ニコニコ動画開発者直伝!キレイな動画を投稿するテクニック【ニコニコ超会議2018】

Eyecatch

超クリエイターズLab.メインステージでは、ニコニコ動画の開発者による現在の仕様の説明と、現仕様のなかでキレイに動画を投稿するコツを紹介する「動画投稿講座」が開催された。

ドワンゴの中の人が高画質動画の投稿方法をレクチャー!

「ニコニコ動画」は、動画共有サービスでは、日本国内において他のサービスに対してシェアで苦境に立たされている印象がある。

しかし、ニコニコ動画もそんな他のサービスに遅れを取らないように改善を続けており、特に2017年11月以降はその動きはより強まっている。

それでいても、ニコニコ動画が「他と比べて画質が悪い」というイメージを払拭できずにいる。

そこで、ニコニコ動画のエンジニアが直接、画質の良い動画を投稿する方法をレクチャーし、ニコニコ動画が他の動画に負けていないことをアピールしたいという思いから、今回のステージが実現した。

進行を担当するドワンゴの横畑氏

解説の久保田氏(左)と川平氏(右)。ふたりは、投稿されたデータを管理する新配信システム「Dwango Media Cluster」に携わっており、横畑氏の説明を2人が補足する形で進められた

再エンコード問題とは?

まず最初に横畑氏は、以前より多くのユーザーから不満が出ている再エンコードについて言及する。

再エンコードとは、2016年8月のアップデートで、プレミアム会員限定で投稿する動画のサイズ上限が1.5GBまで増えた際に実装されたもので、投稿した動画に対して、ニコニコ動画側でもエンコードが行われる仕様だ。

これにより、投稿したオリジナルの動画と比べてニコニコ動画で再生した時に画質が落ちるという現象が起きてしまった。

その結果、いまだに「ニコニコ動画に投稿すると再エンコードによって画質が落ちる」という印象が根付いているのだ。

しかし、実は再エンコードは、ニコニコ動画だけでなく、ほとんどの動画共有サービスで行われているという。

再エンコードが必要な大きな理由は「Flashの廃止」と「ユーザー環境の多様化」。川平氏は、何種類もの端末を並べて、どの端末でもニコニコ動画を視聴できるようにする苦労を語る

PC版ニコニコ動画の再生プレーヤーは、長らくFlashが採用されていたが、現在は動画ページを開くと、HTML5版で再生されるようになった。

現在もFlash版で再生することはできるのだが、Flashの開発元であるAdobe Systemsが2020年末に、開発、提供の停止を発表したことを受け、ニコニコ動画のFlash版プレーヤーは終了予定となっている。

Flash版では、さまざまな動画の差異をうまく吸収してくれていたのでが、これが廃止さてたことにより、再エンコードの必要性が生じたわけだ。

ユーザー環境の多様化については、PCやモバイル、特にAndroidは端末ごとに動画再生の形式が異なっているのが問題点となる。

どのような環境でも再生しやすくするために、サーバー側でのエンコードは動画共有サービスでは必要不可欠。

現在の環境では再エンコードをなくすよりも、「以下にストレスなく再エンコードするか」に開発はシフトしているとのこと。

再エンコードを意識した画質のチューニングは不要

再エンコードが避けられない現在の環境において、投稿可能な容量内(2018年4月現在は3GB)の動画であれば、そのまま投稿することを横畑氏は推奨する。

そのうえで、容量が投稿可能な領域をオーバーしてしまった場合、開発者が推奨するのは以下のツールだ。

初心者でも手軽に動画のエンコードができる「つんでれんこ」は、niconicoの開発者もオススメするエンコードツール。

長きに渡ってニコニコ動画を支えてきたツールだったが。作者の窓屋氏が休養に入ったため、2018年4月27日公開のVer.2.98が完結版となった。

高解像度≠高画質

さらに、横畑氏らはエンコード時に画質を低下させない形式を紹介。

要約すると以下のようになる。

  • 解像度:720pまたは1080p
  • 動画コーデック形式:h.264/AVCコーデック/High Profile
  • フレームレート:30fpsまたは60fps
  • 色空間:BT.709 limited
  • エンコード設定:2pass(マルチパス)

