期待された『THE KING OF FIGHTERS ALL STAR』の判断の難しさ

格ゲーファンなら興味津々の版権である『THE KING OF FIGHTERS』(以下、KOF)が、スマホ向けアクションゲームで良作ぞろいのネットマーブルでベルトアクションになった! といわれれば、そりゃもちろん期待するわけですよ。ゲーセン通いで青春を送ったおっさん世代からすれば、キャラに親しんでいる分、「こりゃいっちょダウンロードしたるか」ってなるのは当然ですからね。

SNKが中華系ゲーム企業と近しい関係になってから、KOFシリーズがちょいちょいプッシュされるようになったのはうれしい限りだし、一方でコマンド系格ゲーをやるほど現役のゲーマーとしては目がついていかなくなったおっさんでも「まぁ、ベルトアクションなら」というハードルの低さはよろしいわけであります。

んで、リリースされたのでやってみるわけですが……。なんかこう、サスペンションのゆるいジープに乗ったような、とてもゆるゆるとした、ふわっとした出来なんです。うわー、これは好きな人は好きだろうけど、プレイヤー選ぶわー、と思うような内容。

簡単にいえば、ベルトアクションかくあるべし、というモノがある人ほど、これは理不尽だと思うことになります。もちろん、スマホゲームですからフレンド機能やキャラ交代、レベルによる強い弱いが出るのは仕方がないのですが、やはり連続攻撃の派手さを追求しつつもベルトアクションの基本は踏襲していてもらいたい、と思うわけです。

通常攻撃の連打で敵をフリーズさせるのはいいとして、そのフリーズ中に緊急避難できちゃうシステムが入ってたら反撃されるから絶対浮かせないといけない、とか。一度コケたキャラが、起き上がりにザコ敵の野良打撃が当たらないよう一定時間の無敵時間用意するのがマナーだろ、とか。敵が後ろにいるのに固定コンボを最後まで仕切る仕組みはないだろ、とか。ザコ敵が目の前に1人しかいないのに超必殺技放つオート機能はもう少し考えてから実装しろよ、とか。

もちろん、敵が地面に潜って当たらなくなるバグとか、強制終了しちゃうとかは、仕方がないと思うんですよ、リリースされたばっかりなので。アップデートで修正してね、と思うんです。ただ、最初にあれこれ盛り込み過ぎて、曼荼羅みたいになってるコアがわかりにくいし、バトルカードがキャラクターとは別にレアリティまで用意されていて強化が実に面倒くさいという、将来的に拡張することありきで「全部盛り」にするのは親切なのかどうなのかってのは、よく考えてほしいなあと思うのです。

キャラが揃わない序盤に、「紫属性でボスを倒せ」っていわれても「そんなのいねーよ」って話になるし、年代ごとにチャプターが仕切られている割に出てくるキャラはだいたい同じなので「ああ、まぁ確かにKOFってこんな感じだったよな」って風味は残しつつも「え、これ全部やるの?」と思っちゃうのです。

やはり、私たちおっさん世代が愛したベルトアクションといえば『ゴールデンアックス』であり、『ファイナルファイト』であり、『ベア・ナックル』であり、『天地を喰らう』だったわけです。3Dになっても『スパイクアウト』を最高峰に、ベルトアクションの文脈ってのは確実にあると思ってしまうと、たぶん今風のスマホ系アクションをベースに作られたベルトアクションはまったく別のゲームになっちゃうのでありましょうか。

ハマる人はハマるでしょう。私もKOFのキャラクターは大好きなので、ログボもらいながらちくちくプレイし続けるとは思いますが、あまりにもアクションパートが辛すぎてAPがたまりまくって1,200とか超えちゃっているわけでございますよ。全部消化する自信ない。

しまいには『怒りチームがフィーチャーされたガチャ』があったので、30回ガチャ回しても1個も星5出ないとか、嘆きたくても嘆ききれない状況に陥って、もう少し落ち着いたら改めて課金しようと思うわけであります。

やっぱ、ちゃんとしたネットマーブルの手によるベルトアクションってのは見てみたい気もするし、もうちょっとどうにかならなかったですかね……。

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