NHN PlayArtとniconicoのタッグから生まれた白熱の3on3バトル
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』(以下、#コンパス)は、NHN PlayArtとniconicoの共同プロジェクトとして誕生したリアルタイム対戦ゲーム。
個性豊かなヒーローを操作し、3Dのフィールドに用意された5ヵ所のポータルを奪い合う陣取りアクションであり、3人1チームでのチームワークや戦略も問われる。
自身もよく遊ぶという対戦アクションゲームへの思いやniconicoとの共同開発のきっかけから、初心者脱出のための秘訣について、NHN PlayArtのゲーム制作室の林智之プロデューサーに話を聞いた。
日本で対戦アクションゲームを流行らせたいという思い
――最初に林プロデューサーの経歴を教えていただけますでしょうか。
林氏(以下、林):メーカーや開発会社でコンシューマータイトルの開発を経て、2013年にNHN PlayArtに入社しました。
NHN PlayArtでは、『はらぺこ勇者と星の女神』の企画を立ち上げを経て、2015年の11月ごろから開発をスタートしたのが『#コンパス』です。
――1年半前ですね。『#コンパス』はどのようなコンセプトで開発を始められたのでしょうか?
林:もとから、FPSなどの対戦ゲームが好きで、自分も対戦ゲームを作りたいという気持ちがありました。
ちょうどその頃、PCタイトルの『League of Legends』のような対戦ゲームが日本でも受けるのではないかという雰囲気があったのも大きなきっかけです。
『#コンパス』は、そういった対戦ゲームの熱狂度を、スマートフォンのユーザーにどう届けるかを考えて、作りはじめました。
なので、「3分間」「3vs3」というルールの基本は、最初から決めていました。
学校の休み時間や会社のお昼休みなど、合間の時間に遊んでもらうシチュエーションを考えたときに、「3分間」「3vs3」であれば、友だちや同僚と気軽に遊べるスケール感だと思って、設定しました。
ユーザーも開発に参加するという意識
――本作は、niconicoとの共同開発ですが、どういった経緯ではじまったのでしょうか?
林:まず、基本的なゲームのシステムやルールのベースをNHN PlayArtのスタッフで作りました。
ですが、開発者が一方的に作るだけでなく、ユーザーの方の意見を取り入れながらゲームを大きくしていくのがネットワークゲームだという考えが私のなかにありました。
そこで、開発の段階から、ユーザーと一緒に作っていくという要素を取り入れたいという考えから、ドワンゴに打診して、niconicoとの共同開発を実現させました。
有名イラストレーターによるキャラクターデザインや、大御所の作曲家によるテーマソングというのは、最近ではめずらしくありません。
そこで、niconicoで活動している、ゲームユーザーでありながらイラストを描いている人や音楽を作っている人たちにも開発に参加してもらいました。
――niconicoの絵師やボカロPには、プロ級の腕前の方もたくさんいらっしゃいますね。
林:かつては、自分の理想があって、それを忠実に実現しようという作り方をしていました。
今は、自分のなかにある最低限の軸からぶれなければ、周囲の才能のあるスタッフの作りたいものを入れてもらい、さらにユーザーの意見が加わり、ゲームがよくなっていくという形が理想だと思っています。
開発が用意したヒーローの設定はたった3行!?
――絵師やボカロPに依頼をするときにはどこまで決めているのでしょうか?
林:ロールなどゲーム内の仕様はこちらで最初に考えます。たとえば、グスタフの場合、強いけど常時ダメージを受け続けているというような部分です。
そのうえで、絵師やボカロPには、「こんなヒーローのイラスト(テーマソング)をお願いします」と依頼しますが、見た目や設定については3行くらいしか用意していません。
――3行だけ? あとはおまかせなんですか!?
林:基本的にはその3行の文章から、絵師とボカロPの感性で膨らませて作ってもらっています。
桜華忠臣の場合、「軍人」「世界征服を目指している」「妖術使い」というような厨二病のようなポイントしか伝えていません(笑)。
そこから、絵師のりゅうせーさんのアイデアで膨らませてもらったのが現在の忠臣の形となっています。
ほかにも、ボカロPのnikiさんによるテーマの動画では、グスタフのバックグラウンドが明かされていますが、これらのストーリーも、クリエーターのなかで、膨らんで合わさった結果、生まれたものです。
グスタフのストーリーが描かれたテーマソング動画
――ヒーローの背景についてもクリエイターの方にお任せしているんですね。
林:依頼する際は、「このように作ってください」という形ではなく、「好きなように広げてください」というお願いをしています。
そのうえでこのようなストーリーが生まれることがあります。
スキルカードを見るとヒーローたちの世界がわかる!?
――スキルカードの能力や効果はどのように決まっているのでしょうか?