上記以外に、波模様などがちらつく表現が入っていると、それによってエンコードに負荷がかかるため、ぼかしをいれると全体的な画質の低下を避けられるという豆知識も披露された

ここでのポイントは「高解像度≠高画質」ということ。

近年、2160p(4K)に対応したカメラが登場したことや、YouTubeが4K動画の投稿を可能にしたことで高画質に注目が集まっている。

しかし、ニコニコ動画は再生においては1080pまでの解像度にしか対応していないため、逆に解像度を高くしてしまうと変換が発生して画質が低下してしまう。

この点については一見、緊急度の高い問題のように思えるが、ニコニコ動画開発チームは、4Kへの対応について現時点では重要視していない。

第1の理由は、4K対応のディスプレイがまだそれほど普及していないという点。

第2の理由は、多くのプロバイダの回線速度が、4Kの動画の再生に追いついていないという点。

横畑氏は、Netflixが発表しているゴールデンタイムの各プロバイダの平均速度ランキングを紹介。平均3〜4Mbpsでは、4Kの動画を視聴する場合、長い読み込み時間が必要になる

今後、4Kディスプレイの普及率や回線速度の改善に合わせて対応は考えていく予定であるが、ニコニコ動画が4Kに対応するのはまだ先になる見通しだ。

オリジナルそのままの音声がニコニコ動画の特徴

ボカロ曲や歌ってみた、踊ってみたなど、ニコニコ動画の文化において、音楽は切っても離せない。

音質にもこだわった動画を投稿したい場合、ニコニコ動画開発者がオススメする設定は下記だ。

  • 音声コーデック:AAC-LC
  • ビットレート:192kbps以上
  • サンプリングレート:48kHz
  • チャンネル数:2ch

注目すべきポイントはチャンネル数。

近年、5.1chや7.1chなどの臨場感を表現する手法が出てきているが、ニコニコ動画では、2chにしか対応していない。

ウーファーに音を設定しても、投稿時に消えてしまうため、最初から2chに設定して音をいれておくといいだろう。

また、最近話題のハイレゾ音源にも対応していないため、投稿はおすすめできないという。

そのほか、横畑氏は、ニコニコ動画独自のポイントとして音の大小を調整するノーマライズ(音声正規化)や高周波の音をカットしていない点を挙げた。

これは動画投稿時のオリジナルの音に近い音で再生されるようにという意図によるもので、大きな音と小さな音が混在するオーケストラ楽曲のような音楽に適している。

また、現在のニコニコ動画では、映像のビットレートと音声のビットレートは独立している。

音楽を聞かせることがメインの動画であれば、動画自体は低解像度でも問題ない。

YouTubeとニコニコ動画での音をグラフで比較。右側が高周波の音を示している。ただし、この帯域の音声は、ほとんどの人は認識できないレベルだ……

一方で、動画投稿時に気をつけてほしいこととして、「ノイズを入れないこと」がある。

ノイズは、エンコード時に圧縮されにくいため、ノイズを入れたい場合も本物のノイズ音を使うことは避けてほしいという。

同様に、フェードイン/フェードアウトは、ノイズが目立ちやすくなる表現のため、0.5秒以内に納めることがポイントだ。

ユーザーからの質疑応答では「地上波相当のビットレートに対応してほしい」という意見に対して、横畑氏は「実はニコニコ動画は地上波とそん色がないレベルである」ことをアピール

最後に、横畑氏は、1つの動画をニコニコ動画とYouTubeに投稿した場合の比較を紹介し、ぱっと見た限りでは開発者でも見分けがつかなかったというエピソードを紹介。

適切な設定を行って投稿をすれば、ニコニコ動画でもキレイな動画を投稿できることをアピールした。

(C) DWANGO Co., Ltd.