。しかし、今最もARの活用が進んでいるのはIngressのように、現実の地図情報、位置情報とリンクしたタイプのものだ。

また、カメラがとらえた山や星座の情報を表示するアプリなども、立派なARアプリだ。

正しいARの可能性を感じる『father.io』

現状のARアプリは、夢に見るAR感には届かず、物足りないままである。

そんな中で目に留まったのが、クラウドファンディングポータルIndiegogoで見つけた『father.io』だ。

現実世界が舞台になって、プレイヤー本人が戦士であり、またターゲットとなるAR型FPS(First Person Shooting:1人称視点シューティング)である本作は、すでに目標額の3倍に届こうかという支援を得て、製品化実現に日々近づいている。

ARにありがちな、リアルの背景が1枚絵になってしまう問題は本作では起こらない。「プレイヤーキャラクター」もまたリアルの存在なのだから、障害物を自然に回避するなど当たり前なのだ

開発者たちが目指す本作の姿がどのようなものであるかは、動画でご確認いただきたい。

スマホはレーダーであり、モニターであり、HUDであり、また武器でもある。リアル感、そしてAR感が大きく非常に魅力的だが、やはりスマホ本体のみでは理想とするものの実現は難しいらしく、プレイするためにはインセプター(inceptor:『起動装置』とでも解釈すべきか)の装着が必須となっている。

内蔵された6つのセンサーと、カメラでとらえた位置情報と傾きなどを反映し、敵の探知、攻撃、味方との情報共有などを可能にする。これがいつかオールインワンでできるようになればいいのだが、身近で自然、シームレスなARへの道はまだ遠い。

せめて、ファンディングで本プロジェクトを応援しよう。寄付者特典のインセプタープレゼントは、多額の支援を得た結果、見事海外発送対応となった。日本からでも安心して投資できる。

不完全な今のARは、ネタに走るしかない。だからミサイル

当初はまじめな記事にするつもりだった。しかし、書いているうちにやはり変ゲーがなければ本連載は成り立たない気がしてきたので、締めにおすすめのARアプリを紹介しておきたい。

現在の、一般人が触れることのできるARは発展途上だ。だから夢と現実のギャップを、ジョークやナンセンスで埋めてしまおう。『AR Missile』はターゲットにホーミングミサイルを打ち込むゲーム。リアルビューと温感センサービュー、2つのミサイルタイプが選べる。

温度センサー(たぶん、適当に色を付けているだけ)に導かれ、猛然と襲い掛かるミサイルたち。ちなみに目の前のターゲットは我が家のキッチンのフライ返しだ

そして、特筆すべきはスナップショットボタン。ターゲットが爆風と衝撃派でゆがむ様子を撮影できる。ごていねいに着弾までのプレイバックスライダーつきで、ベストなシーンを拾い出すことができる。

世の中むしゃくしゃすること、憤ることも多いだろう。1人でため込むのはよくない。かといって人やモノに当たるのもよくない。120円払って、このミサイル発射装置を手に入れることをお勧めする。

憎いものにも、どうでもいいものにも、ミサイルミサイル。ARの発展を願ってミサイル。

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