林:最初の段階で、考えられる一通りのスキルを作って、その効果を検証したうえで実装したのが現在のスキルカードです。
しかし、たとえば「どこにでもいけるドア」を使うVoidollなど、ユーザーの方が、開発時には考えていなかった使い方を発見しているのを見て驚くこともあります。
私たちは遊びの要素を提供しますが、それをどう使って遊ぶかはユーザーの方々に考えていただけたらと思っています。
その結果、とんでもない技やコンボが生まれることもありますが、そんな部分も含めてユーザーの皆さんに楽しんでいただければと思います。
――スキルカードの名前やデザインについて、「祭り」や「学園」などテーマのものが多くありますが、これもクリエーターの方にお任せしているのでしょうか。
林:スキルカードのデザインについては設定を伝えています。
実はカードのデザインは、どれかのヒーローの世界観に沿っています。「祭り」であればまとい、「学園」であれば双挽乃保(ノホタン)の世界観です。
カードを見ていくことで、ヒーローのバックボーンが見えてきます。このカードはどのヒーローの世界観だろうと考えながら遊んでみてください(笑)。
――バランス調整で意識しているポイントはありますか?
林:たとえば、FPSのゲームを遊んでいて、リリース当初は銃器のバランスが悪い状態だったのが、バランス調整で横並びの性能になった途端につまらなく感じてしまうことがあります。
なので、『#コンパス』はバランスを整えるというよりも、ヒーローごとの長所を伸ばしていこうとスタッフとは話しています。
ヒーローの勝率やプレイしての体感などは日々チェックしていますが、数字による判断は20%、体感が20%、残り60%はプレイヤーにどのように遊んでもらいたいかという思いでバランス調整をしています。
初心者脱出のポイントは引き際を覚えること
――ゲームの攻略や林プロデューサーのプレイについて質問させてください。まず、ゲームを始めた直後、バトルに慣れるためのポイントを教えてください。
林:最初は、相手を倒すため戦わなきゃという気持ちになるかもしれませんが、いくら相手を倒しても、ポータルキーを奪えなければ負けてしまいます。
まずは、ポータルキーを取ったら、その場でとどまって範囲を広げることを意識するのが重要です。
じっとしているのがもどかしいかもしれませんが、ポータルキーを守ることが勝利への近道です。
――最初に、いろいろなカードがあって、どのカードをデッキに編成するか迷う人もいると思いますが、初心者の方におすすめのカードはありますか?
林:最初のうちは「連合宇宙軍ステルス迷彩」がおすすめです。
『#コンパス』では、不用意に倒されないことが重要で、不利だと感じたら逃げるのが基本です。
なので、まずはこのカードを使って、引き際を覚えてください。
ランクがBくらいになってきて、引き際を覚えてきたら「連合宇宙軍ステルス迷彩」を攻撃スキルに変えるなどヒーローにあわせて工夫してみてください。
――では、初心者におすすめのヒーローを教えてください。
林:まずは、最初から使える十文字アタリを使って操作を覚えるのがおすすめです。
ステータスのバランスが良く、移動速度も高いので操作しやすいヒーローです。
――カードの成長に必要なカードエナジーがすぐに不足してしまうのですが、ためるコツはありますか?
林:カードエナジーは、ニコニコ生放送などでプレゼントしていきたいと思っていますが、コツコツためていただくのが一番です。
また、どうしても足りないという人は、有料ですがプライム会員になると、入手できるカードエナジーが倍になるので、入会を考えてみてください。
――林プロデューサーの普段のプレイについて教えてください。使っているお気に入りのヒーローはいますか?
林:今はグスタフを愛用してます。ヒーローアクションの毒を使い続けるか、直接攻撃するか、どちらを選ぶのか迷うようなバランスに仕上げています。
あと少しでポータルキーが取れそうだけど、残りライフも少ないというときのハラハラ感が気に入っています。
――では、デッキのカードはどのようなものを使っていますか?
林:最近は「祭りの粋!オトコの手筒花火」のフラッシュをどうにか使えないかとデッキにいれて、コンボを模索しています。
たとえば、「手筒花火」から「機航師弾フルーク・ツォイク」につなげないかと試しています。
桜並木のステージが追加予定
――今後のアップデートの予定を教えてください。
林:新ステージの実装を予定しています。ストレートが長い桜並木のステージになります。
――忠臣の突進攻撃やヒーロースキルが活躍しそうですね。セカンドシーズンの報酬も忠臣のアイコンですし……忠臣推し月間ですか?(笑)
林:決して狙ったわけでなく、まったくの偶然です!(笑)
でも、見通しが良いので忠臣のヒーロースキルが見えたら回避してください。
――最後にコンパスユーザーにむけて一言お願いします。
林:対戦アクションゲームの楽しさを日本に広めたいと思っていましたが、結果を出すのに苦労してきました。
しかし、ここ最近になってようやく日本でも対戦ゲームの火が付き始めたと感じています。
そんななかで、『#コンパス』をしっかり作りこんで、日本を代表する対戦アクションゲームにしたいと思っていますので、応援をよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
「大炎上 #コンパスグランドスラム メディアトーナメント」開催!
2017年4月29~30日の「ニコニコ超会議」では、超「#コンパス」ステージが用意されている。
実況者やユーザーによるトーナメントやライブステージのほか、ゲームメディアによるメディアトーナメントも開催!
林プロデューサーも運営チームとして参加するほか、Game Deetsチームも出場予定だ。
放送日:2017年4月29日(土)15:00~16:00
(C) NHN PlayArt Corp.
(C) DWANGO Co., Ltd.