Rockで拓く日本の夜明け!
歌で戦う幕末革命アドベンチャー
歴史に取材してフィクションを作るというのは別段最近できたものでもなく、古くは中国の明代に羅貫中が記したといわれる『三国志演技』や、日本だと曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』や『水戸黄門漫遊記』など、枚挙にいとまがない。
最近だと戦国時代や幕末あたりが人気だが、新選組が吸血鬼だろうが、志士が糖尿病だろうがそんなことは些細なことだ。というわけで、本作は「幕末でRock」。維新志士と新選組がメインキャラクターで、むろん本人に会ったこともないわけだが、数々の創作の延長線上にある彼らを案外と違和感なく受け入れられるのが自分でも驚きだ。
反体制と自由への渇望こそRockの魂
物語の時代背景は、登場人物が維新志士と新選組であることから「幕末」だとおわかりだろう。開国を拒み、「天歌」(ヘブンズソング)という洗脳ソングで国と民を支配する幕府は、天歌以外を歌う者を死罪にしていた。それに抗い自由を求める志士(ロッカー)と、幕府の先兵として天歌を歌う新選組の物語が『幕末Rock』。
そして、志士たちと新選組の戦いのあと、つかの間の太平を破る黒き船団……。ロックの本場アメリカからやってきたマシュー・カルブレイス・ペリー・ジュニアによって虜にされた人々を解放するため、志士たちが立ち上がるのが『幕末Rock 超魂』だ。本作では、ゲーム本体にコンテンツを追加購入することにより、この両方の物語を楽しむことができる。
大容量フルボイスのアドベンチャーパート
レビューを書くに当たって、まずはゲーム本体をダウンロードするわけだが、これがことのほか時間が掛かる。あまりに重いので、わが家のWi-Fiがお亡くなりになったのかと疑うほどだった。ダウンロードが終わり、いざ立ち上げてみるとその理由が判明した。アドベンチャーパートがフルボイスで、さらとにかくボリュームが多い!
本作はアドベンチャー+リズムゲームなので、もちろん楽曲もダウンロードされているわけだが、いちばん重いのはボイスデータだろう。よくよく調べたら、ゲーム本体にストーリーが3話、楽曲が7曲収録されているらしい。とにかくデータが重いので、通信環境が安定したところでのダウンロードが必須である。
ストーリーと楽曲はさらに追加可能
そもそもの分量がアプリゲームとしての常識を超えているが、さらに追加ストーリーと楽曲を購入できる。拡張パックが全部で6つ。これらをすべて買うと、コンシューマ版の『幕末Rock』とその続編である『幕末Rock超魂』のすべてが楽しめるようになる。さらにアプリ版だけの追加要素として、新たに6つの楽曲追加されている。
リズムゲームとしては非常にオーソドックス
とにかく大ボリュームのアドベンチャーパートに圧倒されたが、各リズムゲームのパートも本格的に作られている。ラインと重なるタイミングでアイコンをタップするタイプだが、タップするものとタッチし続けるものの2種類だけの操作と非常にシンプル。難易度もEASY、NORMAL、HARDの3種類で、アドベンチャーをメインで楽しみたいユーザーも、がっつりリズムゲームを楽しみたいユーザーも、どちらも満足できる内容になっている。
リズムゲームのキモであるタップの反応は悪くなく、プレイ感は他のリズムゲームから劣る部分はない。なお、コンシューマ版では○や×などのキー入力が求められたが、アプリ版はそのハード特性からタップ以外に入力方法がなく、よりシンプルになっているのが特徴だ。ただし、ラインとの重なりを直接タップする必要があるので、端末の大きさによっては遊びやすさが変わってくる。自分のプレイスタイルに合わせて、テーブルなどに置いて人差し指でタップするタブレット型か、両手でホールドして親指でタップするスマホ型かを選ぶといい。
音楽活動に参加する声優陣だけあって音楽パートも本格的
幕末にRock、熱すぎるキャラクターなど、ファンにとってもこだわりのポイントが多い作品ではあるが、谷山紀章さんや鈴木達央さん、小野賢章さんなど、ユニットやソロで音楽活動をしている人気声優が参加しているだけあって、音楽パートもかなり本格的。雰囲気や見た目にひかれるものがあれば、ぜひプレイを推奨しておきたいタイトルだ。なお無料版として『幕末Rock 序極(ビギニングソウル)も配信されているので、まずはこちらで遊んでみてはいかがだろうか。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 8.4.1
- プレイ時間:約3時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.0
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