Google Playが4月に開催する、インディー(小規模)のモバイルゲーム開発者を対象にしたコンテスト「Indie Game Festival 2018 」。このコンテストに先駆け、日本から世界へ向けて活躍されているインディーゲーム開発の現場を紹介するセッションが本日開催された。
ソーシャルメディアを意識した 『旅かえる』の仕様と開発
『旅かえる』は、旅好きのかえるにお弁当やお守りなどを持たせて旅立たせる放置型ゲーム(2017年11月27日にAndroid版が配信)。かえるは旅からもどってきたときに、写真やおみやげをプレゼントにもってくることがある。これをコレクションする楽しみ方もある。
本作は日本国内はもとより、中国や台湾などアジア諸国でもヒットしている。台湾のGoogle Playにおいては『旅かえる』のゲームそのものについで、同ゲームの日本語部分を繁体字などに翻訳するアプリもよくダウンロードされているという。
『旅かえる』開発のきっかけは、「『ねこあつめ』に続くゲームを作りたい」という思いからだ。これを受けて、同社のゲームプランナーである上村氏が「旅するかえる」のコンセプトを発案。プレイヤーにずっとあれこれさせ続けるのではなく、1日ちょっとの時間でも遊べるという点から、「旅をさせる」というコンセプトが採用されたのだと話す。
『旅かえる』のヒットの要因は、かえるが持ってくる写真など、ソーシャルメディアでの拡散を意識して作った点が受けているのではないかと分析。特にこの点は、中国や台湾でのヒットにつながっているのではという。
ヒットポイントには、アジアでのヒットを受けて、ローカライズの問い合わせやアジアの観光地を入れてほしいなどの要望がかなり来ているそうだ。開発者としてユーザーの声には応えていきたい気持ちはあるものの、その準備ができておらず、今ははがゆい思いをしていると話す。
今後、海外にかえるが旅立つ案はあるが、「まずは日本国内でゲームそのものをしっかり作り上げていくことに注力したい。アップデートとしては、季節に応じてボリュームアップをやっていきたい」と話す。
ヒットポイントのスモールチーム開発体制とは?
ヒットポイントは名古屋と京都にオフィスを構える開発会社。2つのオフィスを合わせて、20名強の従業員がおり、全員なんらかの開発に関わっている(なんと、社長もプランナーとして活躍)。
開発は現在4つのチームに分かれており、チームごとにほぼ独立した管理体制になっている。このようなスモールチーム体制にすることによって、会社の構造に依存せず、現場主義がとりやすいという強みがあるという。
もともと半年ぐらいで完成を目指していた『旅かえる』は、実際は企画から完成まで約1年のプロジェクトだったそうだ。柔軟にプロジェクト進行ができる点も、少人数制の長所だと話す。
ここで、今回のモデレーターから「オリジナリティーを維持しているポイントは?」という問いが。この質問に対して、高崎氏は、
- 個々の得意な分野を活かす
- 客観的に見てもらえる場を重視する
の2つを挙げた。得意分野を活かすというのは、メンバー各人の特性を理解して、尖った部分を表に出していけるように意識することが必要と話す。
2つめは事例として、Googleへ相談したエピソードが話された。『旅かえる』のフィードバックをもらうべく、Googleへ相談したときに、有益な客観的意見をもらったという。
「かえるが旅立った後にユーザーがすることがなく、数日もどって来ないとなると、不具合だと感じるのではないか?」。このフィードバックを受けて、旅からの帰りを待っている間に、ユーザーができることを増やして、楽しませるかを考えて実装したそうだ。
ねこあつめのデータ移行
ヒットポイントの代表作でもある『ねこあつめ』。これにハマった筆者は、自宅でねこを飼い始めることにもつながった。それだけ好きなゲームだが、機種変時にデータ移行ができなくて、涙をのんだ経験がある。
今回、高崎氏に『ねこあつめ』のデータ移行について聞いてみた。
「おっしゃるとおり、ユーザーの方々からの要望はいただいてます。現在、ある程度データ移行の機能面について固まっては来ているのですが、ユーザーの方によっては300~400MB近い『写真』をお持ちの方がいらっしゃるので、この点をどう解決するかを考えています」
なんらかの形でゲーム内でデータ移行の実現をお願いします!
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