The Franz Kafka Videogame【ゲームレビュー】

「フランツ・カフカ」の小説のような不条理な展開をパズルゲームとして楽しめる『The Franz Kafka Videogame』。ヒントも筋道もない、カオスな展開を乗り越えた先にある達成感を味わってみてほしい。

わけがわからなくて面白い! 超展開パズルゲーム

グレゴール・ザムザという青年が、ある朝突然に毒虫になってしまう「変身」という小説をご存じだろうか。本作は、その「変身」の作者であるフランツ・カフカに影響を受けて制作されている。

夢の世界を想起させるような不条理かつ、超展開を迎えるカフカの作風を、そのままパズルゲームにしてしまったような作品だ。

主人公である精神科医「K」を中心とした、奇妙な物語が展開される。謎の男との出会いが、Kの運命を変えていく

ゲーム内では主人公「K」の物語に沿って、さまざまなパズルが出題されていく。Kの日常がパズルで表現されているので、これをクリアすることで不思議なストーリーが進行していくのだ。

とてもそうは見えないが、画像はパズルのステージになっている。画面内のオブジェクトを動かし、目的の場所に移動させたり、特定の形を表現したりすることでクリアになる

夢を描いたような、唐突で意味不明な世界

本作では説明がほとんどないまま、唐突にパズルのステージが始まる。

登場する演出も、夢を描いたような突拍子のないものが多く、独特な雰囲気を作り上げる一因になっている。

なんともいえない不条理な世界を堪能してみよう。

最初のステージからして意味不明。突然画面が真っ暗になったり、化け物が出てくる。不安をあおるような演出が、悪夢を表現しているようだ

こちらは、Kの無意識化の世界。あやしげな大砲で、後ろの化け物を倒していくようだが……

さまざまな形式のパズルが楽しめる

患者の治療や、目的地への移動といった、日常のワンシーンがパズルになっている本作。パズルもそれらに合わせるような、多彩な見せ方のものが用意されている。

暗号を解くものや物を動かすもの、目的地に向かうものなど、さまざまな形式のものが楽しめるようになっている。

南京錠を開けるパズル。この画面以外にヒントのようなものはない。少ない情報の中で法則性などを見つけて、なんとか答えを出す必要がある

いきなりすごろくが始まるステージも。各所にある文字が意味するものは……

基本的に、パズルの詳細な説明はおろか、何をすればクリアになるかさえ、知らされることはない。

パズルゲームとしては総じて難易度が高く、かなり骨太なやりごたえを味わえるはずだ。

常識が通じない驚きのギミック

多彩なパズルの中には、解き方やギミックに驚かされるものも多い。

常識が通じないことが多いので、凝り固まった発想を壊していくことが、ステージクリアを目指すうえで最も重要なのかもしれない。

ある文字を完成させると、上から大きな鉛筆が降ってきて新たな道を描いてくれる。「えぇ……(困惑)」が筆者の感想だ

線路をさえぎっている牛をどかすステージ。謎のタマゴを岩にぶつけると……?

パズルゲームとしてはかなり難しいが、画面内のオブジェクトを動かしてクリアするというところは、どれも共通している。

そして、動かせるオブジェクトには意味がある(ものが多い)ので、それをどういう風に利用するかを考えていくことが、本作の面白さだ。

難しさをぜひ乗り越えてほしい作品

意味不明で唐突な世界観なうえ、何をすればいいかも見えにくいので、第一印象は非常にとっつきにくい本作。

とにかく難しいのだが、それを乗り越えられたときの達成感や爽快感が大きく、徐々にクセになってくる不思議なタイトルとなっている。

多種多様な形式のパズルや、常識を超えたギミックも魅力で、「そういうことか!」と思わせてくれるものも多い。

いろいろな面で想像のナナメ上をいっている内容なので、普通のパズルでは満足できない方にぜひプレイしてもらいたい。

救済措置として、ステージ開始から一定時間が経過するたびに、右上のアイコンでヒントが見れるようになる……のだが、ほとんど回答そのもののような内容。できれば自力で解いて、達成感を味わってほしい

  • 使用した端末機種:iPhone 6s
  • OSのバージョン:iOS9.3.1
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.2.11

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