【変ゲー1人探検隊】第8回: 奇怪生物が変化する変ゲー

今回のタイトルは「へんげするへんげー」と読んでもらえるとありがたい。さて、我が家では、食材の調達に個人宅配を利用している。野菜や肉、生活用品などをカタログから選んで注文すると、毎週決まった日に届けてもらえる。なかなかに便利だ。

先日、カタログの普段見ないページを見ると、「動物ビスケット」が目に入った。

今の若者はもう知らないのではないだろうか。ピンクや黄色、緑などの色のついた砂糖が上面にのみかかった、さまざまな動物の形をした袋入りビスケットだ。

小さいころは魅力的なお菓子に見えたが、今はとてもそうは思えない。スーパーで見かけることも少なくなった。

商品写真を眺めてみると、あることに気付いた。動物を模しているのはわかるが、それが何の動物なのかがわからない。やたら曖昧な形をしているのだ。

そういえば「何の動物かわからん」ばかりの、こんなゲームあったな……と思い出したので紹介する。

まともなゲームではあるものの、見事に変ゲー。しかも、今回は2タイトルとも有料だ。

Incredipede

奇妙奇怪な物理パズル。「変」の塊だが、買ってよかったと満足する層も必ず存在するタイプのゲームだ。

主人公のQuozzleは、一つ目に関節が目立つ脚を持つ不思議な生物。姉妹たちといっしょに遊ぶことができるあたり、じゅうぶんに知能はありそうだ。

通常パズルモードはノーマルとハードから選択可能。いきなりレベルエディターでオリジナルデザインに燃えるのもいい

平和な日々は、人間が島を訪れた日に終わる。人間にさらわれた姉妹たちを救うため、ただ1人逃げのびたQuozzleは前へ進むのであった。

なお、彼女(女性です)の前進には、プレイヤー諸君の知恵が必要となる。

版画のようなビジュアルがなかなか魅力的。Quozzleの故郷は熱帯の島らしく、ホロホロとなく鳥の声や、珍しい植物の姿が楽しめる。

が、いちばん目を引くのは、ヒロインQuozzleの姿だ。頭1つ、それはいい。目が1つ、それもまあいい。足はステージによって数が違う。しかも、足を動かす筋肉はむき出しだ。

説明書。ローカライズはされていないが、これだけでだいたいわかるはずだ。何度でもやり直しができるので、好きなだけ脚を生やそう

Quozzleは非常に特殊な種族で、自在に足や筋肉を生やしたり、引っ込めすることができるのだ。ステージクリアのために、プレイヤーはまずQuozzleの体をデザインすることから始めなければいけない。

足をどこに何本つけるか。筋肉はどちら向きにするか。完成したQuozzleは4つのボタンで操作することができる。

なんとなく『QWOP』を思い起こさせるが(『QWOP』の説明については本連載の第5回を参照いただきたい )、バカゲー感はない。主人公の姿が奇妙すぎるだけで、これは実にまともな物理パズルなのだ。

骨の先端が見えたままの脚をバタバタさせながら、Quozzleはプレイヤーがデザインしたとおりの姿で転がる。ゴールまで行ければステージクリアだ。

筋肉の色は4色。左右下部の4つのボタンで、対応した色の筋肉が引っ張られ、脚が動く仕掛けだ。見た目は奇怪だが、試行錯誤が楽しくなってくる。ついでにQuozzleもかわいく見えてくる

解法は無限にあり、むだのないフォルムでさっさと転がってしまってもよいし、奇怪さだけを追求してもよい。

自作派の心をくすぐるレベルエディターモードが、このゲームの寿命を倍以上に伸ばす。パズルに飽きたら他のユーザーの自慢のデザインをダウンロードして、転がして遊ぼう。

Gua-Le-Ni

こちらが動物ビスケットを見て思い出した変ゲー。中世の博物誌を思わせるおしゃれなデザインに、芝居がかったナレーション、そして珍妙な合成動物が合わさって妙な雰囲気を醸し出している。

タイトルだけ見ると、推理アドベンチャーものかな、と思えなくもない。大人っぽいビジュアルの、見られても恥ずかしくないスマホゲー風だがそれは間違い

ルールは簡単。目の前を横切る動物がお題で、手元のブロックでその動物の姿を制限時間内に再現できればクリアだ。

お題は何種類かの動物が合成された姿をしており、ブロックは順番も向きもばらばらだ。

動物が姿を消してしまう前に、ブロックの向きを正して、お題どおりの姿に並べ替えなければならない。デフォルトではブロックの持ち上げは2本指でのピンチ、回転はスワイプとなっているが多少やりづらい。

設定で(これがめんどうなことにiOS側の設定で行わなければならない)「One finger mode」をオンにしておくと楽になる。

オランダのブレダ応用化学大学とのコラボで生まれた、知的アプリのはずなのだが……ふたを開ければこれ。制限時間内にロブスター人間「Rob-Man」を完成させろと来たもんだ

切り絵というか、ちぎり絵をくっつけただけというか、なかなかにやっつけ感のある動物が、シャカシャカと速足で目の前を横切る様子は何ともいえないシュールな雰囲気がある。

最初は2種類の合成獣が出てくるばかりで、「こんなの簡単、つまらないな」と思っていると、だんだん種類が増え、長くなってくる。長くなっても動物の速足は変わらないため、結果どんどん余裕がなくなってくる。

合成獣たちは脚が早い。ブロックコロコロが追い付かないこともままある。2種混合でこの遅さでは、先が思いやられる

あまりほめている感じがしないかもしれないが、割とおもしろいゲームだ。しかも、飛び切り変。変な動物が好きな方に。軽い脳トレにもなるので、人とは違う記憶力勝負ゲームがほしい方に。

ちなみに、動物の中にはHumanも入っている。上半身が人間、下半身がロブスターの合成獣を見られるのはこのゲームぐらいではないだろうか。

(c)2012-2013 Northway Games
(c)2013 Double Jungle, Stefano Gualeni