世界最速のSnapdragon 821搭載端末
ZenFone 2より本格的に国内で展開され人気が高まるZenFoneシリーズの最新製品群ZenFone 3シリーズ。
その中でも、今回レビューするZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)は、世界初のSnapdragon 821や6GBのRAMを搭載したハイスペックモデルだ。
Google Pixel XLが日本で発売されない現在、2016年最高スペックスマホともいえる本機の魅力を探っていこう。
高級感のあるフルメタルボディだが持ちやすさに不安
本機は5.7インチ有機ELディスプレイを備えることもあってか、本体サイズは156.4(高さ)×77.4(幅)×7.5(厚さ)mmと片手での利用は難しい大きさ。
一般的な男性程度の手の大きさでも、片手での操作に支障をきたすサイズ感だ。
フルメタルで世界初のアンテナラインがない筐体は高級感があり、ボタンやカメラ部にはASUS製品特有のスピン加工が施されている。
電源オフ時に触るとひんやりと冷たいメタルボディ。前面のベゼルは上下にまたがってスピン加工が施されており、ASUSのこだわりが垣間見える
右側面にボリュームキーと電源キーを配置。側面から見るとよくわかるが、カメラ部分は出っ張ったデザインをしている。
底面にUSB Type-Cポートとスピーカーを備え、上部にはイヤホンジャックが配置。ボタン・インターフェイス類で特徴的なものはなく、シンプルなつくりとなっている。
対応SIMカードは、nanoSIM×1+microSIM×1。デュアルシムデュアルスタンバイ(DSDS)対応だが、nanoSIMカードスロットはmicroSDカードスロットを兼ねているため、nanoSIMとmicroSDカードを同時に利用することができない。
ゲーム利用に役立つ機能「Game Genie」を搭載
ZenFone3シリーズが搭載する独自UIのZenUI 3.0には、ゲームプレイを充実させると謳う機能「Game Genie」が実装されている。
これは、ゲームを起動すると表示されるポップアップ式のメニューのようなもので、
- メモリの解放
- プレイ動画のストリーミング配信or録画
- 攻略情報の検索
が画面を遷移させることなく行うことができる機能だ。
以前にSamsungのGalaxyシリーズに提供されている「Game Tools」との比較を行ったが、録画機能の充実度からGame Toolsに軍配が上がったと結論付けた。
Game Genieが優れる点としては、YouTubeやTwitchと連携することで、スムーズにプレイ動画を生放送できるところだろう。
ゲーム実況やプレイ動画の配信に興味があるが、機材をそろえるのが難しいという人が手軽に放送を始められる機能となっている。
ベンチマークテスト結果
AnTuTu benchmark
総合的な性能はAnTuTu benchmarkで計測。カタログスペックでは他の追随を許さないハードウェア構成をしているが、予想どおり145,197と高スコア。
しかし、ZTEのAXON7がこれに近い144,556をマークしており、それと比較すると飛び抜けて高いというほどでもない。
すでにSnapdragon 820搭載のスマホを使っているユーザーが、スペックの高さに惹かれて買い替えたとしても、その変化を体感できるほどではないだろう。
3DMark:Sling Shot using ES 3.1
続いて、3Dグラフィック性能を3DMarkのSling Shot using ES 3.1を使用して計測。
こちらも2,596という高スコアをマークしたが、Galaxy S7 edgeやAXON7など、Snapdragon 820搭載機と大差ないスコア。
Snapdragon 821と820はどちらもGPUアーキテクチャにAdreno 530を採用していることからこのような結果になったと思われる。
次世代SoCのSnapdragon 835には、新型GPUアーキテクチャAdreno 540が採用されるとの情報もあるため、2017年前半に順次発表される見込みの835搭載端末を待つのも選択肢としてはありだ。
ゲームでは大画面が弱点となるシーンも
実際にいくつかのゲームをプレイしてみたところ、3Dのゲームでの動作は快適。
複数のアプリをバックグラウンドで起動しても、タスク落ちすることも少なかった印象だが、4GBRAM搭載スマホと明確な違いは感じられない程度だ。
前世代のZenFone 2では、Atomプロセッサを採用していたことによりゲームアプリの互換性が保たれていなかったが、そういった心配は気にしなくていいだろう。
横持ちのゲームをプレイする際に、サイズが大きすぎて真ん中あたりをタップする際に少し指の付け根に圧力を感じたのが少し気になった。
デレステや『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』のような音ゲーには不向きなサイズ感ともいえそうだ。
端末を傾けて操作するレースゲームや両端の方しかタップしないゲームには支障なし。むしろ、大画面で迫力のあるグラフィックを存分に楽しめる
ライバルとなるような端末が軒並みWQHDディスプレイを搭載する中、本機の解像度はフルHDだが、5.7インチの画面で明確な差が生まれるわけではないため、解像度に関してはウィークポイントとはなり得ない。
最後に、本機をおすすめしたいユーザーとしては、まず大画面スマホに抵抗がないというのが最低条件だ。
なおかつ、とにかくハイスペックのスマホがほしいという人が購入層となるわけだが、そのスペックをフルに活用できるシーンというのが思いつかないのが現状だ。実際に使用していると、気づかないうちに恩恵を受けているパターンかもしれない。
しばらく受注停止の状態が続いていた本機だが、12月22日より受注再開。出荷は1月中旬からとなるが、この冬、ハイスペックなAndroidスマホへ買い替えを検討している人にとって筆頭候補となるだろう。
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