2008年に動き出したスマホという潮流
日本は島国ということもあり、長らく鎖国状態にありました。
徳川幕府は1603年に発足し、1867年の大政奉還までの264年間といわれています(諸説あります)。江戸時代は平和な時代で、それ以前の戦国時代と異なり、庶民の文化や芸能などが発展した歴史上としても意義のあるものでした。その後、明治維新により民主主義国家が誕生したといわれています。
このように、アメリカも日本も、新しい時代を迎えて今に至りますが、これらの時間の経過は地球と人類の歴史の中においてはほんの一瞬の出来事といってもいいでしょう。このように世界の歴史は発見と開発開拓、そして、国や政府の統治のもと、人が商業や産業を興し、税金を納めることで国家の発展というサイクルを繰り返してきました。
現在の世界の産業地図は1990年代の終わりから変貌しました。
それは産業のグルーバル化で、わかりやすい事例は、長らく「世界の工場」といわれてきた中国でしょう。しかし、近年は中国のGDP上昇により、その産業のグローバル化は南下し、ベトナム、カンボジア、バングラディシュなどに移行しつつあります。
それに伴って、主要国の製造業が空洞化しました。しかし、彼らは金融工学、情報化、IT化の促進によって新しい繁栄のフェーズに入り、世界地図をがらりと塗り替えてしまいました。金融の世界はゼロサムゲームといわれますが。我々の生きている世界も産業構造も、世界のどこかの地域のマイナスと自分たちのプラスの相殺のうえに成り立っていると思っています。
スマホやコンテンツの世界も例外ではありません。
かつて、1992年、NTTから独立したDoCoMo(ドコモ)が携帯電話のサービス開始を開始したときは、競合がありませんので、ドコモの一人勝ち。それを追うように、DDIセルラー(のちにIDOと統合され現在のauへ)、さらにJ-PHONE(現在のソフトバンクモバイル)がサービスを開始しました。
このころまでは、ドコモを筆頭にした国内キャリアによる日本国民というパイの奪い合いでした。
しかし、それらが変わる兆しが、スマートフォンの導入です。2008年のiPhone 3G(日本発売)と、ほぼ同時期にリリースされたAndroid端末もそれに当たります。
その後。日本国内のスマホユーザー争奪戦は激化しました。当時、誰がいずれ来るドコモの斜陽ぶりを予想したことでしょうか……。オセロの目を変えて行くようにiPhoneやAndroidの端末がドコモを始めとする国内端末を凌駕して行ったのです。ドコモもNTTも「土管屋」に成り下がったという声も聞かれます。
しかし、世界の歴史と時間経過を見れば、それもほんのひとときの歴史のいたずらなのかもしれません。今はたまたま、AppleやGoogleに統治されているという見方をすればわかりやすいと思います。
日本では長らくドコモ(もしくはNTT)という天下泰平の時代が続きました。そこに討って出たのがソフトバンク、そしてそれらにさらに燃料を注いだのはAppleであり、Googleです。そして彼らが奪い合うパイはユーザーに他なりません。
今思えばDocomoは良心的だった?
普段、私たちは、水道、ガス、電気の公共料金に関してはあまり気にせずに毎月決まった金額を払っています。スマホもさほど意識せず、ほぼ公共料金と同じような感覚で支払っていることでしょう。それらはいうなれば、知らず知らずのうち我々はどこかのポータルという国家の統治下にあり、通話料、パケット使用料、アプリ購入、アイテム課金などの使用料、いわば税金を納めています。いわば我々プレイヤーは納税を義務付けられているという領民という構図です。
AppleやGoogleはAppStore、Google Playというスマホゲームポータルを貸し出しているにすぎませんが、コンテンツの売り上げから有無をいわさず30%を持っていきます。Docomoのiモードの8%とは比較にならないほどの料率です。今思えば、ドコモは善人さを感じるような料率です。この収益トップオフ率に関しては、収益の過多によっては配分比率を変動させてみてはどうかと思うことがあります。
話を戻しますが、Apple、Googleのパイである我々は、ポータルと有機的に関わって、知らず知らずにうちに彼らのサービスなしには生きられないという環境の領民となっているのではないでしょうか。
かく言う私もその1人です……。つい先日、AmazonのオーディオブックサービスAudibleのお試しサービスに申し込んでしまいました。アマゾンプライムを始めAmazonの進撃は留まるところを知りません。AppleとGoogleの次の世代の統治者はアマゾンなのでしょうか? LINEなのでしょうか? 知らず知らずのうちに我々はどこかのポータルという統治下にあり、通話、パケット使用料、アプリ購入、アイテム課金などの使用料、いわば税金を納めています。
ただし、その統治のタームは新大陸発見の時代の時間軸と異なり、どんどん短くなっていると思います。昔の100年は今の10年くらいのイメージではないでしょうか。そして、新たに起こす産業革命のなかで、我々ユーザーも世界金融や産業構造と同じく、ゼロサムゲームのパイであり、領民だということ意識すべきだと思います。