Ingressのビジネス戦略
こちらのセッションで登壇したのは、Nianticのアジア統括マーケティングマネージャーである須賀氏。NianticがGoogle Earthの生みの親であること、地理情報のスペシャリストであることを話していた。
Nianticといえば、まず真っ先に思い浮かぶのが『Ingress』。Game Deetsでも多くの記事が書かれているが、ユーザーは1,400万人を突破し、まだまだ勢いは衰えない。
Ingressは、「エキゾチック・マター」(XM)と呼ばれる謎の物質をめぐり、プレイヤーはエージェントとなって2つの勢力に分かれて戦うという位置情報ゲーム。
ゲーム内のマップは実際の地図とリンクしていて、プレイヤーは「ポータル」をめぐって奪い合うことになる。
世界で巻き起こっているIngressブーム
須賀氏は続いて、世界中で起きているIngressブームについて言及。もうすぐ1,500万DLに到達すること、開催されたオフラインイベントには25万人以上のプレイヤーが集まったことに触れた。
また、Ingressで人類が歩いた総距離はなんと2億5,800万kmにもなるとのこと。
小惑星探査機「はやぶさ」が2005年9月に到達した小惑星「イトカワ」までの距離がおよそ3億kmなので、これに迫る数字ということになる。
日本では、東京のプレイヤーが最も多いとのこと。公共機関が発達しているため、気軽に目的地に着けるという点が大きく、プレイヤーによって多くのポータルが発見されているそうだ。
位置情報ゲームであることを活かした収益モデル
実際に歩いて目的地まで行く必要があるため、本作は現実の店舗との相性が抜群。店舗や支店をIngressのポータルにすることで、来客促進施策にもつながっている。
さらに須賀氏は、Ingressがパートナーシップへ提案する2つの価値についても言及。
1つは、「ある特定のセグメントへの深いエンゲージメント」。Ingressは沖縄で開催したイベントにも多数のプレイヤーがやってくるほどで、日夜たくさんの交流が生まれている。
ここにパートナーシップのポータルを登場させることによって、多くの人々にそのブランドをアピールすることができる。これは究極のネイティブアドであると須賀氏は定義した。
もう1つは、「オンラインとオフラインの融合」。他のゲームでは、オンラインからオフラインへの集客は非常に難しいことであるが、実際に現地へ行く必要があるIngressではそれが容易。
パートナーシップのポータルを用意して、ユーザーに望んでそこに行かせることができるのは、Ingressの大きな強みであるとしていた。
『Pokémon GO』に高まる期待
最後に、現在フィールドテスト中である『Pokémon GO』のPVが流され、須賀氏はNianticはあくまでARにこだわっていくという考えを表明した。
プレイヤーが外に出て、現実世界を楽しむためのひと押しをしていくため、今後もARを使ったゲームを作っていくとのこと。
Ingressで熟成された位置ゲームとしてのノウハウを、『ポケモン』という題材で提供した場合にどうなるのか。その爆発力たるや、計り知れないものになるのではないだろうか。
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