ということで、今回のスマホゲームは『ファイアーエムブレム ヒーローズ』です。
身の回りに「マジ傑作!」と絶賛してる人と「つまんね。次ゲ見つかるまで惰性でやってる」と萎えてる人が割れているという点でクオリティの高い問題作だと思ってます。
個人的に萎えるポイントとしては、一応どのキャラクターでも☆5まで育てられるという民主的な仕組みの割には固有のスキルの強弱で殲滅力がはっきり決まってるところと、☆を5にランクアップさせるためには専用アイテムの羽根が20,000枚必要な割に、フレンド集めてあいさつしても5枚しかもらえないという苦行のようなシステムがハードル高い感じなんですよね。
プレイ開始当初は、さすがにライトノベルよりも軽い感じのストーリー展開に涙したわけであります。私は44歳だよ。何で転生した先で少年少女にタメ口聞かれているんですかね。
なんかこう、もっと配慮とか遠慮とか熟慮とかあってほしいわけですよ。「はじめまして、やまもといちろう。君が異界の大英雄か。お目にかかれて光栄だよ」とか「さすがやまもといちろうさん! 百年前からファンでしたっ!!」などと序盤から年端も行かない若者に煽られる生活が始まるわけですよ。
まあそういう設定なのだから仕方がないし、私の力を欲して異世界から呼んできたというシナリオなのだからがまんして受け入れるしかない。
しかし、しかしだ。何だろう、この人が死んだり国が滅んだりするかもしれないという切羽詰まった状況で繰り広げられる緊張感のない軽いタッチの会話は。お前らもっと真剣にやれよ。戦争だぞ。殺されるかもしれないんだぞ。
友だちが死んだり家族が連れ去られたりしている環境下で、なんで君たちはそんなに朗らかなんですか。シリアでもクリミア半島でも一度「現場」というものを見てきてくれないかな。
この悲しいぐらいの甘ったるさを受け入れつつも、ゲームだから仕方がない、子供向けだからやむを得ないと自分を納得させて回す英雄召喚(いわゆるガチャ)のまあシケてること。なんですか、その☆3の嵐は。全然☆5出ねぇぞ。どういうことなんだ。
無課金に世間の風は冷たい。悲しいぐらいにいいキャラが出ない。仕方なくジジイの騎士とか斧持ったおっさんなど私好みのキャラをぽちぽち起用して前に進めておるわけですけど、SRPGとしてはさすがにしっかりと作ってあって、パラメータ差があると即死があってどうにかしろと思う以外は、かなりの仕上がりじゃないですか。
けっこうこの手のゲームで苦労しがちな問題は概ねクリアしていて、やっぱりよく考えているなあ、バトルシステムはていねいだなという印象。マス目も多すぎず少なすぎず。
また、ギルド戦はないものの、プレイヤー対戦モードはしっかりと用意されていて好印象であります。強キャラは正義なんだけどさ。キャラクターゲームだから仕方がないよね。
それにしても、ファイアーエムブレムは今回もおばさんキャラが不在です。なぜ母ちゃんとか婆さんとか経産婦が出てこないのでしょうか。需要がないんですか。
私はね、ネタキャラにされるおっさんと、包容力のあるおかんがいたほうが、キャラクターに幅ができてよいと思うんですよ。
美少年・美少女がキャッキャウフフしている世界観の方がそりゃあウケがいいのかもしれないけど、お前ら鏡見ろ。現実をしっかりと見据えるんだ。ゲームに逃避せず、歯を食いしばってがまんして前を向いて生きていくのが人生というものですよ。
そのぐらいがまんしても☆5が出ない。実に腹立たしい。いっそ微課金に逃げようかと思ったが、それでは負けを認めるようなものです。シナリオを進め、1個1個オーブをためていくんですよ。
20個になるごとに5回英雄召喚を引く、そのたびにがっかりするわけです。こんなはずじゃなかったと。もう課金するか、いっそゲームを投げるか、決断のときだと。
いやしかし、シナリオの先は気になる。もう少しがんばればいいこともあるはずだ。そしてオーブ20個がたまり、再び5回英雄召喚を引いてがっかりする、の繰り返し。プレイヤーに強い我慢を強いるゲーム、それが『ファイアーエムブレム ヒーローズ』なのでありましょうか。
そしてついに、☆5のエイリーク嬢が。いや、よかった。誰だかよくわからないけど。私の無課金ファイアーエムブレムの旅はここで解き放たれた。ありがとうエイリークさん、私を救ってくれて。
ゲームとしてもよくできているので、きっと任天堂と製作元のDeNAは胸を撫でおろしているかもしれません。
ちなみに私のメイン編成には、いまだ☆3のバアトルさんが現役で入っています。いっそ英雄の羽根をためてバアトルさんを☆5にしてあげようか。きっと☆5でもクソ弱いんだろうけど。
それでもキャラへの愛があれば大丈夫。きっと。
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