戦国姫譚MURAMASA-雅-【ゲームレビュー】

合戦バトルRPG『戦国姫譚MURAMASA-雅-』は、ソーシャルカードゲーム『戦国武将姫MURAMASA』の流れをくむ新作タイトル。日本の戦国時代を背景に、独自の解釈で美少女化された武将、剣豪、茶人、僧侶たちがにぎやかな合戦バトルを繰り広げる。全キャラクターにボイスとショートストーリーを用意!

見た目と裏腹な本格合戦RPG

性の置換というものは、古くは日本武尊が熊襲討伐で女装をしたという記述が『古事記』にあったりもしていて、この国においてはそう目新しい概念でもないだろう。しかし、実在の人物の性を逆転してしまうという発想は、それなりに最近のことのような気もする。特に専門的に調べたわけでもないが、つかこうへいの『幕末純情伝』あたりが自分の知識の中ではもっとも古い。

それがここに来て、有機物、無機物に限らずの女性化ブームで、戦国武将も一度ならず女性キャラクターになっているのはご存じのとおりだ。戦国時代に一家言あるような方にどうしても邪道に見えるだろうし、軽く見られがちなコンテンツなのだが、歴史の部分はさておき、本作『戦国姫譚MURAMASA-雅-』のゲームの作りは結構ハードである。

登場キャラクターは全員美少女。ちなみに世界設定は、前作に当たる『戦国武将姫 MURAMASA』のものを引き継いでいる

バトルではユニットの属性がものをいう

女性化した戦国武将を集めてデッキを作るという点については、特に目新しいこともない。ただし本作で特筆すべきは、属性の相性が非常に重要になるということ。火、風、土、雷、水という5つの属性があり、火から順に次の属性の対して強くなる。

最近のスマホゲームだと、この手の属性相性が攻撃時のボーナス程度しかなく、どちらかといえばキャラクターのレベルやレアリティーが決め手になることが少なくない。しかし本作では、この比重がとても高い。同属性ではお互いに半分のダメージしか与えられず、有利な属性なら与えるダメージが1.5倍にアップ、被ダメージが25%ダウンと、かなり顕著に効果が現われる。まんべんなくキャラを育成していかないと、かなり早い段階から苦戦を強いられることになるだろう。

バトルで優秀な結果を残せば、デッキに組み込む新たなキャラクターを比較的容易に入手できる

戦闘では、自分の行動を1手進めるたびに、その攻撃範囲にいる敵キャラクターを攻撃。また、1手で動かせるのは1キャラクターのみである。各武将の攻撃範囲は個別に設定されているため、敵の動きを読みつつ、うまく配置していかないと、なかなか効率的に敵を撃破することができない。

また、攻撃時に10連撃以上を決めると「姫乱舞」という特殊攻撃が発動し攻撃範囲にかかわらずマップ内のすべての敵を攻撃できるのが注目ポイントだ。

攻撃範囲は八方向に広がっていて、武将によって攻撃できる場所が異なる。最低でも2カ所を攻撃することが可能。例外もあるが、レアリティーが高いキャラクターほど、攻撃できる場所が増えると考えていい

ストーリーモードは2種類

戦闘はストーリーの合間に発生するのだが、本作にはメインストーリーとなる「戦国伝」と、入手した武将の個別のサブストーリーが楽しめる「武将姫伝」の2種類が用意されている。「戦国伝」は、織田や武田などの家中の人間関係に着目した内容で、もう一方の「武将姫伝」は武将個人に焦点を当てたエピソードとなっている。

これ以外にも期間限定のイベントがたびたび行われており、ここでもストーリーと戦闘の両方を楽しめる。特にイベントについては、そこでしか手に入らないレアキャラクターも用意されている。

チャプター(章)内のすべてのミッションを「将軍級」でクリアすると、特別なボーナスアイテムがもらえる

個別のストーリーが楽しめる「武将姫伝」が発生するのは、星2以上の武将から

一部のイベントはいわゆる踏破型イベントになっていて、ストーリーを進めつつポイントを稼いで、報酬を獲得していく形式だ

ほかにもまだまだ遊べる要素が……

ストーリー以外にも、4人パーティーを組んでプレイヤー同士で戦う「決闘」や、地図アイテムを使って行う「探索」などのモードが用意されている。「決闘」では、対戦相手がランダムでマッチングされ、戦闘はオートで行われる。もちろん属性の相性が作用するし、操作できない分だけ、キャラクターのレアリティーやレベルといった純粋な強さが要求される。また「探索」はいわゆるロジックパズルで、タテヨコにある数字からアイテムのある場所を予想して捜索を行う形式だ。

「探索」で登場するマップは大中小の3種類があり、それぞれ7×7、6×6、5×5マスとなっている

本作でメインとなるストーリー間の戦闘ではオートモードが用意されておらず、かつマップごとに敵の種類や配置が異なっている。これがなかなか楽しくもあり、面倒でもある。特に、属性の変化はその都度パーティーメンバーを変えねばならないので、1回の戦闘には必然的にそれなりの時間がかかってしまう。そういった不便さへのフォローアップのために、そのほかのモードがあると考えるといい。まったく異なるゲーム性が、気分転換にもってこいなのだ。

探索で取得できるアイテムはゲーム内通貨である「両」が多めだが、育成アイテムなども手に入る

プレイの充実度が高く満足できるクオリティー

デッキ構築型ゲームの主流は、多くの戦闘で経験値だったり、デッキの強化素材だったりを集めることが普通だが、本作の場合は数多くの戦闘をこなすことがシステム的に難しくなっている。その分、1回の戦闘でもらえるアイテムが多めに設定されているようだ。また何かにつけ、ガチャ用のゲーム内通貨を取得できる。これによって、パーティーの編成や育成にはさほど困ることはないだろう。

ただし、6時間ほどのプレイの間に20回ほどガチャを回してみたのだが、5段階のレアリティーのうち、3段階目である星3までの武将しか排出されなかった。筆者の運が悪いのかもしれないが、星4や星5は文字どおり、かなり高いレアリティーになっている。

また、戦闘中に突然ゲームが落ちてしまう現象がしばしば確認された。その戦闘は中断扱いなので、起動し直せば途中から始められるのだが、こちらも改善してもらえるとありがたい。将棋のようにお互いの手を進めつつ、相手を自分のパターンにハメていくのが楽しく、攻撃範囲に敵を誘い込んで連撃が決まると、かなりの爽快感を味わうことができる。それほど長いプレイ時間を費やさなくても充実度は高い、そんな作品である。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.0.2
  • プレイ時間:約6時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.7
  • 課金総額:0円

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