ダークソード【ゲームレビュー】

光を失った影絵のような世界を突き進む、横スクロール形式のアクションRPG『ダークソード(Dark Sword)』。スピード感あふれるド派手なバトルが最大のセールスポイントで、ハック&スラッシュの爽快感に酔いしれたい人に、ぜひおすすめしたいタイトルだ。

極限までにシンプルさを目指したハクスラの異色作

ゲームのグラフィックがドット(ピクセル)からポリゴンに進化する中で、多くのタイトルで売り文句となったのが「美麗なグラフィック」というキーワード。

初期のPC(当時はマイコン)はグリーンディスプレイで緑のみの1色だったりしたわけだから、フルカラーで3Dモデルがごりごり動くゲームグラフィックは非常に美麗になったといえる。

ただ、ゲームの本質的な面白さを考えたとき、システムの根幹がグラフィックに由来しない限り、美麗な画面はゲーム性そのものにはあまり寄与していない。むろん、グラフィックがきれいな方がユーザーはうれしいのだが。

本作『ダークソード』は横スクロールのハックアンドスラッシュゲームだが、何より目を引くのは、その影絵のようなグラフィックだろう。

アクションのエフェクトには色がついているものの、敵も自キャラも黒1色のシルエットで表現されている。美麗……というと多彩な色づかいを想像するが、単色でも記号性をじゅうぶんに持たせられるし、動きは非常になめらかで操作感もいい。

それに何より、ダークな世界観に非常にマッチしているのだ。

装備品によってシルエットが変わる。ユーザーに、キャラクターの強さが変化したと認識させるには、これでじゅうぶんである。ちなみに、トゲトゲが多い方が強い

システムはシンプルだが難易度は高め

ダークドラゴンによって光が奪われた世界が、本作の舞台。そのため、世界全体がモノトーンに沈んでいる。主人公は装備を整えながらダークドラゴンを討伐すべく、手掛かりを求めて世界をさまよう。

前後の移動は画面のタッチで操作し、特定のボタンをタップすることで攻撃を発動する。連続で攻撃が決まれば、「パワーアタック」というジャンプ攻撃へとつながる。

このほか、前転回避とジャンプもボタンで行う。さらに、ジャンプ中に攻撃ボタンをタップすれば、下突きが出る。また、各武器には、レアリティーによって特殊攻撃の能力が付加されている。

基本的は操作は、ほかのハクスラ系RPGとそれほど変わらない。ただし、難易度はサクサク進めるほど簡単ではない。加えて、取得経験値とゴールドもやや少なめな印象を受ける。

ドンドン先に進むというよりは、地道にクリア済みのマップを周回しながら、経験値とゴールドそして装備を手に入れていく反復型のシステムになっている。

装備はガチャで購入するか、敵からのドロップに頼ることになる。レアリティーは、普通、マジック、レア、エピック、レジェンダリの順に高くなり、高レアリティーになればなるほど付加価値が増えていく

それぞれのステージには属性が付与されており、これに優越する装備を持たないと攻撃力などにペナルティーを受ける

装備品は3種類! まずはゴールドを集めてパワーアップ

キャラクターはレベルアップによって一部の能力値が1ポイントずつ上昇していくのだが、これだけではなかなか強くならない。

キャラクターを手っ取り早く強化するには、装備しているアイテムのレベルを上げてやることが重要となる。

この際に必要になるのがゴールドだ。装備品は「武器」、鎧と兜に分かれた「防具」、首飾りと指輪に分かれた「装身具」の3種類。武器は攻撃力を、防具は防御力、装身具は属性に対する抵抗力を司る。

ちなみに、各装備品にはレアリティーが振られているが、同レベルにおける性能差はほぼない。ただ、高レアリティーになればそれだけ付加要素が増えて、戦闘を有利に展開できるようになる。

各マップに属性が設定されているため、武器の属性によっては有利にも不利にもなる。そのため、武器は数種類を用意する必要があるし、装身具も敵の攻撃属性に合わせていくつか持っておくのが望ましい。

これらを成長させるためには、それなりにゴールドが必要になる。序盤のうちは1つのステージをクリアしても数十ゴールドから数百ゴールドしか手に入れられない。

効率的にゴールドを手に入れるためには、課金通貨であるソウルを使って購入するか、広告動画を見るしかない。なお、装備品のレベルアップに必要なゴールドも、レアリティーには依存しない仕組みとなっているのがうれしい。

広告動画を見ると3,000ゴールドがもらえる。ステージのクリア報酬で得られるゴールドを考えると非常に効率的だが、回数制限があり、無尽蔵にもらえるわけではない。動画が見られなくなったら、ある程度時間を空けることで再び動画が見られる状態になる

レアリティーの差が端的に出るのが武器の性能だ。レアリティーが上がるほど、特殊攻撃であるスキルの種類が増えていく。また、各装備品とも普通なら1つ、マジックなら2つ、レアなら3つと能力付加の要素が増えていく

装備品には「ティア」という要素もある。1ティアでは強化ごとに能力値が1ずつしか上がらないが、2ティアなら2ずつ上がる。数値の上昇が1ティアと2ティアでは、単純に2倍違うということ。それだけ強化に必要なゴールドを節約できる

アクションが限定されるオートモード

各マップを反復することで経験値などを稼ぐと書いたが、そうなると気になるのが、自動でマップを進めてくれるオートモードの存在だ。

本作では、自動で進行&攻撃を行う自動戦闘と、自動でスキルを発動してくれる自動スキルのボタンがある。これによって、クリアに必要な強さがあれば、これをタップするだけでマップをクリアしてくれる。

ただし、HP回復薬の使用とジャンプ、そして回避は発動しない。これらを駆使しないと勝てない場合は、プレイヤーが任意のタイミングでタップするしかない。

自動スキルをONにすると、序盤から惜しげもなく使ってしまう。どちらかといえばOFFにしておいた方がいいだろう

やり込み要素満載! 2つの上級モード

上位ティアの装備や高レアリティー装備を入手するためには、マップを周回しなければならないのだが、これ以外にもやり込み要素はある。

レベル20になると挑戦できる「ハードコアモード」と、ひたすらモンスターを倒し続ける「無限のタワー」だ。

6時間のプレイでは残念ながらレベル20に到達せず、ハードコアモードを見ることはできなかったが、おそらくノーマルモードに比べれば経験値やゴールド、ドロップアイテムも豪華になっていることだろう。

一方の無限のタワーは、1階層をクリアするごとに3ソウルがもらえて、勝ち続ける限りどんどん階層が上がっていくモード。自分が強くなったと感じたら挑戦してみるといい。

色彩同様、ゲームシステムもストーリーも非常にシンプルなのだが、それがゲームの面白さを損なうことなく、独特の世界観と相まって非常に収まりがいい。

ゲームというものはどうしても足し算で要素が増えていってしまうものだが、本作では逆に、ゲームの本質的な面白さを的確にとらえて、あえて引き算で作っている趣がある。

どちらがいいというものでもないが、ゲームを楽しむのに大きなファクターである理解と把握が容易であるということは非常に大きい。

重厚長大なハクスラ同様、本作も長く遊べるゲームであるという太鼓判を押しておきたい。

無限のタワーであっても、回復薬は10個までしか持てない。勝てそうもないなら、あっさり死んで強化してから再挑戦するのがいい。なぜなら、ここではアイテムのドロップはないのだから……

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.2
  • プレイ時間:約6時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.64
  • 課金総額:0円

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